ホラー洋画劇場Vol.25




●The Reptile
(1966・イギリス=アメリカ)

監督:ジョン・ギリング 
脚本:ジョン・エルダー







はい、みなさんまたお会いしましたね



わたしのホラー洋画劇場、何カ月振りでしょうね

何?お前どこの誰や?
棺桶から出てきよったんか?
あらま、何々?もうわたしの顔も忘れとった、
まあ、そんなさみしいこと言わんといてくださいね

そうね、久々の登場ですけれども、
またホラーを一緒に観て参りましょうね




はい、今日の映画は前にお約束しましたように
「蛇女の脅怖」いう作品ですね

“恐怖”やなしに“脅怖”書くんですね



宣伝部のお兄さんが字を間違えたんやないか思うて
観ておりますと、

出てくる人は、村人も、酒場のおやじも、近所の娘さんも
みんな脅えとる?…何があったんやろ?
そうだな、何かに脅えてるんですね

さあ、何か秘密がありそうやなぁいうお話ですね



それから
蛇女、蛇女、蛇女ってどんな怪物でしょうね?



へびおんな言いましたら、
その昔、何の因果か世にも哀れな蛇女~言うて、
日本の見世物小屋によう掛かっておったようですけれども
なんと、西洋にも蛇女がおったんですな



けれども、女性の怪物いうたら、あんまし聞きませんね
みなさんよくご存じの
ドラキュラも、狼男も、フランケンシュタインも
みんな男でしたな



はい、これはイギリスの怪奇映画の名門、
ハマープロの作品なんですね



ハマープロ、言いましたら
前にもクリストファー・リーの吸血鬼ドラキュラを
観ていただきましたけれども、



アメリカの西部劇をイタリアが真似して作った
マカロニウエスタンみたいに、
イギリスも、当時アメリカで評判のホラーを真似して
怪奇映画を撮ったんですね、
そんな怪奇映画専門の映画会社がハマープロですね、



そうしましたらなんとあなた、
ハマープロのアメリカを真似した怪奇映画、
これがヨーロッパでも当たったんですね



ヒットしたぞ、もっと作れ、もっと作れ言うんで
どんどんどんどんエスカレートしまして、
怪しいもんをたくさんたくさん作ったんですね

そんな中で登場しましたのが、この蛇女ですね



はい監督は、「吸血ゾンビ」のジョン・ギリング、
ハマープロの怪奇映画でならした職人監督だな




舞台のレイ・バレットが主演しておりますけれども
いかにも低予算映画ですから、
顔も知らない俳優さんばっかりですね



けれどもそれが、逆にドキュメント風の怖さを出しましたな
これもハマープロの怪奇映画のおもしろいところですね



蛇女の薄気味悪い、なんとも知れん
こわいこわい顔を作り上げたのが
ロイ・アシュトン、
この人もハマープロの古顔のメイクさんですね



そんな怖い顔した蛇女の正体、その秘密とは何でしょうね、
それは申せません、



はい、これはいっせんきゅうひゃく66年度の
イギリス製のホラー映画です



蛇女、怖い顔しとります

始めてご覧になる方はビックリなさることでしょう
夢に出てきて、わたしもうっかりおもらししてしまいそうな
おっかない顔しとりますなぁ

坊っちゃん、嬢ちゃんは毛布かぶってご覧くださいね



妖しい蛇女、どうぞみなさん
じっくりご覧くださいね

それではあとで、またお会いいたしましょ









どこやら
夜の薄暗い片田舎の山道を
男がひとりでやって来るんですね

藪の中からスーッと影が浮かんで
あら、何かおるな?いうのが始まりですね



その男が家に帰りついたら、
何やら手紙が届いとるのね、

何と書いてあるかはわからんけれども、
男は、慌てるように隣の大きなお屋敷に向かいますな



玄関からノックしましても誰も出てこない、

誰かおりませんか、誰かおりませんか言うて、
広い邸宅の中を見て回ると、
立派な身なりの家主が出てきて、何か叫びよるんですね



そこへ、
サササーッと暗闇から何か出てきよった!

男に飛びついた思うたら、
いきなりガブッと噛みついた!



何や何や言う間もなく、
男の顔色がみるみる真っ黒になって、
男はもんどり打って、泡吹きながら階段を転がり落ちて
死んでしもうた…



何があったんや?あれは何やったんや?

そんなところからこの映画は、
怖いことになっていきますなぁ



この男、独り身で、唯一弟がおって、
兄の遺言で、家を譲り受けることになったんですね、

若い別嬪な奥さんと、まだ子供もおらん弟は、
この兄さんの家に住む言うんですね



遺言を伝えた弁護士が、あれは二束三文の汚い建物ですよ、
掘っ立て小屋みたいなもんやから、住まん方がよろしい、
言いいますけれども、

弟夫婦は、言う事なんか聞かずに引っ越して参りますな



さあ、侘しい田舎町について道を聞こうと酒場に入ると
みんな何かよそよそしいのね



誰も口を聞いてくれん…おかしな様子やな



何かあったんやろか?
兄さんは心臓発作で死んだ言われるし、
黒死病かなんかで
最近、何人か人が死んどるらしい…

わけわからんなあ…



けれども、もう引き返せないので、その家に住み始めて
だんだんだんだん
何やら妙なことが起こり始めるんですね



どうやら、隣のお屋敷には
家主と、若い娘さんが執事と一緒に住んどる。
顔見知りになったけれども、



何かおかしい、何かありそうやな?
いうところから、
この夫婦はえらいことに巻き込まれていくんですね…













はい、いかがでしたか?


途中で阿呆のピーターいう
薄汚れた恰好した男が出て参りますな

主人公の男に飛びかかって
もみ合った末に、



耳を澄ませ?ほら聞こえるやろ?
あんた、あの気味悪い音が聞こえんのか?
なんて、わけわからんこと言うて、



ちゃっかり夫婦の家に来て、晩ごはんご馳走になって
この村も昔はいい村やった言いますね

村人も温かかったけれども、
奴らが来て変わったんや…言いますね



奴ら?誰や?思うておりますと、
この薄汚い図々しい男は、また、
耳を澄ませ、死の音が聞こえる言うんですね



このピーターいう男、
小汚いじじいやし、いらいらさせるし、
阿呆やから、妙なことしか言わんなぁと
思わせるところがうまいですなぁ。



その後で、主人公が一人でおる時に
ピ~…ピ~ピ~~~…いう音が聞こえてきますな



ピ~ピ~、鳥が啼くようなか細い音、

何か小さい生き物が脅えているような鳴き声みたいやな、
何の鳴き声やろうな?
いうところが出て参りますけれども



これがあの蛇女の秘密につながる音やったと
観ているわたしたちは後で気付かされて、
何とも知れん哀しい気持ちにさせられるんですね



蛇女の恐ろしい秘密が暴かれた後で、
なんか哀れな、なんか淋しい思いが残る…
これはそんなホラーでしたね









はい、もう時間きました。



それでは次の作品、ご紹介いたしましょ








次回は、
ジャクリーン・ビセット クルト・ユルゲンス主演の
都会に巣食う悪魔を見せる「悪魔のワルツ」ですね

どうぞ、たのしみにお待ち下さいね

はいみなさん
次回もこの時間、またお会いいたしましょう

$パイルD-3の『時速8キロの映画感』=★


それでは、
サイナラ、サイナラ、サイナラ







★★★

採点基準:…5個が最高位でマーキングしています。…はの1/2です。