10月になりました。
お元気ですか。
目の前のやるべき任務(仕事でも雑用でもお付き合いでも、
食べること寝ることも含めて生きるためのすべて)をやっつけていると
いつのまにか毎日がざくざく流れていくので、
身になることはひとつもなく
むしろスカスカになっている気分にはなるけれど、
ちょうど自宅近くに4年掛かりで完成予定のビルディングが、
少しずつ空に近づいているのを毎日見ていると、
削られるというより
やはりなにかは足されているのだろうと、
妙に励まされているような気になるものだ。
巨大ビルディングが完成するのを
こんなに間近で見られるなんてことは
今後もう2度とないだろう。
それも細部までまる見えである。
怒号が飛び交い、足場が積まれる音がカンカンと響き、
じっと佇んでいたり、動きっぱなしだったり、
誰ひとりサボタージュすることない
緊張感のある工事現場には、ほんとうにうっとりする。
映画『国宝』もよかったけれど、
同じくらいの感動を毎日味わっていると言っても
言い過ぎはない。
ここにふさわしい言葉は『勝負』だ。
その風景を前にすれば
世間やSNSに溢れる
『温かさ』や『優しさ』や『寄り添う』や『ふれあい』という言葉たちの
なんと薄っぺらいことか。
勝負に比べたら阿呆だ。
思えば巨大ビルディングは、
まだ未完成でありながら
ある種の覚悟みたいなものを漂わせている。
命が宿るまえの品格というか、気位とでもいおうか。
『勝負』をくる日もくる日も捧げられて
貧相な顔ができるはずないだろう。
このところほんとうに勝負している。
それでね、
勝負中は、
実は言いようのないみずぼらしさに
尽きるのでした。
そもそも勝負とは
お金を出して観るものですし。
工事現場からは以上です。
しあわせすぎるいただきもの。
まるで月刊ブログのようになってしまったけれど、
気長にお付き合いください。
