前回の治療が終わる頃,心臓に異常があるのではないかという疑いが出て
明日,心臓の検査を行うことになった。2年くらい前から運動すると動悸がしたり
息が切れたり,背中が痛くなったりしてきたのだけれど,これは
心臓に起きた何かの自覚症状だったのかな。
明日の検査は,癌の病院とは別な病院で行う。
これについては,次回にでも。

さて,放射線治療について。

ボクの左肺門リンパ節の転移を,根絶やしにしてやろうと考えたとき
外科的に切り取ってしまう。あるいは放射線を当て壊死に導く。
こういう事になるのだけれど,残念なことに外科的な治療は適応外なのだ。
これまで,肝・肺・肺門リンパ・脳と多発的に転移してきていて
それぞれ摘出や消失あるいは縮小に成功したにせよ
大きな負担をかけた手術を行っても,癌細胞はすでに全身にばらまかれているから
新たに転移しないと,言い切れないからだそうだ。
リスクとベネフィットを勘定に入れるとこういうことになる。

化学療法で根治を望めないなら,ここで放射線治療を行えれば,となる。
これもまた一筋縄ではいかない。これまで二回行った脳転移巣への放射線治療は
それぞれ装置は違うが,放射線定位照射で,効果や安全性については申し分ないのだが
ボクの肺リンパを対象とすると,そうはいかないようだ。
肺門というのは肺の入り口で,中枢に近く,周りに重要な器官や臓器があるうえに
呼吸により動揺する。うっかり狙いが逸れると一大事なんだ。定位照射では線量が高いのでやばい。
すると,定位照射の技術が確立される以前に行われていたように
たとえば,左全肺分割照射を行って,転移巣を含め左肺全部に極量のエネルギーを与える。
治療計画の例では,週5日,連続で6週間チビチビと照射することになるらしい。
一日数分間の治療で,通院で可能とはいえ,負担は大きいし別な心配もある。

通りすがりの方がコメントしてくれたとおり,副作用に放射性肺炎のリスクがある。
おまけに,極量照射ということは「次は無い」ということで
もしも放射線治療のあと,左肺に転移が生じて,それが化学療法で制御不能だとしても
再び放射線で治療することは,出来ないということ。
やはり「薬が効いている間は,この薬を使い切るつもりで続けましょう」と,こうなる。

世の中には,事前に転移巣の近くに埋め込んだ金の玉を標的に,精密な照射をしたり
多関節ロボットで線源を操作し,呼吸による動揺を四次元的に解析して定位照射したり
そういった装置はあるのだけれど,標準的な治療ではないらしい。

これまでの通り,体力を落とさないように注意して少々の副作用なら耐えて
今後の選択肢維持しつつ,現在の治療を続けるのがベストなのかも知れない。
いろいろと考えてしまうのは,治療が順調で心配事が無いことの
裏返しなのかな。

前にも書いたのだけれど,放射線治療の試みはX線が発見されてすぐに始められていて
今から120年前に試みが行われていたんだそうだ。
そしてX線照射が皮膚障害を招くことから,癌の治療に利用できるかもしれないと
研究されはじめたんだそうだ。

現在の放射線治療は非常に安全で,理屈としては正常細胞と癌細胞の
放射線感受性の差で癌細胞だけを死滅させるというもので
この感受性というのは,神経細胞や筋肉のような細胞分裂を見ない細胞が
もっとも低く,骨髄やそれぞれの組織の上皮細胞のように,細胞分裂頻度の
高い細胞はもっとも高いらしい。(感受性が高いほど放射線で傷害される)
これは,分化とも相関していて,未分化や低分化の癌は成長が早く
たちが悪いのだけれど,放射線は良く効く場合が多いんだそうだ。

で,ボクの場合,原発は大腸(横行結腸)で,ここの粘膜細胞が癌化したもの。
放射線感受性は非常に高いんだそう。なので,原発巣に対する放射線治療は
適応外(正常な大腸の細胞も放射線に弱い=放射線感受性が高い=感受性差がとれない)
照射すると,癌細胞と一緒に正常細胞まで,酷く傷害されてしまう。

ボクはこれまで,2012年・2014年と二回,脳への転移が確認されて
そのたびに放射線治療を行い,幸運なことに二回ともCR(完全奏功)を得られて
現在まで消失を維持している状態なのだけど,これは脳細胞(神経細胞)と
転移巣(大腸癌の細胞)との間に感受性差が大きくとれてるかららしい。
治療に先立ってカンファレンスでは,脳神経外科や放射線科で
「コレはおそらく後遺障害無く綺麗に消える」と言われていた。
CRは当然という認識なのだと思う。
ちなみに,脳の細胞が癌化した(脳腫瘍)場合は楽観できないらしい。
元の脳細胞と同じくらい腫瘍細胞も放射線に強いからなのかな。
あるいは,潜在的な転移が無数にあることを想定されるから?

本当は,ボクの肺門リンパへの放射線治療について書こうと思ったのだけど
前置きが長くなりすぎた・・・。ので,続きはまた今度。

ゴールデンウイークの前半,ちょっとした冒険の旅をしてみたんだけれど
やはり脚の力の衰えは著しく,雪が少ないコースを選んだのに
コースタイムを大幅に上回ってしまい,予定の一部をを断念せざるを得ない結果に。

登山では「強い」「弱い」という言い方があって
誰よりも重い荷物を背負って,誰よりも早く遠くまで歩ける人が「強い」。
そうでない人は「弱い」。
ボクの場合,現役でばりばり登っていた頃から,それほど強い方ではなかったのだけど
気温が低い時期で,荷物も工夫して相当に絞ったのにも拘わらずバテバテになってしまい
これれほど弱くなっているとは,やはりショックでした。
療養中とはいえ,あまりゴロゴロしていては,さらに動けなくなりそうで
先行き心配です。

検査の最終診断は予想していたとおり,頭部が完全奏功で
胸の転移も縮小を維持していて,とりあえず十分に治療効果は得られているようです。

治療前の血液検査の結果も良好で,無事に13サイクル目の治療を始められました。
副作用の方は相変わらず,若干の食欲減退と吐き気・我慢できる程度の口内炎
降圧剤を飲んでいるせいなのか,息切れと動悸が酷い日があります。
どの症状も治療を休止したいと思うほどではなく,まだ続けられそうです。

肺門の転移巣は,化学療法だけで,これ以上の効果は期待できなそうなので
最後の手段として放射線治療をと考えているのだけれど
これもなかなか問題が多く,時期の見極めを誤った場合
最悪の状態も想像されるので,なかなか踏ん切りがつかない状態が続いています。

それでもまあ
治療の方針や方法を選択できる状態にあるということは
結構ましな状態なのかな。
3月の末に受けたCTの検査結果。
このところ息切れが酷く,胸水でもたまっているのか,と考えていましたが
画像診断では胸水・腹水ともに病的なものは無いそうでした。

  左肺門の転移巣は縮小を維持,右肺底部の病変は消失。
  胸腹部に新病変を指摘できない。

左肺門の転移に関しては,縮小と言うよりも消失に近く
ただ,リンパ節転移なので組織自体は当然,そこに残ってあるため
消失とは断言しにくい状態のようです。
右肺底部は,非定型であったので当初より炎症性変化の可能性を
指摘されており,縮小してゆく様子からやはり,炎症性変化だったのだろう。
という話しでした。

そして,第12サイクルの治療を始めることになったのですが
副作用の方が少しずつ,辛いものになってきているため
CPT-11の使用量が25%減薬されました。
この減薬が今後にどう影響するか,少し心配なのですが
治療を継続できなければおそらく,転移巣の再増大が予想されるので
副作用の強さと治療効果が,ここら辺でバランスしてくれると良いな
などと考えています。

治療の当日を含め3日目に,今回の頭部MRI検査が予定されていて
こういったことは以前にもあったのですが,問題は持続点滴のための留置針。
つまり,治療中の針が刺さったままでMRIを受けて安全なのか。
以前に同じような予定が組まれたときは,念のために抜針してから頭部MRIを
受けたのですが,これは磁力の影響を最大限に考慮した結果で
その解釈にはいろいろあるようです。
消化器内科外来では”問題ない(はず)”
放射線科では”頭部MRIでは抜針しないで大丈夫(なはず)”
通院治療センタでは”念のため抜針してからMRIを受けるべき”
理屈から言って,磁力の影響を受けない金属であれば問題ないはずなのですが
”問題がない”ことと”安全である”ことは別なので,今回もやはり
抜針してから検査を受けました。そのため,規定量を点滴しきれなかったです。

そして今回の頭部MRIの結果なのですが
前回の”ほぼ消失”から”消失”に格上げになりそうです。
(最終診断結果は放射線科から出るため二週間ほどかかる)
前回(2012年夏治療)の転移巣は浮腫を含め消失を維持しており
新たな転移も指摘されないため,今回で一応
頭部はクリアな状態になったようです。


またずいぶん更新の間隔が開いてしまいましたが
がん自体の状態は非常に安定しています。

実は,1月の中旬に,以前の山仲間を誘って
冬山へ出かけてきたのですが,このときにある事がはっきりしました。

登山中も脚がおかしく,山から帰って異常を感じたので
がんでかかっている病院のリハビリ科で,脚の状態を診察してもらったところ
どうやら,左脚に麻痺が出ているようなのです。
末梢神経障害によるものでは無く,脊髄に関する麻痺でも無く
脳転移の後遺障害ではないかと言う事でした。

その結果,現在は,歩行するときには杖を使用するように指導され
小さな装具を着けて生活しています。
歩き回る事が億劫になりますが,動かないで居るとさらに
筋肉が萎縮したり,関節が拘縮したりして,ますます動かなくなるそうです。

学生の頃から,がんに罹るまで続けていた山登りは,どうやら
簡単には再開できそうにありません。せめて,現状を維持できるようにと
軽い運動を始めてみたところ,今度は再開したベバシズマブの副作用が。
安静時収縮期で160mHg,運動中収縮期が190mHg 。
降圧剤を使用して,コントロールできる事が確認できるまで,しばらくの間
運動は禁止ということに。

あちこちがボロボロな状態ですが,治療自体は順調です。
直近のCTの結果も良好で,肺門の転移巣は縮小を維持,右肺底部の影は
炎症性変化だったという事です。

残念ながら,副作用のほうは段々と酷くなってきていて
治療初日から吐き気が酷く,ポンプを外してからもしばらくは食欲が湧きません。
食欲が落ちている割には,ジワジワ体重だけは増えていたりして
そちらの方も心配です。運動を再開できるといいな。
それと,どういうわけか口内炎は殆ど出なくなり,これまたどういうわけか
髪の毛が,以前のように伸びるようになりました。
坊主頭にしているので散髪が忙しいです。

来月にはまた,頭部MRIがあるので,この検査の診断で消失が得られれて
新たな転移が指摘されなければ,ひとまず,がん自体は安心できるのかな。
なんて考えています。