皆さまこんにちは!
COMMON TIME渋谷店です。
久々の更新となってしまいましたが・・自動巻クロノグラフが世に発表されたのが1969年です。
今年2019年は誕生して50年の節目ということで、今回は自動巻クロノグラフについてお話してみたいと思います。
今でこそどのメーカーも必ずあると言ってよい程一般化された自動巻クロノグラフですが、
意外とその背景についてあまりご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はこの1969年になんと3つの自動巻クロノグラフが誕生しています!
まず1つ目は、ブライトリングです。正確には、ブライトリング社、ホイヤー社、ビューレン社、デュボア・デプラ社との共同という強力な連合軍です。当時のウィリー・ブライトリングとジャック・ホイヤーが手を組んだということですね。今考えると時計業界を揺るがす大変な出来事です!この連合軍が開発したのが“クロノマチック”。2005年に復刻されたので名前を聞いてピンとくるファンの方も多いのではないでしょうか?このクロノマチック、3針の自動巻ムーブメントをベースに、マイクロローター搭載のクロノグラフモジュールを取り付けた構造が特徴です。ブライトリングは「ナビタイマー・クロノマチック」、ホイヤーは「カレラ」「オウタヴィア」「モナコ」、ビューレンはハミルトンの「パン・ユーロ」にクロノマチックが搭載されました。
現行のブライトリングに使われているB01ムーブメントも、ラトラパンテのモジュールを取り付けるとB03ムーブメントになるので、当時の発想が今なおムーブメントの進化に影響を与えているんですね。
そして2つ目は、ゼニス。名機“エル・プリメロ”です。連合軍が3針ベースのモジュール式だったことに対し、こちらは完全一体型!さらに50時間のパワーリザーブに加え、36000振動ハイビートのおまけ付きという業界を震撼させる完成度を誇っていました。
この50時間パワーリザーブはクロノグラフとしてはエル・プリメロが世界初と言われています。のちにロレックス社がデイトナに搭載したのは有名な話ですね。実はデイトナに搭載されたエル・プリメロは36000振動ではなく、28800振動に落として使われていたことはご存知でしょうか?他社パーツを使わないことで有名なロレックス社が唯一搭載した社外ムーブメントです。この出来事がさらにエル・プリメロの評価を向上させる要因となりました。今年2019年は当時のエル・プリメロの復刻である「A384 Revival」が発売されます。
当時のオリジナルパーツをデータ化して、忠実に再現いるのでファンならずとも注目ですね。
そして最後3つ目は・・なんとセイコーです!クオーツ時計の発明の印象が強いので意外に思われるかもしれませんが、機械式でも当時のスイスメーカーに負けないくらいの技術力を持っていました。開発したのは“キャリバー6139”、セイコーファイブスポーツのスピードタイマーというモデルに搭載されました。一番の特徴は、「垂直クラッチ」を初めて取り入れたことです。ちょっと小難しい話をしますと・・・クラッチとは、ストップウォッチを使用するときは歯車に連結し、使用しないときは解除する、というものです。手巻き時計のクロノグラフは「水平クラッチ」というものが主流でした。名前の通り横向きのパーツなので、自動巻になるとローターなどパーツが増える都合上スペースを確保できなくなってしまいます。そこで開発されたのがこの「垂直クラッチ」です。今現在ほとんどの自動巻クロノグラフは垂直クラッチを採用しています。セイコーは質実剛健なイメージのあるメーカーですが、こういった革新的な設計を行ったり、クオーツやスプリングドライブの開発など時代を先取るチャレンジにも取り組んでいるメーカーなんですね。
以上、それぞれの特徴を簡単にお話ししましたが、同じ年に3つも開発されるなんて本当にすごいことだと思います。どのメーカーの方たちも時計に対して情熱と熱意を抱いているからこそ、良い意味での競争が生まれそれが技術として次世代に継承されているのでしょうね。こうした時代背景を知っていくのも時計の面白さの一つだと思いますので、何か少しでも時計の魅力が伝われば幸いです。
非常に長くなってしまったので続きは次回に・・・今日お話しした3社、結局どこが世界初なの!?と思っていらっしゃる方もいるでしょう。次回はそのお話を綴りたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます!