終末のフール その1 | My favorite is …

My favorite is …

好きな音楽や本、映画に出逢った時、そこに関わるエピソードが必ずあります。

人間は時間的存在である。

それゆえに、過去の断片化した記憶を綴り、書き記していこうと思います。


Today is the first day of the rest of your life.
~今日という日は残された最初の一日~


終末のフールを読んだ全ての人に
半ば勝手に捧ぐ半端で私的な続編。


8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。
そう予告されてから5年が過ぎた頃、
当初は絶望からパニックに陥った世界も、
いまは平穏な小康状態に落ち着いている。

皆それぞれに余命3年という時間の中で、
ゆっくりと人生を見つめ直していた。







~靴底のヒール~


後3年で世界の終わりが来るというのに、
店を開いている靴屋を見掛けた。

暢気なものだ、お客さんなんて入るはずもない。
そう思って見ていた矢先、さっと1組の男女が入っていった。

なんだか気になって私も店に入ってみる。


あの男女はどうやら夫婦らしい。
子供の靴を捜しているようだった。

奥さんのお腹が少しふっくらしている。


まさか、この終末に子供を生もうとする
家族がいようとは…

少し驚いたのと同時に、そんな二人がなんだか
『太陽のシール』のように眩しかった。



ふと、女性用のコーナーに飾られていた
赤いハイヒールが目に入った。







私もハイヒールは結構な数持っていて、
家の棚に飾ったそれらはちょっとした自慢だった。

色とりどりの私の靴たち、
その日の気分に合わせて履き変えていた。



脚を少しでも長く見せたくて、
小さな身長をちょっとでも大きく見せたくて。

踝や踵の痛みなんて二の次で、
無理して履いていたっけ。

着飾る必要もなくなった5年前、
私の自慢の靴たちは意味を失った…



なんだか急に「靴に恋して」という
外国映画の事を思い出した。

素敵な靴を履くと幸せな気分になると、
そう映画では語られていた?気がする。








家に帰って久し振りに、
本当に久し振りにハイヒールを履いてみた。

靴に合わせて服も着てみようと
クローゼットを開けたら、

そこには5年前と変わらず
綺麗にかけられた服たちがいた。


地球が滅亡する現実なんて
素知らぬ顔をして。




靴と服をあれこれ合わせてみると、
なんだか楽しい気分になってきた。


今度、隣の子に幾つかプレゼントしてあげよう。
まだ若いから大人っぽい洋服や靴は持っていないはずだ。

ずっと『冬眠のガール』のようだったあの子にも
最近彼氏が出来たと言っていたし。



そして私は意気揚々と外に出る。
まるで週末のデートに出掛けるように♪

そんなとある日の私の終末。







P.S 捻くれものの毒舌女性へ

実はハイヒールよりスニーカーを履く
女性の方が好きなのです。

昔、NIKEのエアフォースワンを
(ロゴがピンクのちょっと可愛い感じの)
プレゼントした時は、パンプスの方が
良かったとダメ出しされたけれども…


苦い思い出を語るスニーカーフェチより