ホラー洋画劇場Vol.27






●The Mephisto Waltz
(1971・アメリカ)

監督:ポール・ウェンドコス
原作:フレッド・マスタード・スチュアート「メフィストワルツ」 
脚本:ベン・マドー
音楽:♪ジェリー・ゴールドスミス



はい、みなさんまたお会いしましたね




今日の映画は、「悪魔のワルツ」ですね。
原題を「メフィスト・ワルツ」いいます。

メフィストワルツ、あら、どっかで聞いたことあるな、
チョコレートのハイカラなお菓子の名前みたいだな
メフィストワルツ、
サラブレッドの馬の名前みたいだな

何、くだらんことしゃべらんと映画のこと話せ?



そうですね、メフィストワルツ、
皆さんよくご存じのハンガリーの有名な作曲家、
フランツ・リストのピアノ曲のタイトルですね



映画の中にも出て参りますけれども
この曲は、
悪魔が愛人の女と踊っている姿を
ピアノ曲にしたものなんですね



悪魔の音と言われる激しい和音が使われていて
ちょっと気味悪い音楽なんですね



ですから、
このメフィスト・ワルツいうタイトルで、
これは、もう悪魔の話だとわかるのね



それも、
有名なファウストとメフィストの魂のやりとりの
怖い怖い悪魔の話ですね

はい、
メフィスト言いましたら、なんとも知れんずるがしこい、
人を騙すためにいやらしいことばっかり考えてる悪魔ですね



これちょっと、
悪魔崇拝の邪教が、都会の町の中で
堂々と根づいている怖さを見せた
あの「ローズマリーの赤ちゃん」みたいな話ですね

崩壊する女性の心理を見せるいうところも
似てますね。



お化けが出てくるホラーと違って、
だんだんだんだん、恐ろしいところに追い詰められていく
心理ホラーですね



けれどもこの作品、おもしろいのは
なんとも知れん妙な儀式で、悪魔を呼びだすいうことですね

皆さんご覧になって、ゾッといたしますよ



はい監督は、ポール・ウェンドコス、
元々戦争映画や西部劇を撮っていましたけれども、
次第にテレビに移って職人芸を見せた監督さんですね



主演は、
主人公の若い奥さんを
「ザ・ディープ」「料理長殿、ご用心」の
ジャクリーン・ビセット、
セクシーな女優さんですな




ピアニストの夫を演じておりますのが
アラン・アルダ、
いかにもニューヨーク育ちのインテリの顔した
ウディ・アレンの映画にちょくちょく顔出してる
おなじみの俳優さんですね



それから、
ドイツの名優、クルト・ユルゲンスが
高名なピアニストに扮して出て参ります。
威厳のある顔した、軍服の似合う役者でしたな



その娘を、ミリー・パーキンス、
「アンネの日記」で知られるミリー・パーキンスが
ちょっと怖い感じで、令嬢の役をやっとります



娘と別れた実業家が、
「燃える昆虫軍団」の
ブラッドフォード・ディルマンですね




音楽は、あのジェリー・ゴールドスミスですね
不気味な旋律でムードを出しましたな

はい、これはいっせんきゅうひゃく71年度の
アメリカ映画です



みなさん、この薄気味悪い魔族の怪奇、
どうか、じっくりご覧くださいね


それではあとで、またお会いいたしましょ








若い夫婦がベッドで眠っておりますと
猫がギャアギャア騒ぐ声がする

うるさいなあ、気色悪い、何の音やろ言うて
奥さんが目を覚ますと



なんとも知れん
鳥が鳴き叫ぶような声もしてますな

ねぇあなた、あれは何の啼き声?

あれはな、サヨナキドリが子供を叱る時の啼き声だよ
言うんですね



はい、この鳥は
「メフィストワルツ」いう曲の元になった物語の中で
ファウストが若い女連れて、
夜の森の中に消えて行く時に、
ピーピー啼いている鳥なんですね

この映画は、そんなはじまり方をしますね



この夫は
一度はピアニストを目指したけれども
才能が無いと、あきらめて
今は音楽評論家をやってるんですね

ある日、この男のところに
世界的に有名なピアニストから連絡が来るんですね。

さあ、これはいい記事になりそうやいうことで
男は勇んで出かけて行きますね



立派なお屋敷に呼ばれて、
中へ入りますと、いかにも上品な、
紳士風の初老のピアニストが
部屋へ招き入れますな

そこで、しばらく話とったら、
このピアニスト、いきなり

あんた、ちょっと手を見せなさい
言うんですね。



男は言われるままに手を差し出しますな

そうしますと、この年老いたピアニストは、
いかにもいやらしいのね、



男の手をいじりまわしながら、
はあ、君の手、いい形しとるな、

このわしでも、うまいこと弾けない
ラフマニノフの手と指を持っとるな、

うらやましいな、
あんた10万人に1人の手を持っとるな
言うんですね



自分の娘まで呼んで、どうだお前もそう思うだろ?
言うて、そこで男にピアノを弾かせるんですね



演奏が終わりましたら、
ピアニストが、いかにもうれしそうに、
やっぱり君は見事な腕前だ、
わしの目に狂いは無い言うて、

褒めて、褒めて、褒めて
褒めちぎるんですね、



若い男はちょっと調子に乗ってきた。

これは、あの有名な悪魔メフィストが
ファウストにこの世でいい思いさせてやる代わりに
お前の命をよこせ言う話をなぞったような場面ですね



うまいこと口車に乗せて、
魂を奪い取ろうとするメフィスト、
うっかりその気になったファウストの
危険な駆け引きのくだりを思わせる場面、



怖いですね、怖いですね

そんな恐ろしい、邪悪な匂いが
だんだんだんだんたちこめてくるんですね



いつしか男は、
若いきれいな奥さんを放っぽり出して
このお屋敷に出入りするようになっていくんですね

そのうち夫婦でパーティに招かれて、
ご近所付き合いみたいな事が始まるんですね



夫はすっかりこのピアニストとその若い娘に
心を許してる…



奥さんは、なんかおかしいな思い始める。
けれども、夫は高名なピアニストに
ピアノの才能を見いだされたし、
うまいこと文句も言えない…

女として、妻として悩むんですね



そんな妙な思いの中で、
ある時、奥さんも一緒に仮面舞踏会に呼ばれますね

そこで、えらいもんを見てしまうんですな



あの年取ったピアニストと
娘が抱擁して、人目もはばからずキスしとる

とても親子とは思えない、恋人同士みたいな
キスしとる…




どういうことかしらん思うて、
パーティが途中でいやになって、
屋敷の中をフラフラするんですね



そうしまして
うっかり迷い込んだ部屋の、戸棚の中を覗くんですね

うわっ!
びっくりした。何にびっくりしたか、

気味悪いコウモリの剥製が飾ってある



それだけやない、
聞いたこともないような怪しい本がある
何の本やろ?

何か儀式に使いそうなけったいな道具もある
何の道具やろ?



薄気味悪いな、怪しいないうところから
この若い妻は、
怖い怖い悪魔の世界の扉を開いていくんですね…













はい、いかがでしたか?



夫が一流のピアニストになっていく姿を見て
妻は
「朝が来るたびに、あなたが私から離れて行く」
言いますね



夫が浮気しとるようにも思えてくるんですね
そうしまして
妙な夢を見て、うなされるようになってきますね



夫に
何か昔のあなたと違う人のようだ、
昔はもっとやさしかった、言うと
夫は
「あの頃は貧乏だったからだ」
言うんですね。



なんとも知れん冷たい言葉ですな
こんなこと言うたらいけませんね

妻は、そこで見た目は私の愛する夫やけれども
心は別な人やと思い始めるんですね、



この女の心の寂しい寂しい気持ち、
この映画の中心はこれですね

どこまでも愛する者を思う気持ち、
それが強ければ強いほど、
これが、実は最も怖いことにつながっていくこと



悪魔なんかよりよっぽど怖いもの、
本当は、それは
人の心の中に住みついてるんやないかいう
そんな、
本当に怖いものは何かを見せるお話でしたね…





はい、もう時間きました。



それでは次の作品、ご紹介いたしましょ


次回は、



ブライアン・デ・パルマ監督の
異色のサスペンスホラー
『悪魔のシスター』をお送りします。



どうぞ、たのしみにお待ち下さいね



それでは
次回もこの時間、お会いいたしましょう

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


それでは、
サイナラ、サイナラ、サイナラ







★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。























『ニューヨーク1997』のダーティヒーロー、スネーク・プレスケンが
15年振りに颯爽と再登場するのが
その続編となる「エスケープ・フロム・L.A.」



この作品、間が空きすぎたせいか、前作ほど騒がれることもなく
いつの間にかスルーされてしまったフシがある。



ほんじゃやっぱ続編はダメかと言うと、
とんでもございません。
コイツは掛け値なしのスーパーエンターティンメント。



CGは
今のテクニカルが当たり前として馴らされた世代には、
1996年製ながらも、オプチカルマット合成や、
古式ゆかしき書き割り背景を使って見せる荒技は、
コミカルにすら見えるだろう。



今観ると、
これがカーペンターの堂々たるお遊びであるとは気付かないと思うが、
すべてにおいて
ジョン・カーペンター監督の職人的サービス精神がテンコ盛りで
愚直なまでのアンチヒーロー賛歌が見事に華開く。



ストーリー上は2013年と出るので
1作目から15年後という設定で、
実際の経年間隔に合わせているが、



今回おもしろいのは、
そんなアウトロー界のスーパースターだったスネークも
今や、やや“落ち目”という存在になっているところ。



結果、落ち目と思われしスネークが暴れれば暴れるほど
クールなキャラクターに更に磨きが掛かり、
人物像を輝かせることに成功するという仕掛けになっている。







●Escape from L.A. (1996・アメリカ)
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ジョン・カーペンター デブラ・ヒル&カートラッセル
音楽:♪シャーリー・ウォーカー ジョン・カーペンター






・ニューヨークで大統領を救出してから15年という歳月の中で、
27件もの犯罪を犯した懲りない犯罪王スネーク(カート・ラッセル)が、
国家警察に捕縛されるところからドラマがスタートする。

ほぼ半年周期で悪事をはたらく奴なんですね、この男。



もちろん、
スネークが新たなミッションを与えられることは言うまでもない。




さて、冒頭でナビされる本作の事の発端と、設定となる約束事だが…



大地震によって地盤沈下からロサンゼルスが孤島になったという
とんでもない展開は、前作のシチュエーションを
そっくりそのまま西海岸に移行した形。



既にアメリカは国家警察を主軸とした
独裁に近い右傾過多な大統領によって
このリーダーの宗教感による独自の法律とルールが行使されて、



ロサンゼルス島は、ルールに反する国民を片っ端から収容する
監獄島と化している。



監獄島の中では、内紛も絶えないが、
神権政府へと変貌したアメリカに対する怒れるテロ組織が
強大な武装力によって独立国家を生みだそうとしていて、



そのリーダーが、
一目でゲバラを思わせるクエボという頭目。

※コイツのリムジンが恐ろしく趣味が悪いのにご注目ハロウィン




更に、今回の目玉となるのが、
人工衛星を兵器として使用する
国家機密で開発された電気エネルギー破壊装置。



この厄介そうなデータベースとなるディスクが
こともあろうに大統領の娘(A.J.ランガ―)の手で
テロ集団の手に渡ったというのが発端。



もちろん、政府の勅命で奪還に向かうのが
スネーク・プレスケン。

あとは前作をご覧になっていると
うれしやたのしやのお遊びがあちこちに登場する。



このように、前作と同じプロットのリストラクションなのだが
見せ方と足かせ手かせの連発でことごとくグレードアップされている。



007を思わせる、兵器武装のアイテム群が
伏線として使われて行くのは
「ダイハード」を思わせる趣向。



しかも、007でもこんなことまでやらないという
陸・海・空すべてのエリアを使ってひたすら展開する
劇画タッチの究極アクションシーンが見どころだが、



カーペンター監督がウエスタンファン魂の息吹を吹き込んだ
ガンファイトシーンは本作でも益々パワーアップ。
中でも、4人組の敵と戦うシークエンスは最高=!






今回も敵やら味方やらわからぬ謎の人物や、
珍妙怪奇な人物が次々と現れる。


テロ集団“輝く道”の首魁(ジョージ・コラフェイス)


スネークにミッションを与える国家警察のコミッショナー
(ステイシー・キーチ)


酸性雨を気にしている変な男(ピーター・フォンダ)

そして


独裁国家を夢見る悪魔的な大統領(クリフ・ロバートソン)


見るからに怪しい風見鶏野郎(スティーヴ・ブシェミ)


コミッショナーの有能な秘書(ミシェル・フォーブス)


不気味な整形外科医(ブルース・キャンベル)
※顔が判別できないが「死霊のはらわた」シリーズの彼


道中で危険に巻き込まれて知りあう娼婦風の女(バレリア・ゴリノ)


電気エネルギー破壊装置のからくりを明かす男(リーランド・オーザー)


ちょっと驚かされるのが、武装集団を率いるボス(パム・グリア)


いかにも濃密な人物群。




ただ
この作品が単なるお遊びSFアクションに留まらず、
ふと考えさせてくれるのが、



ひとつには
SFという形で表した、カーペンター流の
右翼型政権がいつしか芽を吹くことを危惧する
超越したメッセージになっていること。



そして
笑えるほどタフなダーティヒーローに、
アメリカンスピリッツ回帰をつぶやかせるという
うれしいハードボイルドタッチにもニヤリとさせられる。



敵を倒す勧善懲悪だけがヒーローを生み出すわけではない、
悪意ある権威に反抗するアウトローの孤独な戦いも、
限りなくエキサイティングなヒーローを生み出すものだ。


B級ダマシイもここまでやってくれれば、ホンモノです。




★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。
































・“蛇女”のヘビとくれば、スネーク、
“スネーク”とくれば僕が連想するのは
ハマりにハマった「メタル・ギア・ソリッド」。


その主人公スネークのモデルになっているのが、

ジョン・カーペンター監督の快作
「ニューヨーク1997」に登場する
クールなタフガイ“スネーク・プリスケン”。



これはカーペンター監督らしい
近未来を舞台にしたスタイリッシュサスペンスで、
無条件に楽しめるSF作品。



1997年はとっくに過ぎてしまったのだが、
キー・アイテムとして、時代を感じさせる
カセットテープが使われているところが
今観るとご愛嬌ながら、
アウトロー“スネーク”のレジェンド感は気分がイイ。













●ESCAPE FROM NEWYORK(1981・アメリカ)
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ジョン・カーペンター ニック・キャッスル
音楽:ジョン・カーペンター♪







・出来のいいRPGにぶつかったよーな、
ゲーム感覚あふれる作品が「ニューヨーク1997」



ホラー映画の人として定評があるが、
西部劇好きのカーペンター映画には、
アメリカ映画のハートを継承した心意気みたいなものがある。



そして、

自作の音楽を作曲してしまうくらいだから、
作品各々にリズム感があり、
全編に漂うスタイリッシュなトーンと、
最後まで途切れることのないハイテンションが魅力。



そんな、ひとつの頂点となったのが本作。



ニューヨーク、マンハッタン島が、
アメリカ最大の犯罪都市から昇格(?)して、いよいよ
巨大な刑務所になっているという舞台設定が最高。

よくわからん宇宙都市なんかより、よっぽど気が利いている。



テロリストにハイジャックされた大統領専用機が、
あろうことかこの刑務所の中に不時着してしまう。



囚人の中の凶悪な帝王デューク(アイザック・ヘイズ)に
あっさり、大統領(ドナルド・プレザンス)が人質にとられて、
政府に300万の囚人を直ちに釈放せよ!
という要求を突きつけてくる。



そこで政府が仕組んだ大統領救出作戦のエージェントが、
我らがカート・ラッセル扮するスネーク!!



まあ、我らがかどうかは別としても、
コイツは囚人中ナンバーワンの札付きのワルで、
冷静なる判断力、行動力、聡明な頭脳をも持ち合わせており、
長髪にアイパッチなんかつけて、やたらとカッコイイ。



スタローン、シュワルツェネッガーの
直線的なヒーローアクション映画と違うのは、
ハードボイルドの匂いをぶちこんでくるところ。



既製のイメージにとらわれない配役として、
どちらかと言うとアクション映画とは無縁だった
カート・ラッセルを、この作品で一気にクセのある
クールなアクションスターの路線に乗せた。



このスネークという名の、
陰影あるダークヒーローの存在感が
そのまま作品のハードボイルドタッチを引き立てる。



ドラマのもうひとつの仕掛けとして、

囚人島の所長(リー・ヴァン・クリーフ)に、
24時間以内に任務を遂行できなかったら、
頭が吹っ飛ぶというニトロを体に埋め込まれてしまうところが
追い詰められ型サスペンスの導火線になっている。



■Season Hubley 
『ロリマドンナ戦争』のシーズンヒューブリーも登場。
カート・ラッセル夫人だったが、この作品撮了後に離婚




さらに、RPGの場合
ロンリーウルフのミッションクリアドラマには
必ずや、パーティを組む頼もしいユニットが登場する。




古豪の名優リー・ヴァン・クリーフを筆頭に、
ウエスタンの悪役新旧揃い踏みテイストで、
この人たちがおいしい役を演じるわけだが…




囚人島の豪放磊落なタクシードライバー、
アーネスト・ボーグナイン、


帝王デュークのやり方に嫌気がさして、
スネークに協力する囚人が、ハリー・ディーン・スタントン、
この人くらい、短気な寝返り男の似合う俳優はいない。



その情婦が、当時のカーペンター夫人
エイドリアン・バーボー、


といった面々が主人公をサポートする。



さて、彼らが無事に大統領救出を果たして
オリジナルタイトルにある
ニューヨークから脱出することが出来るかの
壮絶な攻防が展開する…。





…全然余談ながら、ここで思い出すのが
リー・ヴァン・クリーフが主演した
「荒野の七人 真昼の決闘」 The Magnificent Seven Ride!(1972)、



「荒野の~」シリーズ第4作目にあたるこの作品、
クリーフ扮するかつて名ガンマンだった保安官が、
これまでに捕縛して刑務所へ送り込んだワルどもを
仮釈放して雇い入れ、メキシコの盗賊団と戦うお話である。



西部劇でならしたクリーフの出演からして、
カーペンター監督も「荒野の~」を意識していることは間違いなく、
意外にも関連性が深い作品。





★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。







【オマケ】


■Ox Baker

・プロレスラーのロディ・パイパーを主演させた
「ゼイリブ」でもわかるように、
プロレスも大好きのカーペンター監督は
ここでもリングでの格闘シーンを準備。



ラッシャー木村との金網デスマッチで名を売った
往年のヒールレスラー、オックス・ベイカーを
出演させている。






















ホラー洋画劇場Vol.25




●The Reptile
(1966・イギリス=アメリカ)

監督:ジョン・ギリング 
脚本:ジョン・エルダー







はい、みなさんまたお会いしましたね



わたしのホラー洋画劇場、何カ月振りでしょうね

何?お前どこの誰や?
棺桶から出てきよったんか?
あらま、何々?もうわたしの顔も忘れとった、
まあ、そんなさみしいこと言わんといてくださいね

そうね、久々の登場ですけれども、
またホラーを一緒に観て参りましょうね




はい、今日の映画は前にお約束しましたように
「蛇女の脅怖」いう作品ですね

“恐怖”やなしに“脅怖”書くんですね



宣伝部のお兄さんが字を間違えたんやないか思うて
観ておりますと、

出てくる人は、村人も、酒場のおやじも、近所の娘さんも
みんな脅えとる?…何があったんやろ?
そうだな、何かに脅えてるんですね

さあ、何か秘密がありそうやなぁいうお話ですね



それから
蛇女、蛇女、蛇女ってどんな怪物でしょうね?



へびおんな言いましたら、
その昔、何の因果か世にも哀れな蛇女~言うて、
日本の見世物小屋によう掛かっておったようですけれども
なんと、西洋にも蛇女がおったんですな



けれども、女性の怪物いうたら、あんまし聞きませんね
みなさんよくご存じの
ドラキュラも、狼男も、フランケンシュタインも
みんな男でしたな



はい、これはイギリスの怪奇映画の名門、
ハマープロの作品なんですね



ハマープロ、言いましたら
前にもクリストファー・リーの吸血鬼ドラキュラを
観ていただきましたけれども、



アメリカの西部劇をイタリアが真似して作った
マカロニウエスタンみたいに、
イギリスも、当時アメリカで評判のホラーを真似して
怪奇映画を撮ったんですね、
そんな怪奇映画専門の映画会社がハマープロですね、



そうしましたらなんとあなた、
ハマープロのアメリカを真似した怪奇映画、
これがヨーロッパでも当たったんですね



ヒットしたぞ、もっと作れ、もっと作れ言うんで
どんどんどんどんエスカレートしまして、
怪しいもんをたくさんたくさん作ったんですね

そんな中で登場しましたのが、この蛇女ですね



はい監督は、「吸血ゾンビ」のジョン・ギリング、
ハマープロの怪奇映画でならした職人監督だな




舞台のレイ・バレットが主演しておりますけれども
いかにも低予算映画ですから、
顔も知らない俳優さんばっかりですね



けれどもそれが、逆にドキュメント風の怖さを出しましたな
これもハマープロの怪奇映画のおもしろいところですね



蛇女の薄気味悪い、なんとも知れん
こわいこわい顔を作り上げたのが
ロイ・アシュトン、
この人もハマープロの古顔のメイクさんですね



そんな怖い顔した蛇女の正体、その秘密とは何でしょうね、
それは申せません、



はい、これはいっせんきゅうひゃく66年度の
イギリス製のホラー映画です



蛇女、怖い顔しとります

始めてご覧になる方はビックリなさることでしょう
夢に出てきて、わたしもうっかりおもらししてしまいそうな
おっかない顔しとりますなぁ

坊っちゃん、嬢ちゃんは毛布かぶってご覧くださいね



妖しい蛇女、どうぞみなさん
じっくりご覧くださいね

それではあとで、またお会いいたしましょ









どこやら
夜の薄暗い片田舎の山道を
男がひとりでやって来るんですね

藪の中からスーッと影が浮かんで
あら、何かおるな?いうのが始まりですね



その男が家に帰りついたら、
何やら手紙が届いとるのね、

何と書いてあるかはわからんけれども、
男は、慌てるように隣の大きなお屋敷に向かいますな



玄関からノックしましても誰も出てこない、

誰かおりませんか、誰かおりませんか言うて、
広い邸宅の中を見て回ると、
立派な身なりの家主が出てきて、何か叫びよるんですね



そこへ、
サササーッと暗闇から何か出てきよった!

男に飛びついた思うたら、
いきなりガブッと噛みついた!



何や何や言う間もなく、
男の顔色がみるみる真っ黒になって、
男はもんどり打って、泡吹きながら階段を転がり落ちて
死んでしもうた…



何があったんや?あれは何やったんや?

そんなところからこの映画は、
怖いことになっていきますなぁ



この男、独り身で、唯一弟がおって、
兄の遺言で、家を譲り受けることになったんですね、

若い別嬪な奥さんと、まだ子供もおらん弟は、
この兄さんの家に住む言うんですね



遺言を伝えた弁護士が、あれは二束三文の汚い建物ですよ、
掘っ立て小屋みたいなもんやから、住まん方がよろしい、
言いいますけれども、

弟夫婦は、言う事なんか聞かずに引っ越して参りますな



さあ、侘しい田舎町について道を聞こうと酒場に入ると
みんな何かよそよそしいのね



誰も口を聞いてくれん…おかしな様子やな



何かあったんやろか?
兄さんは心臓発作で死んだ言われるし、
黒死病かなんかで
最近、何人か人が死んどるらしい…

わけわからんなあ…



けれども、もう引き返せないので、その家に住み始めて
だんだんだんだん
何やら妙なことが起こり始めるんですね



どうやら、隣のお屋敷には
家主と、若い娘さんが執事と一緒に住んどる。
顔見知りになったけれども、



何かおかしい、何かありそうやな?
いうところから、
この夫婦はえらいことに巻き込まれていくんですね…













はい、いかがでしたか?


途中で阿呆のピーターいう
薄汚れた恰好した男が出て参りますな

主人公の男に飛びかかって
もみ合った末に、



耳を澄ませ?ほら聞こえるやろ?
あんた、あの気味悪い音が聞こえんのか?
なんて、わけわからんこと言うて、



ちゃっかり夫婦の家に来て、晩ごはんご馳走になって
この村も昔はいい村やった言いますね

村人も温かかったけれども、
奴らが来て変わったんや…言いますね



奴ら?誰や?思うておりますと、
この薄汚い図々しい男は、また、
耳を澄ませ、死の音が聞こえる言うんですね



このピーターいう男、
小汚いじじいやし、いらいらさせるし、
阿呆やから、妙なことしか言わんなぁと
思わせるところがうまいですなぁ。



その後で、主人公が一人でおる時に
ピ~…ピ~ピ~~~…いう音が聞こえてきますな



ピ~ピ~、鳥が啼くようなか細い音、

何か小さい生き物が脅えているような鳴き声みたいやな、
何の鳴き声やろうな?
いうところが出て参りますけれども



これがあの蛇女の秘密につながる音やったと
観ているわたしたちは後で気付かされて、
何とも知れん哀しい気持ちにさせられるんですね



蛇女の恐ろしい秘密が暴かれた後で、
なんか哀れな、なんか淋しい思いが残る…
これはそんなホラーでしたね









はい、もう時間きました。



それでは次の作品、ご紹介いたしましょ








次回は、
ジャクリーン・ビセット クルト・ユルゲンス主演の
都会に巣食う悪魔を見せる「悪魔のワルツ」ですね

どうぞ、たのしみにお待ち下さいね

はいみなさん
次回もこの時間、またお会いいたしましょう

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


それでは、
サイナラ、サイナラ、サイナラ







★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。





























・“GRAY WOLF”(灰色オオカミ)、
アラン・アーキンが、
ニューメキシコのネィティヴアメリカンの友人から
授けられたインディアンネーム。



シートン動物記に登場する
悪魔的な知恵を持ち群狼を指揮する「狼王ロボ」は、
正にこの灰色オオカミで、
アーキンの鋭い眼光は、ある意味知恵ある狼のそれかも
知れない。



僕の見てきた限りでしかないが、
アラン・アーキンは存在感で勝負する俳優で
力んだ演技を見せない。

されど演技に対するプロの評価はデビュー当時から高い。



今や、何を考えているかわからない無表情が、
ひとつのトレードマークでもあるが、
これは、良くも悪くも低燃費そのもので、
無駄がまったく無い。

動きを止めた状態のイグアナかコモドドラゴンみたいだ。



俳優の演技の基本とは、ホントはこれなんじゃないか?

日本で言うと、橋爪功がこのタイプ。
古くは笠智衆。



力味がなく、それとわかる熱演もせず、
いつの間にかキャラクターを最大限に作り上げる。



そんなアーキンが、ギラついた大芝居を得意とする
アル・パチーノ、ジャック・レモン、ケヴィン・スペイシー、エド・ハリス
といった芸達者たちと共演した1本が、僕が最も好きな劇作家
デヴィッド・マメットのピューリッツァー賞、トニー賞受賞の劇作
「Glengarry Glen Ross」の映画化「摩天楼を夢みて」。



邦題は何をも言い当てていない惨憺たるものだが、
作品は、俳優たちの凄味のある芝居合戦が見応え十分な一編。









●Glengarry Glen Ross(1992・アメリカ)
監督:ジェームズ・フォーリー
脚本:デヴィッド・マメット
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード♪








・「ゴッドファーザー」で、
コルレオーネファミリーの大幹部テッシオ(エイブ・ビコダ)が
ファミリーを裏切り、それがバレて粛清される間際に、
ドンの側近トム・へーゲンに媚びた笑顔を浮かべて慈悲を請う。



「何とか取り成しちゃもらえねぇか、長ぇ付き合いじゃねぇか…」
「どうにもならんね」
と切り捨てられるクールなシーンがある。



この映画は正にこのシーンを想起させる…。


心痛を感じる映画、と言えばいいのか、
4人の営業マンたちの夜から朝にかけての短時間の話ながら
思いもよらず中身が濃厚。



不動産会社の顧客落としの顛末という他人事であった話が、
観終えた時には誰にでも当てはまるような
仕事人生の一端を解体して見せた話に変容している。



社内犯罪の犯人探しが展開し始める後半、
いよいよ露呈された真実はどこまでも苦い。



虚実入り乱れた営業マンたちのチープな駆け引き、

それは打算、虚勢、欺瞞、慢心、猥雑、悪意、葛藤、確執
といったものにまみれている。



そして嘘。

如才ないウソもあれば、詐欺まがいのウソもある。
物語はそれらを、誇張したり、リアリズムで見せたり
思わず笑えるくらい見事なセリフの網羅で縦横無尽に攻めてくる。



原題の「グレンギャリー・グレンロス」は、
“新旧”の優良不動産物件の名称で、
この物件をめぐってしのぎを削る4人の男たちの熱いドラマ。



しかしこの連中、心から声援を送れるキャラは一人もいない。
同情するに能わず。



なんせ同僚でありながらも、互いを全く信用していない。
競争社会で生き抜く人種には、偏見と断絶こそが生命線とでも
言わんばかりの個人主義である。



自分さえよければいい、出世すればいい、金を稼げればいい
というのが究極のところサラリーマンの本音なのか?



僕は営業マンでは無いが、グループ内には営業部署もある。



僕の場合、それとは逆で
ありとあらゆる海千山千の営業マンたちと敵対しつつ交渉し、
チームを作って企画を成立させていく仕事なので、
ここに登場する営業マンたちの真意はわかっていないのかもしれない。



だとしても、ここまでガンガン脳天に響いてくるストーリーには
ついつい我を忘れて見入ってしまう。



彼らが吐きまくる毒だらけのセリフ、相手をなじり倒す言葉、
必殺の4レターワード、そして愚痴の洪水。



ウムム、身に覚えがないワケではない。
僕らが生きている社会はキレイごとで成立していることなど
ほとんどない。



まあ、若い頃には、当然そんなことには気づかないわけで、
夢見がちな坊ややお譲ちゃんは、いつの日からか消え去り
グレイゾーンを熟知したオッサン、オバサンへと変身している。



涙もろくなるとかいうが、この世の汚濁と腐敗を知り過ぎるからこそ
ピュアなものを見るとボロリと涙腺決壊するんじゃないか?



フッフッフ、この辺であっさり記事を切り上げて終わってしまえば
読み手も苦労いたしますまいが、
まだまだ続くところがパイルのパイルたる所以。



■大言壮語で客を手玉に取る悪辣極まりない男、アル・パチーノ。



勝利を確信している傲慢さが態度の端々に滲み出ている。
悪意は無いにせよ、それを使いこなす術を熟知しているから
たちが悪い。





■かつてトップを張っていたが、今は下降線で凋落の一途をたどっている
ベテラン営業マン、ジャック・レモン。


狡猾な立ち回りが既に通用しない時代であることを感じてはいるが
生きるためには、古びた伝家の宝刀を振り回すしかない。




■最も誰をも信用していないプライドの高い男、エド・ハリス。



逆にプライドの高さが恐らくはセールスに偏見を持ち込み過ぎて
思うように成績を上げられないでいる男。口汚く世を呪う言葉を吐く。



それに気付かないのが、
自分しか信用しないこのタイプの男の特長でもある。



■真面目過ぎて、どこかで妥協を受け入れてしまっている気弱な男、
アラン・アーキン。



自ら争い事や、悪辣な手法には手を出さず、
愚痴を今一歩勇気の手薄な心の鎮静剤にしている。



自分が成功や勝利とは縁遠いことをわかってはいるが、
そのあきらめの中から生まれ出る開き直りが、
こういった男のしぶとさを支えているものだ。



■組織のメカニズムに順応し、9割がたのことは上席者に対して
イエスマンであると思っている支社長ケヴィン・スペイシ―。



世界中の経理部あたりに必ずひとりはいる、
融通がまったく利かない頑固脳の持ち主。



しかも縁故入社らしく、
息をしているだけで高給取りの管理職になったような男。



■そしてもう一人、


映画版で追加された強烈な人物が登場する。
アレック・ボールドウィン、こいつのキャラには注目だ!



そんな野卑た営業マンたちを、絶妙な呼吸で演じてみせる
俳優たちのアンサンブルは素晴らしい。



名優レモンは逝去したが、今このメンバーでこんな映画を作ると
ギャラだけで企画倒れになることは必至。



例えば、俳優を目指す人、シナリオを勉強したい人は必見の作品。
名優たちのリアクションで見せる細やかな芝居の妙技、
デヴィッド・マメットという劇作家のパワーを思い知らされる。



開拓魂につながるアメリカンドリームなど、
一握の分野以外では、とっくに終わっているんだという、
わかっていてもなかなか公では口には出来ない庶民の本音を、
あえて映画にしたブラックなセリフ劇。





★★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。