しおじのし -31ページ目

   しおじのし

  ー裏路地の one dropー

空と土しかない郷で
あなたは空に星を降らせた。
道を明るく照らすわけでもなく
静かに静かに、
春の星を降らせた。
大きな荷台に溢れんばかりの
野菜と羊を数頭。
全ての飢えを救うわけでもなく
健やかに健やかに
赤子の夢見る星を。
空と土しかない郷で
暗闇の空に光をふらせた。
空。
空だ。
笑い耀く空だ。
彼は続く。
君の住む町へ

空。
空だ。
歌声が抜ける空だ。
そうだよ。
君の住む町へ。
乾燥してきたせいだろうか?
遠くで遮断機のシグナルが
祭り上げられてるよに
聞こえてならない。

あなたは忘れてしまうだろう。

頬の涙を拭わず
別れ際に言われたことが
今日もふと、よみがえった。

ワスレナイと
車窓から唇で伝えたけど
また、僕が届けに行くよ。
必ず忘れないことを
君に合わせた歩幅で歩いて行くよ。