1892年 ケンジントン
「3月4日
それがどうであれ、肉体的苦痛はどんなに大きくても、自然に終わり、乾いたかすのように心から落ちてしまう。
その一方、精神的不調和や神経的恐怖は魂を焼け焦がす。」
(「アリス・ジェイムズの日記」アリス・ジェイムズ)
僕は常々、
性犯罪は死刑という主張をしています。
これはまさに、
アリスが語っていたように、
性犯罪というものは被害者の人生を、
被害者の身心を、一瞬にして壊滅、奪い去る行為であります。
アリスが死の直前に述べているように、
「肉体的苦痛は自然に終わり、
乾いたかすのように心から落ちる。」
しかし、アリスはさらに述べているのです。
「精神的不調和や神経的恐怖は魂を焼け焦がす」と。
性犯罪は被害者を
肉体的精神的神経的不調和へと落とし込み、
被害者の魂までをも焼け焦がし、
魂そのものを消滅させてしまう犯罪である、
ということだと考えます。
「この最後の二つはキャサリンの催眠術をかけるリズミカルな手の動きで完璧に制御されている。
だから私はもはや恐れていない。」
(「アリス・ジェイムズの日記」アリス・ジェイムズ)
死を目前にした
肉体的精神的苦痛も、
アリスの長年にわたるビアン・メイトであるキャサリンの施術(アリスが「キャサリンの催眠術」と呼ぶ)ともいえるキャサリンの手によるアリスへの愛撫によって取り払われてしまうようです。
恐るべし、
ビアンのテクニック
というところなのでしょうか。
実際、アリスは死の直前まで、
キャサリンによってオルガズムを得ていたという説も残っており、どちらにしろ至上の愛は知と性を経てプラトンのイデアとなるという証明ともなるようです。
「ディオティマはアフロディティやゼウスの功績を讃え、
『愛とは、無知なる者と知恵ある者との結合である』
という御神託を伝えている。」
(「ソクラテスの弁明」プラトン)
「アウレリウスの独り言 17」
https://ameblo.jp/column-antithesis/entry-12554228903.html
また別の解釈本によれば、
アリスの日記で取り上げられている催眠術とは、
本当に当時、
一部の人々に施術されていた催眠術である
とする説もありますが、
キャサリンが
それを習得していたとするのもなんだか少し
無理があるようにも思われました。
死は誰にとっても、
人生最大の大きな初体験であるのかも知れません。
「そこでの「生」は当然「死」と隣り合わせである。』
(「死生学」東京大学出版会)
「生と死の学問26」