【ワークステーションで書類を作る】
大月部長 「童子ちゃん、新規工事の説明会で配布する書類はできたかい?」
童子さん 「出来上がったのでこれから印刷しますね」
大月部長 「60世帯が対象だから、100枚くらい印刷しようか」
麦ちゃん 「すごいわねー、35年も昔のパソコンなのに、こんなに綺麗に書類ができるのね」
童子さん 「この機械はパソコンじゃなくてワークステーションと呼ばれてたの」
35年昔の縦置きのブラウン管ディスプレイを乗せたコンピュータで、図版入りの書類を印刷していますが、現在のMicrosoft Wordで作成したような書類が出てきて驚く麦ちゃんとみどりちゃんです。
【個人で使えるミニコンを目指したワークステーション】
1980年代後半から1990年代前半まで、日本のオフィスに多く導入された高性能コンピュータ「ワークステーション(WS)」です。
童子さんが使っているのはソニーのワークステーション「NEWS-800」です。
当時、多くのコンピュータメーカーや電機メーカーがワークステーションを開発し発売しましたが、その中でオムロンのLuna(ルナ)とソニーのNEWSが注目を集めていました。
ワークステーションは、ジュースの自動販売機くらいの大きさがあったミニコンピュータ(ミニコン)と同等の性能で、マウスやマルチウィンドウなど先進的なユーザーインターフェース(UI)を搭載し、現在のパソコンとなんら変わらない使い勝手を実現していました。
ただ、パソコンよりはずっと高価で、システム価格は100万円~500万円ほどするものでした。
現在、2万円強で買うことのできる、手のひらサイズのミニPCの方が1990年のワークステーションよりも圧倒的に性能が高く、処理速度、記憶容量ともに当時のWSの数千倍の能力を持っています。
【1980年のオフィス】
以前に掲載したイラストです。
1980年前のオフィスは、このような8ビットパソコンと周辺機器をずらっと並べて使っていました。
処理速度はワークステーションよりも数十倍遅く、マウスは使えず、漢字を表示できるパソコンもまだ登場していませんでした。
システム価格は100万円~200万円ほどになり、1990年のワークステーションの価格とあまり変わらないものでしたが、できることの差は雲泥でした。
1980年から1990年にかけての10年間は、パソコン登場からの歴史の中で最も進化の著しい10年間でした。