転倒とは本当に危険な事故である。
骨の弱い人なら骨折もするし、頑丈な人も打ち所によっては死に至る。
コマオは普段からお年寄りと接しているので、転倒・転落に敏感である。
コマオは昨晩のフットサルで転倒した。
3対4の変則的なオフェンスの練習をしているとき、何気なく出したパスの勢いで文字通りひっくり返った。
おかげでその後の練習試合も晩飯のラーメン屋さんでも、アウェイに乗り込む阪急電鉄車内の今も、腰部から大腿部にかけて左側がとても痛い。
相方は夜勤のため、慰めてくれる人もいない。
もっとも、相方がいたところで罵られたり執拗に患部を触るだけなので、慰めは期待できない。
昨晩、コマオらはちょこちょこっとメールを交換したが、馬鹿にされるのが嫌で転倒については触れなかった。
しかし、久しぶりに一人きりで電車を利用したコマオは話し相手不在を不安に感じている。
「罵られるのもまた幸せの証か…」
不安なコマオは思わず車内で独り言を発しそうになる。