医師から告知を受けた時は、
「何もできない、呼吸しているだけの人間」になってしまうような話でしたが、
・自発呼吸ができていて、目は見えている
・私と娘は認識できている
・言葉が喋れる
・手指微かに動く
・足微かに動く
・聴こえている
・笑う
・驚く
・
・
これくらいは直後からできていました。
脳梗塞がなかったとしても、心臓手術がかなり大きなものだったので、それだけでもしばらく体の機能はもとには戻ってないはず。
現時点で、何もわからない植物状態ではないことはわかり、ショッキングな出来事の中でも喜びを感じていました。
機能回復のためには、とにかくリハビリを少しでも早く始めること。
告知翌日から朝夕の面会時間に手足を動かす事から始めました。
脳梗塞の後は、「拘縮」といって、間接が固まってしまう症状が出てきます。そしてそれは、進んで行き、酷くなると曲がったり伸びたりしたまま、動かなくなってしまいます。
そうならないために、関節の一つ一つを曲げたり伸ばしたり曲げたり伸ばしたり・・・
これは、告知翌日(12月14日)から、次の病院に移るまで毎日欠かさずやりました。
意識が戻った直後、旦那の脳はかなり混乱していて、自分の年齢や携帯のパスワード等思い出せず、聞いたことへの答え方も「?」と辻褄が合わないような、「日頃なかなかその表現は使わないよね」な感じの語彙使いもあったりして、今後まともな会話はできないのか?とドキドキしましたが、時間が経つにつれて段々整理されていき、記憶も戻ってきました。
この時期、「脳」の不思議さを色々見せてもらいました。
使えなくなった部分の代わりを、生きている細胞が肩代わりしていくというのをリアルに見て、「人間の体のしくみって、ホンマにすごいなー」と大変な最中に興味深く観察していました(それは、今も続いてますけどね)
ものを飲み込むことも、形状を考えて用意してあげれば問題なく(たまにむせますが)
一般病棟に戻る前に食事が始まりました。
手足の可動域も少しずつ大きくなっていき、当初言われた「体が動かない話すこともできない植物状態」の心配はなくなりました。
それは素直に嬉しいことでしたが、現実この先どうなっていくのか・・・
答えがわからず、不安…というより絶望に近い感情がぐるぐるしていたクリスマス直前でした。
まだ「悲しみ」という感情はごく僅かで、頭が真っ白のまま、必死で旦那の手足を動かし、声をかけて刺激を与える毎日が続きます。