しおじのし -28ページ目

   しおじのし

  ー裏路地の one dropー

女のしたたかサなんて
知らないまま僕は大きくなった。

また、僕の名前を呼ぶ…

雨がコンビニの屋根をタカタカ鳴らし
吹替映画をつけっぱなしにした部屋
二人の声が外に漏れないように…
そんなウソを僕は受け入れる。

また、僕の名前を呼ぶ。

涙を流したのは
喜ばせた僕を 喜ばせたいから
綺麗になった君に 有頂天な僕を
したたかにも微笑みかえして
涙をながす…ひとすじに。

女のしたたかサなんて
知らないまま歳をとっていく。
繰り返す罪がこわいなんて言わない。
これからも絶対。
日が落ちてから出かける。
温かい日常語が照らす 昼から眠い
疲れなんて知らない 2つ下の階の娘
昼間は泣く時間 今日も夜通し歌う。

当たり前に憧れがないから
刺激的なネオンが減ったのさ。

水捌けの悪い階段を
バシャバシャ云いながら帰ってきた。
逆さまのままベッドに入る朝。
必要ないものはいらない 挨拶さえも
私も精一杯だから。
静かに生きている。
静かに生きていく。
誰もが隣と片寄ながら
静かに愛し合う。

駅のホームの先端で
手を振りアタマを下げる。風呂を沸かしながら
眠れない夜の支度をする。

性を乗り越えて
僕らは二人になったけど
世間とは離れることになった。
誰かと誰とも仲良くなるなんて

静かに生きている。
静かに生きていく。
誰もが隣と片寄ながら
静かに愛し合う。