【40年前のポケットコンピュータ】
キナ鉄建設の土木部長の大月さんが、アルバイトに来ている童子さんに泣きついてきました。
大月部長「童子ちゃん、君はコンピュータに詳しいよね」
童子さん「…え、ええ。そんな自慢するようなものではありませんけど」
大月部長「わしが昔作った現場計算用のプログラムを今の土木電卓用に移植してほしいんだ」
童子さん「大月部長もプログラミングができるんじゃないですか」
大月部長「…恥ずかしながら、今のプログラム言語は何も知らなくてなー」
大月部長「若い技術屋に『自前でプログラムくらい組んでみろ』なんてタンカを切ってしまって…」
大月部長は昔、キナ鉄建設で使われていたポケットコンピュータを童子さんに手渡しました。
大月部長 「もちろんバイト代にくわえて、わしからは特別に謝礼を出すから」
みどりちゃん「童子ちゃんをここに紹介したのは私だから、私にも何かちょうだい!!」
麦ちゃん 「私も手伝うから、何かごちそうしてよー」
【科学技術言語FORTRANプログラム電卓 PC-1300S】
1979年に発売されたシャープのプログラム電卓[ポケットコンピュータ PC-1300S]です。
その後パソコンブームが到来し、プログラミングにはBASIC言語が広く使われるようになっていくのですが、BASICの元になっているのが科学技術計算用のFORTRAN(フォートラン)言語です。
それまでのコンピュータはCPUが直接理解できる0(オフ)と1(オン)の電気信号を並べた機械語でプログラムを組まなければならなかったものを、人がより理解しやすい英単語でプログラムを記述できる高級言語として初めて作られたのがFORTRANです。
FORTRAN言語は長い歴史があるだけに、莫大なソフトウェアの蓄積があり、現在のスーパーコンピュータでも使われています。
世界で初めて高級言語でのプログラミングができたプログラム電卓が、上のPC-1300Sです。
メインメモリは512バイト。512メガでも512ギガでもなく、本当に512バイト(半角512文字)しかありません。
私が初めて見たコンピュータがこのPC-1300Sで、それまでの電卓と違い、文字が1行ディスプレイに表示されるのを見て「すげー!!」と驚いたのを覚えています。
【スマホのルーツ】
その1年後の1980年に発売されたのが、世界初のポケットコンピュータ[PC-1210]です。
上のイラストの右下の黄色い液晶表示の横長の電卓がそれです。
私が初めて自分用のコンピュータを持ったのがこのPC-1210です。
先ほどのPC-1300Sはポケットコンピュータの商品名がついていますが、コンピュータ史の上では、アルファベットキーボードがついて、BASIC言語でプログラミングができる、このPC-1210が世界初のポケットコンピュータとされています。
以前の記事にも書いていますが、電卓からポケットコンピュータ、そして電子手帳、PDA(携帯情報端末)に進化し、そこに電話が融合したものがスマートフォンで、スマホはPCから降りてきた技術ではなく、電卓から発展していったものです。
【PC-1300Sの3Dモデル】
学生の頃はFORTRANも使っていたので、このPC-1300Sは私も欲しかったのですが、今はフリーのFORTRAN言語がWindowsPCでも利用できるようになっています。
このPC-1300Sにも絡む幻のPCで、以前このブログでも記事にした[ラテカピュータ]が発掘されたというツイートを見たので驚きましたが、それはまた別の記事で(^-^)