コミュニケーション修験道、ここが入口。~読書漬だよ、1週間。~
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8冊目 ブランド・エクイティ戦略

ブランド・エクイティ戦略―競争優位をつくりだす名前、シンボル、スローガン/デービッド・A. アーカー

¥3,990
Amazon.co.jp

ブランド論の古典です。

たとえブランドを衰退させることになってしまったとしても、
「プロモーションは即時かつ測定可能なかたち」の手法であり、
目に見える成功を創りだすために、
多くの企業は短期的な志向性を持つことになります。

そして、コスト意識を高く持ち、効率を優先する企業ほど、
ブランドという資産を傷つけ価値を貶めてしまう
危険があると説きます。

ブランドとは
「ブランド、その名前やシンボルと結びついたブランド
 の資産と負債の集合」
として本書では定義されています。
ざっくり「ブランドの資産価値」と言って
差し支えないと思います。

ブランド・エクイティの資産と負債については
下記5つのカテゴリに分けられるとのことです。
①ブランド・ロイヤルティ
②名前の認知
③知覚品質
④知覚品質に加えてブランドの連想
⑤他の所有権のあるブランド資産

ちょっとざっくりし過ぎているので、
もう少し詳しくみていきましょう。

①ブランド・ロイヤルティ
ロイヤルティ=愛着、信仰 とでも訳せますかね。
新規顧客の開拓を獲得するのにはコストがかかりますが、
獲得した顧客を維持するコストは相対的コストは低く、
また多くの場合においてスイッチングコストも下げると言われています。

②名前の認知
よく知っているブランドから安心感を得る、
というのは実体験としても納得のいくところです。

③知覚品質
ブランドは知識よりも、全般的な品質の知覚と
結びつくとのこと。
~って大きいよね、早いよね、丈夫だよね、カワイイ!、
などと思ってもらえるものがよいということでしょうか。
また、当然、ブランドに紐づいた感情を喚起しているので
ブランド・ロイヤルティに直接影響を与えるでしょう。

④知覚品質に加えてブランドの連想
「ブランド・ネームの基本的な価値は、
ブランドに結びつけられた特定の連想に基づいている。」
とのことです。
ブランド・ネームから使用状況などの状況を
関連づけていくことで、
より強くブランドの浸透を図ります。

⑤他の所有権のあるブランド資産
トレードマーク、パテント(特許)、チャネル関係のような
所有権のある資産。

特にブランド・ロイヤルティは
ブランド・エクイティの核になってくるが、
ともすればふわっとした概念であるロイヤリティの測定方法は
再購入率や購入比率、購入されたブランドの数
などで測定できるとしています。

プロモーションの方が短期での成果は目に見えやすい
ということは本書でも認めているところであり、
ただ、プロモーションは模倣しやすいので、
長期での戦略としてはブランド・エクイティを
軸に据えた戦略の採用が有効である
という本書の主張は納得の行くところです。

個人的な理解ですが、ブランドの本質に
「かっこいい、すげーって思ってもらいたいのは自分だけど
思ってくれるのは周りの他人である」
という側面があると思っていて、
周囲(生活者)の力が強まった今、
ブランド・ロイヤリティの育て方については
今後勉強しながら思考詰めてかんといきたいと
思っています。

7冊目 メディアマーケティング進化論

メディア・マーケティング進化論 (PHP BUSINESS HARDCOVER)/岸本 義之

¥2,625
Amazon.co.jp

広告業界ではないコンサルの方が
変化する広告・マーケティングコミュニケーションの今が
描かれた本です。

『広告などの費用に関しては「投資対効果」は測定しにくいが、
 戦略的に必要なので資金が必要』
なんていう方便はもはや通じないよね、
マーケティングROIって大事だよね、ちゃんと考えようね、
という主張から、事業会社がどう現状に向き合うべきかまで、
筆者の考えを述べた本です。

顧客生涯価値の定量化し試算して
マーケティングのもたらす効果について考察したり、
パーチェス・ファネルを細かい要素に分解し
それぞれの要素に対して施策を投じていく、
その予算配分の話など、
興味深く読むことができました。

本書ではパーチェス・ファネルを下記のように分解しています。
①広告認知
②親近感
③好意的意見
④購買考慮
⑤購買意図
⑥市場シェア

そして、マーケティングROIをどう改善すべきかが
本書のテーマでもありますが、
・効果改善
・効率改善
の2方向で考える必要があると述べます。

→効果の改善とは、
マーケティングファネルの
どこの要素に予算を投下するか
の最適化を行います。

→効率の改善とは、
同じ施策を行う場合でも原価を安くすることで
投資大綱化を高めます。

個人的には効率の改善について、
サプライヤーを常に競争にかけ、詰めることで効率をあげよう、
という主張がなされているのが気になりました。

かなり無理で強引なお願いをシタレ顔で下請けに行う
事業会社、代理店、その他中間搾取会社が多いことを考えると、
「無理が利く」会社に危機が訪れた場合、
案件自体の確実な実施が困難になる場合が少し怖いです。

相見積もりをとり、新たなサプライヤーとの取引を想定したとして、
ツツガナク現場が回るようになるためには
相応の信頼関係を築かねばなりませんので、
それなりの時間がかかることは見越しておいた方がいいんだろうなぁ
なんて現場にいた無職は思っています。

サプライヤーの集中と選択を行っている企業様も
いくつか身近で見ていますが、
数少ないサンプルを見る限りは、
現場は混乱していそうかな、
という例が散見される印象を持っています。
一過性の混乱であればよいのですが。。。

全体としては事業会社サイドの視点でここまで書かれた本も
他にあまり無いと思いますので、
何となく「~な施策で効果を最大化!」とか企画書に
書いてしまう方は特に是非一読をオススメです。

3つのメディア言うてはりますが。

広告の人と話すと3つのメディア、3つのメディア、
よく言いよりはりますが、
おさらいを兼ね、2種の分け方について
一度考察してみます。

「トリプルメディアマーケティング」を始め、
一般的にトリプルメディアと言われているものは

Owned Media
Paid Media
Earned Media
・・・(分類1)

の3つに分類されています。

これに対して、「キズナのマーケティング」では

Owned Media
Third-Party Media
Social Media
・・・(分類2)

とされています。

地味ですが実は結構視点の違いあるなぁと思っていたので、
考察してみることにしました。

Owned Mediaについての認識は同じですが
Paid MediaとEarned Mediaの線引き、
Third-Party MediaとSocial Mediaの線引き、
これが似て非なるものとなっています。

分類①においては、Paid Mediaは「買う」メディアであり
パブリシティでの露出というものとは完全に切り分け、
反響の受け皿としてPRとソーシャルメディアを
包含して考えます。

これに対し、Third-Party Mediaという考え方は
広告とPRを「Third-Party Media」として括り、
主に「エンドの生活者」がいる場所であるSocial Mediaと
PRを分けて考えています。

つまり、PRとソーシャルメディアをどう捉えるか、
という点で大きく異なってくると思うのですね。

広告分類①においては、
広告・プロモーションによるアプローチと、
パブリシティ露出・ソーシャルメディアでの広がりとの
関係性の理解に重点を置いていると言えそうです。

エンドの生活者に対しての反響は、
Earned Mediaとしてパブリシティの露出と
まるっとまとめて考えられてしまっているために、
相対的には軽視されているようにも思います。

分類②では「他社メディアで起きたこと」と
ソーシャルメディアを完全に分けて考えられた分類方法です。
これは広告・プロモーションおよびパブリシティ露出と、
ソーシャルメディアの関係性に重点を置いていると言えそうです。

「結果として、どれだけエンドの生活者に影響を与えたのか」
を理解するためには、こちらのモデルの方が
適しているように思えます。

逆に広告とPPという非なるものを
「Third-Party」として合わせ考えているため、
メディアプラン設計の際に
ちょっと煩雑に見えてしまいそうです。
(作り手側のお話ですが。)

まぁ方法論でしかないと思いますし、
何が正しいというよりは
みんなが納得しやすく、
現場で使いやすい分け方が
一番だと思うのですけどね。

モデルに振り回されず、柔軟なお仕事をしたいものです。
無職ですけど。
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