コマオは休日にもかかわらず、午前7時に起床した。
トーストとコーヒーで朝食を済ませたコマオはさっそく作業に取り掛かる。
先日からノートPCへのデータ移行に忙しいコマオは、最後に残されたiTunesに手をつけた。
コマオのiTunesは10GBを超えている。
あいにく、コマオが所持しているUSBメモリは2GBなので素早いデータ移行に不向きであった。
コマオはこの際だから16GBのメモリでも買おうかと思っていたが、ひと月のお小遣いには限りがある。
一切の無駄遣いは許されない。
経済的理由から、コマオはLAN接続によるデータの共有を選択した。
自分でLAN接続するのはコマオにとって初めての試みである。
慣れない手順とまだ使いこなしていないWindows7に四苦八苦したが、何とか環境を整えた。
さて、共有データを作るかと腕をまくると寝床のインターホンがコマオを呼ぶ。
ガス会社の点検である。
以後、リビングでPCの作業をしていたコマオは30~40分にわたり、同じ空間で知らないおじさんと各々の作業に専念した。
もちろん会話はない。
「大丈夫です」
おじさんはコマオに署名と捺印を求め、コマオが同意すると去っていった。
顧客を不快にさせず、黙々と作業にあたる姿はまさにプロのそれであった。
「私もああいう風でありたい」
午前中にデータ移行を済ませたコマオは昼食をはさみ、嫁に頼まれた夕食の買い付けに向かう。