年度末には仕事も増える。
この忙しい頃になると「あぁ春だなぁ」と実感し、春風になびかれながら現実から逃げてしまいたくなる。
最近のコマオは『もしtoto BIG1等が当たったら』という妄想にハマっている。
惨めである。
コマオのオフィスでは昨日、今日と新入職員を対象とした研修を行っている。
学術研修委員長のコマオはその全てを牛耳る。
また、主任でもあるコマオは自ら講義を開かねばならない。
思えば、コマオが社会の荒波に飛び込んでから丸五年経つ。
「五年経ったしあの資格でも取るか」
コマオは新たな目標を設定した。
しかし、たった五年で偉くなったもんである。
五年前は偉くなった分だけ収入もベースアップするという自らの思惑を信じて疑わなかったが、世の中がここまで厳しいとは夢にも思わなかった。
五年前のあの頃、方向性は違えど同時に社会の荒波に飛び込んだ学友らは、今何を思うのだろう。
現実に絶望し、コマオみたく宝くじに未来を託しているのか?
はたまた、新たな夢や目標を見出し、コマオみたくがむしゃらに走り続けているのか?
春先、コマオは人目を気にしている。