小説家が綴った一冊のエッセイであっても、自らの人生経験の中において、その作家が文学で培った智慧が結晶しているものである。


 文学を味わうということは、幅の広い人生の奥行きを味わうということでもある。それはまた、楽しみでもある。多くの作家の方の人生の作品に出会うということは、人生の楽しみを増やすということでもあるのである。


 またそれは、人生訓としても、一人一人の作家の実人生で培った哲学であり、実人生の告白であり、実人生の文学である。このように、小説やエッセイを通して、一人一人の人生を味わってゆくと、人生を何倍も生きることが出来るのである。


 作家が、自らの著書の中で、人生のエッセンスを本に抽出してあるのであるから、それを学び、糧とすることは、「善く生きる」ことにつながるのである。


 美学というものは、哲学にだけあるのではない。様々な小説やエッセイの中で、様々な芸術が展開されているのである。


 人生という芸術の場において、一つ一つの芸術作品を味わってゆくという営みは、実人生を善く生きるための糧を得られる生きがいとなってゆくのである。


 作家が綴る活字の一行一行の中に刻印されてゆく人生の告白小説、告白エッセイは、活字の味わいと同時に、そこには思想の味わいもあるものである。


 さらに、作家が綴った一行一行に詩歌を見出す人は、小説やエッセイの一行一行の中に、活字の美しさや豊かさを発見することであろう。


 活字によって創造された実人生を、書物や映画などにして集大成された作品は、それに触れる多くの人々の人生を、様々な面から豊かにして、底支えするのである。

 

 

 

 

 

 

 

    天川貴之

(JDR総合研究所・代表)

 

 

 


 


 文学作品の一つ一つは、その時代の世情というものを結晶化するものである。時代の流行というものを封印するものである。


 テレビも、音楽も、小説も、文化の様々なものが時代を創っている。その一つ一つの作品の中で、我々の魂が活かされているのである。


 確かに、「時代精神」となるような本はごくわずかであるが、文化的流行となる本は多くある。その一つ一つを読んで、様々な文化を味わうことも、人生の糧となり、人生の味わいの幅を広げてゆくことになるのである。


 一人の作家が一冊の本を書くのには、一年ぐらいかけて、およそ百冊以上の本を読んでいると思うが、読者は、読書というものを通じて、その作家の一生の労作を、そんなに時間をかけずに味わって、追体験出来るのである。


 このように、文化の価値とは、一見、無駄に見える文化をも様々に味わってゆく所にもあるものなのである。


 決して、実用の学問だけが尊い訳ではない。法学や経済学だけでなくて、また、歴史に遺るような文学作品だけではなく、流行の小説やエッセイにも様々に接して、これを味わう中にも、人生の糧があるのである。


 古今東西の古典や哲学書を読むだけではなくて、様々な小説やエッセイを味わう中にも、人生の楽しみがあるのである。

 

 

 

 

 

 

 

    天川貴之

(JDR総合研究所・代表)
 

 

 


 真に学問を修めるということは、一人一人の内なる理性を磨いて、これを育むということである。


 この理性とは、また、神性、仏性ということでもある。カントの云う所の「実践理性」とは、内なる神性、仏性、良心のことでもあるのである。


 学問を修めることによって、己が智徳を育み伸ばしてゆくことこそが、哲学者、及び、学者の天命である。


 一人一人の学生の中には理性が宿っており、この理性が磨かれることによって、理念が結実し、イデア界に、生きながらにして住むことが出来るのである。


 この永遠普遍のイデア界、理念界、叡智界というものに自らの人生の基軸を置き、ここから流出してくる智徳を、地上に顕現実践してゆくことである。


 真なる学問、及び、哲学の本質とは、理念界の真理を地上界に実現してゆくことにあるのである。そして、真なる教育の本質とは、一人一人の内なる理性、神性、仏性を育んで、智慧の悟り、叡智の悟りへと導くことにあるのである。


 このように、真なる「実学」とは、真理の応用・実践・具体化にあるのである。理念哲学の応用実践こそが、真なる学問である。これこそ、文明の根本、文化の源なのである。


 幅広く学問に学び、様々に問い、学び、実践してゆくことによって、自らの智徳の功徳を育んでゆくことである。


 さらに、福澤諭吉の智慧を生前の書籍を通して学ぶことによって、様々な諸学諸思想を統合し、総合し、一つ一つの専門分野において、真理を実現成就してゆくことである。これこそが「理念の革命」である。

 

 

 

 

 

 

    天川貴之

(JDR総合研究所・代表)