ここ1年くらい本を選ぶときに
参考にしている番組がありまして。
鈴木保奈美さんがナビゲートしている『あの本、読みました?』というBSテレ東の番組なんですが、そこで紹介されるのを聞いているとどの小説も面白そうに思えてくるから大変。
『傲慢と善良』もその一つです。
読み終えてみると、一体ジャンルはなんなのか??
ミステリーっぽくもあり、恋愛ものっぽくもあり
自分の内側を深く掘り下げるような深刻さもあったりと
サラサラとどんどん読んでいけるのに、心にずっしりとごろごろとした塊が溜まっていくような感覚がありました。
ミステリー好きなこともあってか、
出だしは「誘拐?」「失踪?」「監禁事件?」とハラハラしながら読み進んでいたのですが、途中から様子が一変。
なんか様子がおかしくなってきたぞ?って辺りからは、タイトルの『傲慢と善良』がめちゃくちゃ効いてくる!
登場人物たちの心理がものすごいリアルで。
こういう人!いる!嫌だなぁ〜って思いながらも
でも自分ってこういう感情全く無いと言える?
ちょっとわかるところもあるよねーとかなんとか思いながら
過去の自分を反省したり。。
主人公(男性)の女友達に対してすっごいムカつくんだけど、性格が悪いぜ!と思うんだけど、悔しいかなその心理状態が理解できる。。あーーーーーこういうとこ、あったよねーーーって。
抉られたなー。
主人公(女性)の母親もね。
自分の母親こそこの方とは真逆ぐらいな性格の人なので、私自身はこんな苦労をしたことはなかったんだけど。
この手のお母さんはタチが悪い。って子供からの視点で見るとそれ一択なんだけど、この年になってみると(子育てはしていないけど)このお母さんはこのお母さんなりに娘が幸せになることを願って必死なだけなんだよなぁってところも、理解はできる。
ただやっぱり、子供はあなたの所有物ではないのだからどこかで諦めて手放さなきゃいけないんだろうね、って思うけど。
善良でありたいと思いながらも、誰しもが傲慢さを持ち合わせている。かなりの人がそのことに蓋をして、見ないようにしているけど、自分にはそういう傲慢さがあるんだよなと受け止めていられると視野が少し広がって世間を今よりちょっと寛容に受け入れられる気がしました。
小説を読む前に藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんで映画化されているのを知っていたんだけど、二人ともしっくりきすぎて読んでる間中二人が駆け回っていました。
男性側の悪気のない鈍感さや、彼女のついた嘘を真っ直ぐに受け止めるとこなんかは単純すぎて本気かコイツと思いつつも、抉られることの多い小説の中で救われました。
だって、私だったら彼女のこと受け入れるの躊躇すると思うーーーー。