Today is the first day of the rest of your life.
~今日という日は残された最初の一日~
終末のフールを読んだ全ての人に
半ば勝手に捧ぐ半端で私的な続編。
8年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。
そう予告されてから5年が過ぎた頃、
当初は絶望からパニックに陥った世界も、
いまは平穏な小康状態に落ち着いている。
皆それぞれに余命3年という時間の中で
ゆっくりと人生を見つめ直していた。
~湖畔のオール~
大会も目前に迫り汗を流していた5年前、
僕たちの世界は終わりを宣告された。
大学そのものが行かなくてよくなり、
傾けていた情熱は零散していった。
ボールを蹴る音と笑い声が聞こえ、
窓の外を見やる。
10人位の人たちが集まって
楽しげにサッカーをして遊んでいた。
よく見ると近所のおじさん連中だった…
この街に残った数少ない大人たちだ。
なんだろう、見ていたら数年ぶりに
ボートが漕ぎたくなった。
僕は行ってみる事にした。
あの夏、毎日のように練習したあの湖畔へ。
行く途中で川辺を走る2人組に出くわした。
なんだか珍しくて思わず声をかけた。
彼等は市街にあるキックボクシングのジムで
練習を続けているらしい。
後3年で世界が終わるというのに、
一体どういうつもりなのだろう。
その引き締まった身体はさながら
『鋼鉄のウール』のようだった。
湖畔に着いた頃には、午後になっていた。
時計なんか持っていないが、
水辺に差す陽の光で午後だと分かる。
それ位すぐ感じ取れるほど、
4年間僕はこの場所で時を過ごした。
始めたきっかけは
「レガッタ」というドラマだった。
視聴率が悪く9話で打ち切りになったのだが、
僕は何故か見てハマッた。
オールをしっかり握って、
ボートを漕ぎ出す。
最初はゆっくりと、徐々に早く。
次第にスピードが増していき、
水しぶきを上げて進んでいく。
瞬間、当時の感覚が蘇ってくる。
その感覚にもっと浸りたくて、
一心不乱にオールを動かす。
遠くに見える『深海のポール』のような
あれを折り返し地点にして、
何度も何度もタイムを競ったあの頃。
ふと我に返ったそのとき、
オールを漕ぐリズムが乱れた。
僕は漕ぐ手を止めて、
背中からドサッと倒れ込む。
見上げると、空はどこまでも青かった。
まるで世界の終わりなんか
どこ吹く風という感じに…
すると涙が溢れてきた。
これは多分、最後の大会に望めなかった
悔し涙だ。
突然告げられた世界の終末に呆気にとられ、
5年間流す事を忘れていた涙。
僕は暫くの間、こみ上げる感情に
その身を任せることにした…
P.S アウトドア派の同僚へ
実はボートを漕いだ経験はありません。
経験がない分、ラフティングとかカヌーとか非常に憧れています。
リフティングは出来るんですけどねw
転覆したら溺れてしまう能力者より


