【暗の雲】番外編 ガチグチカウントダウン3/3 | コマンタレヴの懐古蟲

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かつて新しいもの好きだった私が、そのスピードについて行けず、
「あれは良かった、これは良かった」などと過去を美化し始めた…。

そんなオッサンの物語。

父の肺炎が再発してから、

とにかく状態は悪くなる一方だった。

 

熱は上がったまま、

血圧が大きく下がった為、昇圧剤の使用。

酸素が取り込めない為、呼吸器を差し込み、

食べ物は取れないので、点滴。

薬が飲めないので、鼻からカテーテル。

尿も尿管からカテーテル。

バイタルを取るための端子。

 

もう体中が管だらけになってしまった。

 

意識も無い事が多く、呼びかけても

なんの反応も無い状態が増えた。

 

 

ツライ。

とにかくツライ。

こんな姿を見て何一つ楽観的になれない。

病室で初めて私は泣いてしまった。

 

悲しいとか、自身の無力感とか

色んな感情が入り混じったような感覚だけど

私のこの感情は「怒り」によく似ている気がする。

 

でも父の姿をみて何故、「怒り」に似た感情が

湧き上がってきたのだろう。

 

前回、若い医師だか看護師だかよくわかんない奴の場合、

矛先はハッキリしているから、まだマシだった。

 

だけどこの「怒り」のようなものには矛先がない。

正直言えばうっすら矛先は見えている。

 

その矛先は「私」だ。

 

私は自分を正当化して自身を守ろうと考える一方、

自分の考えや行動が気に入らなくもある。

 

私は自分で自分に怒りをぶつける方法を知らない。

自分に腹が立つ。とは言っても私は私をどうやって

ぶっ飛ばしてスッキリすればいいのだろうか。

 

そうして溜まった怒りは自分ではなく他者へ

はけ口を求めていく。

 

とはいえ病気の母にそれを向けるわけにはいかない。

軽度のアルツハイマーなので、言動や行動に

正直イラッとしてしまう事もあるのですが、

絶対に怒り口調になってはならない。と決めているので

ブレーキは踏めている。

 

しかし他者に対しては違う。

今はもうどうでもいいよ、と思っているせいもあって、

やたら噛みつくような物の言い方になってしまう。

 

今は医師の顔見てイラつくし、

看護師の顔見てイラつくし、

ちょっとうるさい患者にイラつくし、

病院の入り口を塞いでいるタクシーにイラつくし、

全然関係無いのに芸能ニュースに出ている人にまで

文句付け始めてたらもうダメだ、と思う。

 

ダメだと思うならどうにかしなきゃならない。

でも方法がわからない。

人に救いを求める問題でもない。

 

ならば色んな手段を取るしかない。

取った手段によっては悪化する可能性もある。

 

大丈夫、少なくとも犯罪行為はしませんよ。

 

あ、裸で街を歩くのは犯罪でしたっけ?

じゃあそれはやめておこう。