ダージリン ナムリン茶園が昨年、売却されました。 | おいしいインド紅茶コンパスです。COMPASS TEA LIFE & STYLE (おいしいインド紅茶が人気のコンパスのブログです)

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コンパス代表、上野理絵です。


写真は、ナムリン茶園オーナー…だった、

友人でもある、プラティーク・ポッダー氏と、

通訳のマーサ。


今回、プラティークさんのご自宅におよばれした翌日に、プラティークさんのオフィスにうかがったときに、

プラティークさん自ら自撮りをしてくださった

3ショットです。






本当に残念なお知らせです。


ナムリン茶園が昨年、売却されました。


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『平家物語』より〜

「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵におなじ。」



誰しもが一度は聞いたことがあるでしょう。



「祇園精舎の鐘の音は、「諸行無常」、つまりこの世のすべては絶えず変化していくという響き(音)だ。沙羅双樹の花の色は、どんなに勢い盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。世に栄えて得意になっている者がいても、その栄華は長く続くものではなく、まるで覚めやすい春の夜の夢のようだ。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまうような、風の前の塵と同じである。」


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世の中には、事故や災害などと同じように、自分の力ではどうすることもできないアクシデントが起こる時があります。

それも、一つの事柄だけならまだしも、そこに二つも三つも起きてほしくない出来事が重なってしまうことがあります。


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ナムリン茶園もまさにそれでした。

元茶園オーナーで友人のプラティーク氏は、誰からも愛される人柄で、そして紅茶を真から愛し、素晴らしい茶園を作り上げました。

それはインドでまわりの誰もが今でも絶賛しています。

辞めざるをえなかったナムリン茶園のスタッフも、プラティークさんを悪く言う人はいないどころか、彼の味方であり、彼を愛し、彼を絶賛しています。


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紅茶会やイベントではお伝えして来ましたが、

ナムリンは昨年、茶園を売却しました。

苦渋の決断でした。

プラティークさんの師匠でもあるインド紅茶業界の重鎮ロイさんも、その奥様であるスミタさんも、

「ダージリンが嫌いだった人が唯一飲める紅茶だった」

「こんなに美味しい紅茶はなかったのに残念」

と口を揃えて言っています。 


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もちろん私たちは、zoomでも、メールでも、話を聞いていましたが、今回インドへ行き、本人、そして元従業員、まわりの人々から直接話をうかがってきました。




これは神様のイタズラだと思いました。

不可抗力です。

事件や事故に巻き込まれてしまったようなものです。


本人にはどうすることもできない「事故のようなこと」が起きたときに、同時に世の中では戦争が起き、コロナが蔓延し、ヨーロッパで紅茶の買い控えが起き、主流であったドイツへの輸出が激減してしまいました。

これはダージリン全体にとっても、今大問題となっており、それぞれの茶園が復活のために必死にがんばっています。


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平家物語のフレーズにもありますが、

インドの古代聖典にも、名前や形のあるものは、すべていつかはなくなる、と教えています。

ただ、なくなることが悲しいのではなく、永遠無限のもの…つまり「真理」と言われるものだけが真実で、あとは幻や夢のようなもの、ということなのです。


これはネガティブなことでは決してなく、

実は私たちは永遠無限の存在で、

今、目の前に起きていることはすべて仮のもの、ということをインドでは紀元前5000年前からその理論とともに聖典の中で教えており、それが世界中の宗教や教えの基盤となっています。


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たしかにナムリン茶園が売却され、次の経営者が茶葉栽培を立て直すまでには少し時間が必要です。


私もナムリン茶園のあの美味しいダージリンティーが飲めなくなってしまったことは本当に残念です。

でも悲しがっていてはいけません。

新たなスタートです。

世の中も人も、移り変わりながら成長していくものなのです。

彼もいつかまた紅茶に携わりたいと、その時期を待っていることも事実です。


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元オーナーのプラティークさんとは一生の友人であることは間違いありません。

なので今回も、ご自宅へもディナーにうかがい、翌日は会社にもうかがい、空港にもドライバー付きの車でお迎えをしてくださる間柄です。

きっかけは紅茶でしたが、今では真の友人です。


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日本でナムリン茶園を愛してくださった皆様に、心から御礼を言いたいとおっしゃっていました。

代わりにお伝えいたします。


そして、完全に紅茶から離れたわけではありません。誰にもどこにも負けない美味しい紅茶を作ることをミッションとして来た真面目な性格の彼のこの経験は、紅茶を愛する人たちにぜひこれからも役立って行きたいとおっしゃっています。

プラティークさんと少しでもご縁のあった方々には、

「いつでもインドの美味しい紅茶を紹介するから、これからは、紅茶会社の経営者としてではなく、紅茶を愛する仲間として、紅茶で皆様のお力になれることはぜひして行きたい‼︎」

と強くおっしゃっていました。


新たなステージの始まりです。

笑顔でエールを送りたいと思います。


ダージリンも、また新たなステージの始まりです。


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ナムリン茶園の紅茶が、コンパスの求めるレベルにまで達したら、その時は紅茶を送ってくれると、プラティークさんも、ナムリンを退職したテイスターも、私に約束してくれました。


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今まで、本当に美味しい紅茶を作ってくださったことに心から敬意を表し、そして改めてこの場で感謝を申し上げます。

(本人には昨年から何度も伝えていますが…笑)