皆さまこんにちは!
COMMON TIME渋谷店です。
前回、自動巻クロノグラフについて同年に発表された3社それぞれの特徴をお話しさせていただきました。ではその3社、いったいどこが一番最初なのか?!
そこについて今回はお話ししたいと思います。
前回の記事は↓↓こちら↓↓
https://ameblo.jp/common-time/entry-12509056720.html
まず、ゼニスのエル・プリメロですが発表は1969年1月10日でした。しかし、製品化されたのは同年の9月です。
一方、ブライトリングを中心とした連合軍のクロノマチックは1969年3月3日に発表していますが、製品化はエル・プリメロより先でした。
そしてセイコーのキャリバー6139。発表は不明確でしたが、1969年5月下旬には製品化され店頭に並んでいたそうです。
まとめると・・・
発表は、エル・プリメロ>クロノマチック≧キャリバー6139
となり、
製品化は、キャリバー6139>クロノマチック>エル・プリメロ
ということになります。
発表でいうならゼニスが最初、製品化でいうならセイコーになるのですが、そのどちらでもないブライトリングが世界初だ!という人も多くいます。それはなぜかというと、“世界的な発表”を最初に行ったのがブライトリングだったからです。
ブライトリングは同年4月のバーゼルフェアにて世界的な発表を行っておりこの発表が公的な最初の発表と解釈されたんですね。。
ゼニスが1月10日に発表した時は、創業の地スイス、ル・ロックルでの記者会見だったそうです。同じくセイコーも大々的な発表はせず発売に至っています。世界中にお披露目されたのはブライトリング率いる連合軍が最初だったわけですね。
余談ですが、セイコーは同じ1969年12月25日に世界初のクオーツ時計である「アストロン」を発売しています。そこからクオーツショックの時代に突入していくわけですが、1973年にはETA社が7750というのちの時計業界に大きな変化をもたらす名ムーブメントを開発したりと、時計の歴史を語る上では決して外せない時代がこの1970年前後です。
今現在は技術も大きく進化していて、どのメーカーも最新のハイスペックムーブメントを開発しています。ところがエル・プリメロだけは細かな部分は改良しつつも、基本設計は当時のままで今なお現役で搭載されている唯一のムーブメントなんです!
電車に例えるならSLが現役で走っているのと同じだと思います。鉄道博物館などに行けば実物が見れますが、実際に動いているところを見たらロマンを感じませんか?
そう考えると、エル・プリメロの完成度の高さを感じますね。毎年のように目まぐるしく新たな素材、機構が発表されワクワクしますが、こういった良き時代の名機も手に取ってみてほしいな、と思います。
最後になりますが、結論として明確な世界初というのはないのかも知れません。各社とも世界初の要素は持っているので・・・(笑)
大事なのは、各社ともそれぞれ時計への熱い想いがあり、しのぎを削りあったからこそ今日の機械式時計、自動巻クロノグラフが存在しているということではないでしょうか。
長い長い時計の歴史ですが、今でこそ当たり前の機能にもこれだけの物語がある、という魅力が少しでも伝われば嬉しく思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!