コミュニケーション修験道、ここが入口。~読書漬だよ、1週間。~ -3ページ目

3冊目 ロングエンゲージメント

ロングエンゲージメント なぜあの人は同じ会社のものばかり買い続けるのか/京井 良彦

¥1,470
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広告コミュニケーションの前線で走ってきた方が、
見て、感じて、考えた、その軌跡、
そして、一広告人としての矜持を示された本です。

多少、「想い」による希望が前提化されている部分はあったり
モノ・サービスが動く絵があまり想像できない内容でもありましたが、
全体を通してこれからの広告コミュニケーションの進む方向を
示してくれている内容であると感じました。

従来の広告が効かないぞ、
生活者でWEBで情報を相互に発信し始めたぞ、
ソーシャルメディアの浸透で嘘をついてもすぐにばれてしまうぞ、
などの諸々の状況の変化があります。
そして、時期も相まって、
広告の新しい形をカンヌが示したことは
記憶に新しいことと思いますが、
そのような背景の元、書かれた本かと思います。

広告コミュニケーションの基本戦略が
アテンションの獲得に傾倒していたことを省みつつ、
「共感」えお獲得し生活者とのエンゲージメントを築くことこそ、
たいせつなことなのだと主張されています。

機能や、品質、価格などの情報は、
共感を生むようなものではないですよね。

共感をきっかけづくりには
「コンセプト」「ストーリー」「デザイン」
の3つの要素を挙げています。

そして、イイネ!と思ってもらうことで
エンゲージメントを築いていき、
発信する情報を有益な情報として
取り入れてもらいやすくしよう、
という作戦です。

凝りに凝ったラブレターを渡すのではなくて、
まずは好きになってもらうための努力を惜しむな、
ということですかね。

「一目惚れ」なんていう例は別であるとして
好きになってもらう努力を実らせるのは
時間がかかったりしますよね。

それこそクラスや会社の人だったら
自分のありとあらゆる行動は筒抜けです。
日常の立ち振る舞いから見直さないと、
キモチ悪い私のことなんか、
きっと誰も好きになってくれないでしょう。

また、ロングエンゲージメントを
企業が生活者と築くための要件として、
以下の3つを挙げています。
・Philosophy :企業哲学の共有 
・Participation :生活者の参加
・Dialog :生活者との対話

生活者の参加や生活者との対話を通して、
企業哲学を直感的または論理的に共有し、
関係を構築していく方向に時代はシフトしている
と筆者は主張しています。

その意味で「時代の転換点」という観点から
示唆を与えてくれる1冊と言えるのではないでしょうか。

2冊目 トリプルメディアマーケティング

トリプルメディアマーケティング ソーシャルメディア、自社メディア、広告の連携戦略/横山 隆治

¥2,310
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トリプルメディアマーケティング

メディアの新しい分類・整理の方法である「トリプルメディア」。
トリプルメディアを概説し、
昨今の事例をトリプルメディアを用いて
解説したものが本書です。

2009年にCNETで、「Multimedia 2.0」という
論文が紹介されてから広まった考え方「トリプルメディア」。
2010年はソーシャルメディア元年なぞと言われましたが、
「トリプルメディア」というワードも
広く知られることとなった年でした。

トリプルメディアとは、

「買うメディア」=Paid Media
「所有するメディア」=Owned Media
「ソーシャルメディア」=Social Media

メディアを大きく上記の3つに分けた分類を指します。

おそらく背景には、
Paid Mediaの相対的に価値が低下してきたことにより、
Owned Media のコミュニケーション装置として、
マーケティングROIを図る装置として、
価値を見直す機運が高まったこと、

そして、情報の送り手でなく、
受け手が主導権を握るようになった現在、
消費者インサイトが重要になり、
また発信力の高まりにより
ソーシャルメディアが無視できなくなったこと。

また、各要素の重要性の高まりだけでなく
3つのメディアがそれぞれに影響関係にあることが
新たなメディア分類をあえて提唱した
意義であるのではと考えています。

そして、それぞれのメディアの役割については

●Paid Media:
広く認知を獲得し、Owned MediaやEarned Mediaに見込み客を誘導する

●Owned Media:
深いコミュニケーションにより見込み客を顧客に転換したり、
ロイヤリティを強化する

●Earned Media:
Paid MeidaやOwned Mediaが有効に機能したときに世評が発生する

とあります。

自社メディアの特徴として
・コスト効率がよい
・長期的かつ連続的である
・多目的である
なんて本書では特徴として挙げていますが、
Paid Mediaがお金を払えば自由に表現ができると言いつつも
間借りをしているのにつきまとう不自由さはあるわけで
自社メディアが自由にコミュニケーションかつ
モニタリングができる場であることが
メリットであることは自明です。

完全にコントロールできて、コストも安くて、
マーケティングデータの所得も詳細にでき、かつ簡便である、
ということを考えると、多くの企業が自社メディアに興味を持っているらしい
という声も本当なんだろうなと思えます。

また、ソーシャルメディアについては
傾聴や認知促進の機能も認めつつ、Paid Mediaや
Owned Mediaの話題を受け振幅させるところに
本書ではコミュニケーションの設計上の価値を見出しているように
見受けられました。

今後、テレビ、PC、モバイルのトリプルスクリーンが
大切になってくるという話をデータと共にされている点も
とても興味深かったです。

ただ、ありとあらゆるモノ・空間が
コミュニケーションメディアになりえると考えると、
1つの生成したコンテンツを多面展開することによる
コスト面での便益をもたらしてくれる戦術として
認識した方が正確な理解かもしれません。

1冊目 広告の基本

この1冊ですべてわかる 広告の基本/波田 浩之

¥1,575
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広告業界の概要やお仕事の基本をまとめた本です。

修験道の入り口に立つのだもの。
まずは基本から入らないと。

「この一冊ですべてわかる」を謳っているように
一通りの広告ビジネスの内容が書かれています。

イイネ!と思ったのは、
入門書にしては業務内容的な所まで
かなり具体的な所まで踏み込んで書いてある点。
入門書でここまで具体的な本って
他に無いんじゃないんですかね。

●情報の羅列で構成されていて、、
 全体を通したストーリーは特に無い
●実務に必要細な知識ほど細かくはない

という面はありますので、

本書の使用の用途としては、

●違う部署や会社の人が
 何言ってるかわかんなかった時の逆引き辞典として
●勉強して考え方はなんとなくわかってきた
 広告業界志望者が、もう少し実務について
 知りたい場合の参考書として

利用価値の高い本かと思います。