「様」と「殿(どの)」
どちらも手紙の宛名で使う言葉です。「様」は話し言葉でも使いますね。
日本語には、そのものズバリを指さずに「その方向をやんわりと示す」傾向を持つ表現があります。
たとえば昨今よく取りざたされる「お席のほうへ」などの誤用ももともとは次のような会話でのニュアンスが元になっているとされます。
「仕事はどちらのほうを」
「医療のほうを」
「ほう、医療のほうですか」
医師なのか、そうであればどの病院なのか、あるいは医薬品の仕事なのかなど詳細まで聞いては失礼ではとう気遣いがこんな会話をうみ出しています。
「様」も、ぼんやりと方向を示す「サ」と接尾語「マ」が結合した言葉です。
相手に直接送りつけるニュアンスをやわらげるために生まれたものです。
「殿」もその人に直接ではなく、その人が住む御殿に宛てて送るという気持があってのこと。
「殿下」とは、相手の「殿の下」「足下」という意味が転じたものです。
とはいえ、「殿」は今ではあまり目上の人には使わなくなってきています。
広辞苑ではこう書かれています。
--------------------------------------------
他人の氏名・官名の下に添えて敬意を表す語。
「様」よりも敬意が軽く、また現在ではより公的な語。
--------------------------------------------
つまり、「殿」は一部の役所などで使われる場合を除いて、一般的にはだんだん使われなくなってきています。「人事課長殿」という具合に役職の下につけることはできるため、公的には便利なのかもしれませんね。
しかし「殿」のほうが「様」よりも敬意が軽く、「●●殿」と呼ばれて「失礼だ」と感じる方も増えています。
───ポイント
☆「様」「殿」いずれも相手に直接ではなく、その人のいるところを漠然と示す意味で使われてきましたが、最近では「殿」は使われる頻度が下がっています。
◆最新記事一覧です> http://ameblo.jp/comkeigo/entrylist.html
◆主宰者のHPです> http://www.value-p.jp
◆主宰者のメインBLOGです> http://valuep.livedoor.biz/