コマオは腹をくくりつつある。
今月末、2年ちょいのいわゆる同棲を経て、やっとこさ相方のご両親へご挨拶に赴くらしい。
コマオが思っている以上に怒られることであろう。
お伺いをするのは夜になるので、先方は泊まれと言っているらしい。
怒られたのに風呂と布団を借り、さらに朝ご飯までご一緒しなければならない。
コマオはおちおちトイレにも行けず、膀胱炎を発症するか成人なのに夜尿をおこすことうけあいだ。
コマオと相方は今年に入ってから3件ほどブライダル相談会に出向いた。
1つは真新しいゲストハウス、1つは20年来の実績あるゲストハウス、そしてもう1つは老舗ホテルである。
相方の希望により、神戸で会場の見学・相談をすることになった。
おそらく実際の挙式も神戸ですることになるだろう。
コマオは京都生まれで大阪育ちだと言うことを忘れてはならない。
当然、家族・親族、友人、知人は京都と大阪にいるが、相方にとってはあまり関係のない事実だそうだ。
「電車で来れるやろ」
相方はバッサリ切り捨てた。
相方は兵庫県の出身である。
コマオと相方の意見は不一致の連鎖を生んでいる。
コマオはその豊富な知識と駅近くの利便性などから、会場に老舗ホテルを推す。
しかし、相方は煌びやかな外観ときめ細かな演出や最新設備などから20年来の実績あるゲストハウスを第一候補としている様子だ。
ここで老舗ホテルが候補から除外されていることは衆目の一致するところである。
世の中、思うようにいかないことばかりである。
好きな人と暮らすために怒られ、怒られてまで暮らしたい好きな人には意見を却下される。
「それはそれで仕方ない」
諦めではなく覚悟を決めたコマオは、まず、その空いた小腹に昼食を詰め込むことを決めた。