五月華薄い雨に濡れて五月華の口から甘い汁をたらす。私は小さな唇を受けるように開け遠目に見ながらあなたを思う。咲き乱れた春の日から幾日経ったろうか。静かに零れ落ちる五月色のつゆを忘れられない不埒な私は、今でも自分を自分のものにしていない。花びらが、私の口に傾くことだと相変わらず思う雨夜。花は夜にも濃紅に耀くのだ。
三日月長く続く階段を登った先には大きな三日月が待っていた。そのままにやりと眺めながら夜行列車に乗った私を窓ガラス越しに差し続ける。何をしに来た。何をしに来た。無知で無力な私を照らす。お前の笑顔は嘘をつくだろう。にやりと笑うは嘘の日だろう。闇夜を照らすよな嘘をつく、私は必死に逃げるのです。にやりと笑う三日月がさっき捨てた嘘を照らす前に。