母から連絡を受けてすぐに主治医に電話した.

病院の交換の「少々お待ちください」のあとしばらくの無音.
色々な考えが猛烈な速度で頭の中を回った.
いつかもこんな事があったような気がするが,思い出せない.


先生 「昨日,夜遅くなんだけど自宅に電話したの.出なかったね」

自分 「早めに寝てしまいました」

先生 「具合はどお?」

自分 「昨日と変わりありません」
(なんで今具合を聞くのかな・・・違和感・・・)

先生 「そう.あれからね・・・A先生に見てもらったのね.相談したの,で,
夜遅くになってしまったんだけど電話したの.でも寝てたんだね・・・.」

自分 「はぁ・・・」

先生 「・・・んー,で,アレほぼ間違いなく転移なんだけどね・・・
今はね・・・A先生は手術をしないほうが良いだろうと・・・でね・・・
化学療法しましょう・・・それで反応がよければ,少ししてね・・・・
4ヶ月くらい後とかね・・・手術できると.
で,次の検査の日に内科の予約入れたので
検査の後,内科外来へ回ってください.その後で私のとこね」

先生の話を,反芻・咀嚼し今後のことを猛速度で整理しながら受け答えし
少しでもよい情報を引き出せないものかと考えをめぐらせていると
目がくらみ,耳鳴りがしてきた.

「わかりました」としか言えず電話を切った・

血圧が不安定になったのか,頭がふわふわして
背筋が冷たくなった.

現金なもので,さっきまでどこも痛くは無かったのに
背中や横腹・のどが急に痛み出した.

まずは,母親に説明せねばならない.
が,もう少し考えをまとめたいので
検査の日よりあとにしよう.
メラトニンの副作用に「悪夢」ってのがある.

眠気がこないときや,お酒を飲まずに寝たいときに
メラトニンを飲むことがある.

飲むと毎回ってことではないのだけど,恐ろしくリアルな
それも記憶に正確な夢をみたりする.悪夢と言えば悪夢かもしれない.
それは気持ち悪いくらいつじつまの合った夢で
目が覚めてしばらくは,気分が悪い.

まあ,検査の結果もアレだったし
主治医も気になることを言ってたし...
そういった精神状態も影響したのかもしれないが
昨夜の夢に,A先生が出てきた.胸部外科の先生.
去年の1月,肺の転移をとるときに診てくれた先生.

手術の傷の痛みもいくらか軽くなって
退院も間近になった夕方,外来へ呼ばれ
今後のことについて説明を受けたときの再現だ.

先生はニコニコしながら
「回復は順調のようなので,予定より早い退院ですよ」

退院後,外来で化学療法を行うべきか質問すると

「大腸がんで,肺転移をきたしている場合,治癒切除に成功したとしても
およそ50%の患者さんに,また転移が見つかります.
もしかするとそのとき,手術をお勧めできない場合もあります」

ニコニコしたままだ.

「大腸がんの転移・再発の場合,術後の化学療法にエビデンスはないけど
内科の先生と良く相談して,判断してください」

ニコニコ

ここで目が覚めた.目が覚めてからも夢の内容をはっきり覚えている.
悪夢と言っても,せいぜいこの程度で
化け物が追いかけてくるような夢を見たことはない.

そんなおかしな気分の朝から今日が始まったが,いつもどおりに出勤.
仕事をしていると,お昼前に母親から連絡があった.
「すぐにN先生(主治医)に連絡しなさい」と.

「え・・・?」

ああ・・・また,あの感じだ.脳に樹脂を注入されていくような感覚.
主治医の診察を受けてきた.

結果は「確実な転移とは言えない」とのこと.

事前の予想のうち,最悪の結果となってしまった.
つまり,検査を繰り返しながら「様子見」.

本日のメイン,PET検査での所見には
「喉頭と縦隔および左肺門に集積があるがある」とあった.
つまり「普通じゃないところが見つかりました」と.

実際の画像で異常なとこは↓コレ
クライドのがん日記(再発編)

断層撮像だと↓コレ.

クライドのがん日記(再発編)


SUV画像の上では有意な集積がある.
が,CTの画像ではリンパ節の腫張は見られないそうで
術後変化や炎症性変化とも言えるのだそうだ.

ただ,肺の手術のあと1年も経過していることとマーカーも異常値なので
主治医は,転移だろうと踏んでいる様子.
電子カルテのコメント欄に「縦隔LNに転移か?」と書き込んでいた.
で,縦隔ってなに?笑

てなわけで,しばらくは検査検査となる様子.
局所再発の検索のために大腸鏡,骨転移の検索のためにシンチグラフィの
予定が入った.4月3日だ.

検査の予約を入れてもらって,診察は終了.
そして,診察室を出るときに,先生のすごく気になる独り言を聞いてしまった
「ここだけだったら胸部外科に,もう一度お願いするとういう・・・ブツブツ」

また胸の手術かよ・・・アレいてーんだよ・・・.

しかし何だ
心配だったお腹は,なんともないんだって話.
横っ腹が痛いのはいったいなぜだ・・・.
ホントになんともないのかね・・・.
と,言っても今日,検査を行った施設に会社帰りに寄って
自分用のデータを受け取り,さっきこっそり見てしまった.
なのでPETの画像診断結果はすでに知っている.
「依頼主の医師に送るものとまったく同じものをお渡しします」ってことなので
何日か前に,主治医のところにも同じものが届いているはず.

こういった場合の画像診断自体は,検査を行った施設の技師が行うらしく
画像診断の所見は,はっきりと言い切る形で書かれていた.
あとは主治医が,ほかの検査結果などを踏まえて,総合的に判断するらしい.

これまでの結果が結果なので嫌な予感しかしないが,行ってこよう.

①いくらかましなケースとしては「局所再発があった」
②少し困ったケースとしては「肝あるいは肺に再発があった」
③相当に困ったケースとしては「腹膜あるいは脳,または骨に新たな転移があった」
④とんでもなく困ったケースとしては「今回の検査でも何も出なかった」
さあどれだ.

CA19-9が120あるんだから,勘違いだとか
気のせいってことはないわけで.
原因が不明のまま,ただ時間だけが過ぎてしまうというのは
非常にマズイ.「もう少し様子を見ましょうか」とか大変にマズイ.

ぐずぐず言ってても仕方ないので
いってこよ.
土曜日はあまり気合が入らなかったけど
月曜日げんきだったので,夕方に真鯛を買って帰り
その晩に上身は刺身にして食べ
今夜,二枚に下ろした下身を頭と一緒に野菜を煮た.
(刺身の写真には,映ってはいけないものが映ってたので割愛)

お気に入りで,いっつも使ってる包丁はこれ.

クライドのがん日記(再発編)

パッと見は柳か正夫のようだけど,こいつは「切り付け包丁」といって
片刃の和包丁で,薄刃と刺身包丁の両方の働きをする便利なヤツ.
なので野菜も魚もほとんどこいつだけで始末がつく.
築地正本の包丁で,白紙1号の霞造り.刃渡りは9寸(およそ270mm)で
きちんと研げば,指を切っても気づかないほどにカリンカリンの切れ味になる.
このとこ真面目に手入れしていないので,いまはどうにか産毛がそれる程度.
鋼の包丁なので,たまねぎやにんにく・レモンなどは,こいつにとっては鬼門.
包丁の色が,みるみる紫色に変わっちまう.そんなときはステンのぺティ.
刃がとても薄く非常に硬いので,大きな魚の固い骨も苦手.
なので身下ろしには,小さな舟行を使ってる.

さあ,はじめよう.
鯛のアラは強めに塩をして,1時間くらい室温で〆る.
鍋に熱湯を沸かしてやって,火を止めてからアラをそっと浸す.
身が白くなったらすぐに冷水にとる.一切れずつ丁寧にやったほうがいい.
流水で残った鱗や血合をきれいに取り除いたら,盆ザルにあげておく.
これが,浅く霜を振った状態.ぐらぐら茹でこぼすと身がぼろぼろになる.

アラを鍋に移し,かぶるくらいに酒と水を入れる,酒と水は1:1.
あわせる野菜を加える.今回は下ごしらえした大根とごぼうを入れた.
臭み消しに生姜の薄切りも.沸騰するまで強火で,沸いてきたら少し弱める.
灰汁が出るので丁寧にすくう.
灰汁が出なくなったら,みりんと砂糖を加える.
みりんは煮汁の10%.煮汁1リットル位までなら砂糖は大匙3くらい.
落し蓋をして10分くらい煮て,濃い口醤油を加える.醤油も煮汁の10%くらい.
煮汁が減ってくるまで詰めたら完成.

クライドのがん日記(再発編)

木の芽が手に入らず色味が残念・・・.気休めで白髪ねぎをあしらった.
正確にはアラで無く,骨付きの下身を使ったのでかなり食いでがある.
ごぼうが少ししかなかったので,大根も入れたんだけどまあまあだった.

大根はショウジが残らないようにきれいにグル剥きして
下茹ではせず,蒸し器で30分蒸すと風味が抜けたり辛味が残ったりせず
失敗がない.うちには蒸し器は無いが鍋とザルを組み合わせて蒸す.

上の写真で最も旨いと思うのは,ごぼう.本当にうまい.
若いころは,木の根っこみたいで,食うやつはバカだと思っていたが
今は大好きになった.嗜好はこうも変わるんだな.