こんにちは、久田和弘です(*^^*)

「月に吠えたンねえ」が「月に吠えらんねぇ」と大きく違うところは、室生犀星作品から生まれた「犀(さい)」に顔があること。「月吠え」では物語後半までとある事情によりのっぺらぼう状態でしたが、「吠えたン」世界線の犀には最初から顔があります。

第一話「親友は大詩人」では、そんな犀の執筆と生活スタイルが垣間見えてとてもおもしろいですし、「月吠えとは違って軽いタッチだなぁ」という印象を持ちながら読み進められます。(月吠え1話の腐乱した溺死体を前にぶるぶる震える朔くんとはえらい違いや……)

「吠えたン」の犀と朔くんの仲は良好……と思いきや、朔くんの病的な創作スタイルについていけず若干引いてしまう犀。このあたりの描写は「月吠え」でもありましたね。ただこちらはかなり難解な描かれ方をされていたものの、犀が朔くんの創作姿勢に賛同できず、小説家になり、ついには彼が嫌いだったはずの旅に出てしまう、という一連の流れにおける心理描写は大体同じなようです。

「吠えたン」の朔くん事情も大分ラフに描かれています。「詩人の中の詩人」「無職」「医者のパパの小遣いで暮らしている」と結構言われたい放題ですが(笑)。個人的には、横断歩道がひとりでは渡れない朔くんと手をつないであげる犀に対し「おじさま禁じられた関係なの?」とそばにいた少女に尋ねられるコマがツボです。