「~させていただく」 | ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

ほどよい敬語~「コミュニ敬語」でいこう

プロのライターでも経営者でも間違えることがある敬語。相手を思いやるコミュニケーションツールとして「ほどよい敬語」を使いこなして「デキル人」になっちゃおう。


「させていただく」という表現について先述の記事で書きました。
→ http://ameblo.jp/comkeigo/entry-10097491416.html

とはいえ、話し言葉ではついつい使ってしまうものです。

「お・ご~させていただく」のまず基本の使い方をふまえておきましょう。

自分側の行為を
1 相手側または第三者の許可を得て行う
2 それにより自分側が恩恵を受ける(あるいは受ける気持がある)

場合に使います。
この2つをどれくらい満たすかにより、適切か、そうでないかを判断します。感じ方の個人差はもちろんありますが、指標にはなるでしょう。

ア 相手の本を貸してもらう
  「この本を貸していただけますか?」

イ パーティで
  「本日司会を務めさせていただきます◯◯です」

ウ 休業を知らせる
  「本日、休業させていただきます」

エ 同窓生◯◯さんのご両親に
  「◯◯さんと同じ大学で勉強させていただいたものです」

オ 大学のサークルの新人歓迎会で新人として挨拶
  「私は◯◯学部◯◯学科に入学させていただきました」

アは、貸してもらうことに許可が必要で自分が恩恵を受けるため、1、2両方を満たしています。

イは、実によく聞く言い方です。司会を許可するのは会場の人ではなくあらかじめ決まっていたことで、やや過剰な印象を持つ人がいることは確かです。慣用的に使われてはいますが。本来は「本日司会を務めます◯◯です」と言うほうがすっきりしています。

ウは、条件を満たしてるなら適切ですが、「相手側の許可」がない場合にはやや冗長です。

エは、1、2両方を満たしていない場合がほとんどでしょう。しかし、相手側が目上のために、ついつい使ってしまうものです。言いにくい時は「勉強する」という動詞を省き「◯◯さんと同じ大学だった◯◯です」でもいいでしょう。

オは、1、2両方を満たしていない場合がほとんどでしょう。本来入学できないレベルだったが、学校側の特別なはからいがあって入学できたという意味があるなら別ですが、そうなればゆゆしきことです。

このように、同じ「させていただく」にも、どんなケースで使うかということと、個人差により受け手の印象も変わってくるのです。

───ポイント

☆「~させていただく」を使うかどうかは「自分側の行為を相手側または第三者の許可を得て行うものかどうか、それにより自分側が恩恵を受ける(あるいは受ける気持がある)かどうか」により判断する。