お得意様のひとつに、コンピュータプログラムのローカリゼーションの仕事がある。
あのゼロイチの世界は、私の望むところである。
そのローカリ会社は、料金は特に高くはないが滞納は絶対にないし、仕事のしやすいクライアントとして、ナンバーワンの座を他の1社と争う位置にあるといっても差し支えないだろう。

さて、その会社からの仕事。
木曜に予定されていた仕事が、金曜に延期になった。
プログラムの修正が間に合わなかったみたい。よくあることですね。

直前に電話があったので、そして私の予定にも余裕があったので、延期を受け入れるのに難はない。

大昔、私はほんの少しだけど設計畑に身をおいていたので、
バグが直らん! どうしてこれだけがうまくいかないんだあ!! 納期はもう過ぎているのにいぃ…
という(深夜2時の)エンジニアの叫びは、ひじょーーーーによく理解できる。

だから、仕事先に出向いたのに、コンピュータの不具合で作業が始められなくて、担当者に「がんばってねぇー」とのんきな声をかけながらコーヒーを飲みつつ、準備が整うのをゆっくり待つことになっても、全然苦ではない。

だって、その待ち時間もその仕事先の企業に請求できるんだもの。
これ、ほんとうだよ。だって、あの人たちの都合で、私を拘束しているんだから。
作業が進んでも進まなくても、私があの会社に呼ばれて顔を出している時間は、お金になるんだ。


ただし、正当な理由がないのに仕事が進んでないとなると、次のプロジェクトの依頼は来ないかもしれない。

以前、その会社の人から言われたことがある。
「あなたの仕事はエンジニアにも分かりやすい説明がつけてあるので、こちらも助かっている。どういう種類の誤りがあったのかが明確に書いてあるので、何をどう修正すればいいのか、分かりやすい。」



…ということは、今後手を抜くわけにいかない、ということ?

がんばります。

っていうか、そうやって信頼を得ていくのは、すごーく気持ちがいい。
もう、がんばっちゃうからね!!
ドライアイにくじけるまでは。


つい最近になって、1X年前に亡くなった知人の最期の様子を知った。

信頼する先輩に誘われて、一緒にバイトをしている最中の転落事故だったこと。
軽傷ですんだその先輩が救急車を呼び、そのままずっと入院先の病院に泊り込んで付き添っていたこと。

その先輩は、私も知っている人だ。

知人がひとりで死んでいったわけではないと知って、変な感じ方かもしれないが、私はちょっと安心した。

次に帰国するときには、旧友のつてを辿り、お墓参りに行こうと思う。
墓石には、彼のポジション番号が刻まれているのだそうだ。



** **

1X年前のあのとき、私は留学中で、そのわずか2週間前にも、家族同然の人を自殺で亡くしていた。
母が電話をかけてきて、知人の死を知らせてくれた。
「うそ!」
という自分の声が、他人の叫びのように耳に響いたことを覚えている。




母は、どんな思いであの電話をかけてきてくれたのだろうか。







今晩友人の結婚式に行ってくる。

きっちり化粧をしたのは、最後いつだっけ。
最後にファンデぬった日。

…。



…。



去年の11月だ。


USオープン テニス初戦。Andrei Pavel vs. Andre Agassi。

私は大昔からアガシの熱烈なファンだったが、今回の試合は途中からどうにも胸くそ悪くなって、何度も見るのをやめたくなった。

何しろ、観客の野次がひどい。
アガシはこれっきりで引退を表明しているから、大多数の声援を受けるのは分かる。
でも、パヴェルに対する嫌がらせのような大声には、心底腹が立った。

「アンドレは1人でいいんだぜ!」という、男の怒鳴り声。
サービス モーションに入っているのに、黙ろうとしない人たち。

さっきまで同じコートで、ビリー・ジーン・キング女史の功績をたたえるイベントをしていたのが、一気に穢される気がする。

アメリカ人の観客に、マナーやリスペクトを求めるほうが無理ってものか。
そもそも、ラグビーの試合じゃないんだしね。


パヴェルは良い試合をしたと思う。バックハンドが特にかっこいい。
これからはこのアンドレイを応援しようかな。



余談。

アガシがフレンチ オープンで優勝したときの相手も、「Andrei」Medvedevでしたね。

この間のウィンブルドンでは、アンディ・マレーとアンディ・ロディックの試合があって、
「Go, Andy!!」
と声援を送っている人がいた。どっちのことじゃい。


ふと、うちの相方に、
「Halle BerryとSalma Hayek、どっちを選ぶ?」
と聞いてみた。

一瞬、
にや
と顔を緩めた後、固まっていた。

女のあたしだって迷うよ、そりゃ。
変な質問してごめん。