放射線治療の最終日。
これまでの治療による副作用は全く無く,体調は万全。
診察の後,予定通りの治療が行われた。
慣れもあるのかも知れないが,今回は頭部を固定するマスクがきつくなかった。
気持ちに余裕があったので,照射の様子を観察することができた。
といっても,マスクで何も見えないので,音を頼りにしたんだけど
まず,コンビームCTとX線写真で装置に対して頭を位置決めし,一回の照射に対して2回
照射前に軌道の始点,照射後に軌道の終点でX線画像を取得しているようだった。
「ぶー・・・ぴぴっ・・・ぶっぶっぶ」という音。KV-Xrayとかいったかな・・・。
照射の前後で腫瘍を中心にとらえていれば,ばっちり高エネルギを与えられたということ。
ガンマナイフと違いリニアックの場合はある程度マージンをとってあるらしいので
もともと制度を要求されない照射だというのだけれど
今回は,誤差1mm未満の精度でガッチリ照射できたそうだ。
よかったよかった。
昨日S先生の診察で「治療が終わったらマスクを持って帰りたい」と伝えてあったので
記念品としてマスクをもらって帰ることができた。意外と高く作るためには5万円くらいかかるんだそうだ。

なかなかイケメンなマスク。
治療が終わり,マスクを抱えて院内をウロウロしていると
看護師さんたちに笑われた。持ち帰る人は少ないのかも知れない。
2年前の照射後の様子から
もしも脱毛があれば2週間後あたりから抜けるだろう。
抜ける前に痒くなるはず。
4週間後にMRIの予定が入っている。消失の兆しくらいは見られるかも知れない。
効果が得られていれば,8週間後に腫瘍・浮腫の消失が確認されると思う。
前回は化学療法を受けながらの放射線治療だったので
今回は少し結果が変わるかも知れないと考えている。
たとえば,浮腫がとれないとか。
そうなれば,次の手。
どうなることか。
今日も放射線治療があった。
施術前に診察があり,昨日の照射後に異変のないことを確認すると
「じゃあ予定通りやりましょう」
予定通りは気分良い。
昨日に比べ,照射前の位置決めの時間が若干短くなったがやはり
30分くらいはかかっただろうか。
1日目は3回照射したような気がしたのだけれど,今回は4回だった。
マスクも一回の使用で伸びたのか,昨日ほどきつくなく
室内も涼しいので思わずウトウトしていまったくらい。
目眩がしたりフラついたり,吐き気などもなく,注射のない分むしろ
CTやMRIよりも楽だった。
放射線療法というと,手術ができず薬も効かず,他に方法がないので
最後の選択として行うんだと思っていた。いわゆる行き止まりの治療。
たしかに終末期の疼痛除去などのために使われることもあるんだというが
放射線治療が最適だというケースもあるらしい。
自分の場合,大腸癌の脳転移の治療なので,厳しいことに違いはないのだけれど
今は再発・転移した場所が脳で良かったと考えている。
理由は今度。
癌の治療の三本柱は,外科的治療・内科的治療・核医学的治療。
核医学的治療(放射線治療)はX線が発明された翌年から試みられており
実はものすごく歴史の古い治療方法だという。
癌を根治しようとすれば,第一選択として外科的治療。次に放射線治療。
残念だけれども多くの場合,内科的治療(化学療法)で根治は得られない。
放射線治療は外科的治療に比べ侵襲が小さく,内科的治療に比べ副作用が少ない。
高精度定位照射が可能になった今,もっと多くのケースに使われるようになると
いいのにな。
さあ3日目の定位照射。頑張るぞ。
自分は台に寝転がってるだけなんだけどね。
今日,1回目の放射線治療を行った。
もともと無症状で日常生活に不都合を生じない状態なので,治療は通院で行う。
今回の治療装置はブレインラボ社製のノバリスTxという装置。
一見ポップな感じの普通のリニアックなのだけど,実はスゴイ。

IGRTとExacTracと呼ばれる技術で,短時間に位置決め照射を行える。らしい。
IGRTってのは,装置上で撮影するX線画像(OBI)を利用して患者の位置決めすることらしい。
以前受けたアキュナイフの時は,シートレーザを使って狙いをつけていた。
このブログにも書いたんだけど,手動でベッドを動かして調整した。
身体の幅方向の中心・厚み方向の中心,Z方向はマウスピースで頭を固定する
フレームの目印で合わせていたと思う。
ノバリスTxでは,ベッドそのものがロボットになっていて画像で位置を誘導しながら
位置決めは自動で行うようだ。これがExacTracという技術らしい。
こうして原点出しを行った後は,治療計画に沿って照射が行われるわけなんだけど
一番驚いたのは,照射中に線源が旋回していたこと。アキュナイフでは「○方向から」と
複数の方向から静的に照射したんだけど今回は,腫瘍を旋回中心において旋回しながらの動的な照射だった。
腫瘍を中心に置くことで常に高エネルギーを与えつつ,旋回することで健常な組織への被爆を抑える。
しかも連続的に変化する腫瘍の投影形状に応じてコリメータの形状も連続的に変化させるらしい。
文字で書いてもわかりにくいんだけどスゴイ。
今日はこの動的な照射を,角度を変え三度行った。
初回なので何度も写真を撮り確認しながらの照射だったので40分近くかかったが
明日からは20分程度で終わるようになるという話。
治療後の診察でS先生に心配なことを質問した。
「旋回しながら照射したっていうことは,軌道に沿って帯状に禿げますか?」と。
「若干の脱毛はあるかも知れないけど,禿げないと思うよ」とのこと。
まあ禿げたら禿げたで帽子でも被ったら良い。
前回と同じく,3日間で39Gyの照射を予定している。
やはり今回も,「科学の炎」は無色透明無臭でいくらか頼りないが
きっとまた腫瘍をキレイに焼き払ってくれると思う。
6月10日
5月26日の検査の結果を受けて
脳神経外科の診察を受けた。
新病巣は,およそ2年ぶりに直径およそ3mmという大きさで出現した。
脳での判断は予想していたとおり,今回の病巣が孤立性との判定が出るまで
しばらく様子を見ようということだった。
まずは7月11日にMRI検査を行い,増大の速度の評価と
あらためて頭部のスクリーニングを行うこととなった。
7月11日
予定していたとおり,MRI画像診断と脳外科の診察があった。
経過観察を目的とした検査のはずだったが,今回の画像の
一時診断の段階ですでに,観察していられる状態でないことが分かった。
5月26日の検査では「およそ3mm程度」とみられていた新病変は
今日の検査では短径で13mm程度に増大していた。
容積を計算すると,およそ50倍に増えている。
(レーザプリンタの印刷物をスキャンしたので画質がヒドイ)
下の2枚は5月26日の写真で,腫瘍性病変・浮腫ともに小さい。
大腸癌はダブリングタイムは普通20~30日と長く,比較的穏やかな癌だとよく読むけれど
わずか46日でこれだけ増大することもあるんだな。転移巣だからということもあるのかな。
時折,左腕に少し麻痺が感じられるということもあって
急遽,予約外で放射線治療科の診察を受けた。
(新病変の位置は感覚を支配している場所らしい)
やはり,近々に放射線治療を行った方が良いだろうということになった。
翌週に治療計画のための検査を行い,シミュレートが終わり次第
2年ぶりの放射線定位照射の治療を行う。
(検査自体は7月14日に完了)
新病院になって,検査装置や治療装置の更新も行われたらしく
「これら新しい装置で転移性脳腫瘍の治療するのは初めて」だとのこと。
そういった事情で,治療計画には十分な時間をかけたいと言うことで
施術の日程は現在,固定されておらず
23日以降31日までの間となっている。
まだいくらか時間があるので
放射線科のS先生から仕入れた情報を調べておこうと考えている。
こんどの治療装置もなかなかスゴイらしい。いや
頭部の固定に,歯形を使わなくなっただけで随分な進歩なのでは。
今回は温めた樹脂製のネットで顔面を覆って,固定用のマスクを作った。
あのマスク,治療が終わったらもらえないだろうか・・・。
5月24日に定期検診があった
内容は血液検査・胸腹部骨盤CT,頭部MRI。
今日はその最終診断を聞くために受診した。
まず
血液検査結果のおもな値(正常とされる値)
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白血球;8240(3630ないし9290)
赤血球:5040(4510ないし5650)
血小板:228(150ないし303)
CEA:5.6(<5)↑
CA19-9:22(<37)
CA125:18.0(<65)
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これまでのようにCEAがわずかに異常値を示しているだけで
ほかは正常。
次に
胸腹部骨盤CTの画像診断の結果。
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両肺野下部に術後変化を考える線状影をみとめる
明らかな腫瘍性病変はなく,縦隔・肺門に異常を認めず
胸水貯留はなし。
肝・膵・脾,腎に異常なし。
傍大動脈・内外腸骨動脈域に有意なリンパ節腫大の指摘無し。
腹水貯留はなし。
骨盤内に明らかな異常の指摘はなく,画像上では骨盤骨に転移を疑う所見を認めない。
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最後に
頭部MRIの画像診断の結果。
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直近のMRI画像との比較を行った。
右小脳転移巣は周囲浮腫ともに消失を維持している。
右頭頂部に直径3mmの結節病変が出現した。周囲浮腫を軽度認める。
明らかな髄膜播種の所見はない。脳梗塞も同じ。
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今回の最終診断で,新たな転移巣が見つかった。
右耳を頭のてっぺんに向かいたどり13cmのあたりだろうか
そこに直径3mm程度の新たな病変を確認した。
今回は内科の再診だったので詳しくは後日,脳神経外科で聞くことになるのだが
これまで順調だっただけに,内科の先生はショックを受けたような雰囲気だった。
検査結果について,自分自身ではどう感じているのかと言えば
「なるほど」といった感じ。大きな衝撃は受けなかった。
気になることは,これが孤立性なのか多発性の一部なのかということ。
小脳と大脳では支配血管が異なるので,小脳の転移巣と同じ転移巣とは
説明できないだろうし,小脳の転移巣を発見したときの画像との比較でも
当時,今回の場所に異常は無かった。
今週の金曜日の朝,脳神経外科の診察を受ける。
おそらく少しのあいだ様子を見て,孤立性と判断できれば然るべき時期に
放射線定位照射治療を行うだろうし,多発性であれば全脳照射を行うか
無治療の選択をすることになるのでは無いだろうか。
直径で20mm程度まで,数にして3~4カ所までなら定位照射の対象になるらしい。
全脳照射は一度しかできないので,よほどのことで無ければ定位照射なのだろうか。
いずれにしても,すぐに治療は行わず,定期的なMRIを行いつつ
治療の時期が決まれば化学療法を再開することになると予想している。
※化学療法により腫瘍組織の放射線感受性が高まると考えられているので併用する。
診察の最後に「今度の新しい転移と抗がん剤治療の中止は関係あるでしょうか」と
質問してみたが「おそらく関係ないでしょう」との返事だった。
全くの無関係かどうかを説明することはできないだろうし
ひょっとすると慰めだったのかも知れない。
なんにしても「また転移してしまった」という衝撃よりも
なんだか申し訳ない気持ちが大きい。
