私の頭の中のスクリーンに映ったものとは、荒野に打ち捨てられた、
住居の一部だったとおぼしき、日乾しレンガを積み重ねた壁だった。
周りには誰もおらず、人の気配もない。
ひたすらの沈黙と時の止まったような空気感だけが感じられた。
しばらくの間、その光景をじっと眺めていたが、ふと我に返り、私は
深く息を吸った。
あの光景はなんだったのだろう?
どんなことを私に教えているのか?
何を意味しているのだろうか?
もし現実に存在しているとしたら、いったいどこなんだろう?
しかし何よりも私を悩ませたのは、もしあの光景が自分の心の原体験だ
としたらなぜあんなにも荒涼とした光景なのだろう、という思いだった。
それから約20年、折に触れては、あの光景のことを思い出し、心当たり
のありそうな人に会うたびに、勇気を出して話してみたのだが、誰も
ピンとくるような話をしてくれる人に出会うことはなかった。
しかしついにその答えを示してくれる人物に出会う機会が訪れた。
それがリンポチェを紹介してくれた、Fさんだった。
その時は、家内の誕生日のお祝いに合わせて上京し、渋谷のあるホテルに
部屋を取り、Fさんを招いた。そしていろんな話をするうちに、私はふと
彼女に20年前の顛末を話してみる気になり、思い当たることがないか、
聞いてみた。
すると彼女の口から、
『私がそこにお連れします』
という、驚く言葉が発せられたのだった。
それがまさにセドナへの旅の始まりだった。
続きます。