工房で必要な革の底材を買いに行くという

マエストロにお願いして、一緒に

鞣し工場(タンナー)に連れて行ってもらいました。



マエストロのところで勉強している学生だと名乗ると

スタッフの方が工場の中を丁寧に工程の説明をしながら

案内してくれました。



まず、原皮。

↓のように積まれている生々しい原皮を



台に広げ端を切り落とす。



その後、毛を取るなど下処理して白く濡れた状態の皮を



レールに吊って、タンニンで満たされた水槽に浸ける。



水槽は↓のようにたくさん並んでおり



最も手前の水槽に1日、隣の水槽に数日、

そして最後の水槽に約30日浸けてタンニンを沁み込ませた後、

引き上げて油を塗り込んで



しばらく乾かし、



その後プレスして平らに伸ばした上で



また乾燥。



こうして約70日の時間をかけて生の「皮」の

タンパク質=コラーゲンを結合、固定、安定化させて

腐敗、乾燥しにくい「革」に変えていくのだそう。



こうして出来上がったたくさんの革が

我々のような工房に卸されたり



ここのタンナーは栗のタンニンを使っていて

特に堅牢で摩耗に強い

(逆に柔軟性や伸縮性、弾力性にはやや劣る)ので

更に手を加えて靴のソールやヒール、ウェルト、



また、家の床材や壁材として、



さらに珍しいところでは馬の蹄鉄に加工されたりして



売られている。



案内してもらった工場の中は

ハッキリ言って凄い臭いでした・・・。

しかも、それぞれの場所がそれぞれ異なる臭い、

例えば原皮のところは動物の生々しい臭いだったり

水槽の周りではタンニンを溶かした液体の臭いだったり

他の場所も鼻と喉を突くような化学的な臭いだったり、

がしていて初体験の自分には

なかなか慣れないものがありました。

が!

最終形としてはどんなにエレガントな靴になるとしても

その前にはウチのマエストロのような職人の方が

革屑や曲がった釘で溢れた、

お世辞にも綺麗とは言い難い工房で手作業で製作し、

さらにその前段階としてこういう過程があってこそ

その靴が存在することが可能なんだ、という

当たり前のことがよく分かり、工程を知る興味と共に

こういう基礎的な製造工程に対する敬意を

持たずにはいられない、そんな貴重な体験になりました。