一つは
『他人が言った悪口には
絶対便乗しない』
お寺は
昔は特に
村の社交場の一つでしたから、
色々な話が
祖父や祖母のもとに
持ち込まれました。
隣近所の愚痴を言っていく方などは
山ほど居たでしょうが、
適当に相槌を打って
慰める祖父とは対照的に
頑として
頷きもせずに
話を聞いているだけの祖母の姿が
そこにありました。
亡くなってからも
「気難しかった」
と評される祖母の由縁ですが、
そこには
彼女なりの
智慧がありました。
こういった場での
「ここだけの話」というものは、
たいてい
「ここだけではない話」
になってしまいがちです。
よそさまに対しての愚痴話に
うっかり「んだよね~」
などと言おうものなら、
次の日には
「お寺の奥さんに、
○○さんの事話したら、
やっぱり××だって言っていた」
と村中に広まってしまいます。
愚痴る相手を思いやって
放った相槌が、
いつの間にか悪口を
自分が言った事にされてしまう…
そんなはずじゃなかったのに…
なんて思ってももう遅い。
覆水盆に還らず
後悔先に立たず…。
状況に飲み込まれて
自分を見失う様な事はするな。
まだ小学に入ったかどうかの孫娘に、
真剣な眼差しで語った
その横顔が忘れられません。