5日目は特に予定も予約もない。
日課の散歩とシュノーケリングを楽しむ。
リゾートの島内は遠浅の海が続く。
この日はカヤックでも行かなかったすぐ近くにある無人島へ出掛けることにした。
無人島の近くではコテージ周囲にいない魚がたくさんいた。
スタッフの話によると運がよければウミガメにも出会えるらしい。
コマオと嫁はウミガメを探してみたが、そのような影は見当たらなかった。
ちょっと遠出したことで体はとても疲れており、午後は昼寝をした。
コマオらがごろごろしていると部屋の電話が鳴る。
本音を言うとコマオは電話に出たくない。
対面していれば身振り手振りや表情で英会話を乗り切ることが出来る。
しかし、体も手も顔も見えなければ、コマオの英会話は全く成り立たない。
耳を極限に集中させても英単語を拾うことが出来ない。
そんな中、電話は無常になり続ける。
嫁は絶対に出ないのでコマオは仕方なく受話器をとる。
電話の相手はsea activeのスタッフだった。
コマオなりに要約すると明日が出国日なのでシュノーケルセットを返して欲しいとのことである。
コマオはわかりました15時くらいに行きますと伝え、一仕事を終えた。
15時、コマオは一方的に約束したものと思っている返却時間にシュノーケルセットを持ってsea activeを訪ねた。
そこには日本語を話せるイアンは不在で、初対面の時、ちょっと不機嫌そうだったスタッフがいた。
コマオはちょっと怖いなとビビり気味だったが、その人はコマオが返却に来たとわかると上機嫌だった。
本当はいい人なのかも知れない。
コマオは英語で意思疎通が出来ない自分を忌々しく思った。
夕食はヴェリにある日本食とイタリアンの合作料理レストラン、ゲッコーである。
久しぶりに日本人好みの味付けにありつけ、改めてお出汁が大事だと気付かされた。
この夜でモルディブともお別れか、コマオは少し切なくなった。
来週からはまた過酷な労働が待っている。
コマオは胸が張り裂けそうだった。
翌朝、最後の朝焼けを拝み、ビュッフェで朝食をとる。
12時にチェックアウトだが島を離れるのは19時半である。
みんな一体どうやって時間を潰すのかわからない。
朝の散歩がてらサトミさんに尋ねてみると、スパを勧めてくれた。
コテージに戻り、残りの時間をのんびり過ごしていると雨が降ってきた。
スコールのようである。
きつく、大粒の雨がざっと振り、海を若干濁らせた。
11時半、部屋の電話が鳴る。
嫁は絶対に出ないので、コマオが受話器をとる。
チェックアウトのお時間ですというお知らせらしい。
さらにスーツケースがどうのと言っていたが、よく分からない。
12時になり、荷物を全て片付け、部屋を出る。
フロントまで行こうとすると、カートを動かしていたボーイさんに制止された。
さっきの電話は部屋で待てとのことだったようだ。
14時半からスパである。
コマオは前回同様、施術中に気持ちよすぎて居眠りしてしまう。
気持ちよい120分はあっという間に過ぎ、コマオらはいよいよすることがなくなった。
19時半の離島の後、23時半の飛行機でモルディブを離れる。
今のうちに夕食をとっておこうと嫁は言った。
アクアと言うバーにあるハンバーガーが人気である。
コマオらはそれを注文し、食べた。
日本人には半端ない量だった。
19時半、ボートに乗り込む。
サトミさんに感謝を伝え、船は急スピードで走り出した。
船員が尋ねてくる。
「さっき言ってた『ありがとう』って何の意味だい?」
「あぁ『ありがとう』は『サンキュー』だよ」
コマオは得意に日本語を教えた。
ボートは20時過ぎに空港に到着する。
フライトまで3時間あり、小さな空港内をぷらぷらする。
最後にお土産の買い足しをとチョコレートやらを購入した。
これから4時間かけ、飛行機はシンガポールへと向かう。