今日は七草粥の日
七草、言える?▼本日限定!ブログスタンプあなたもスタンプをGETしようセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、春の七草。昔、記憶に刷り込まれていまだに言えるんですよね~。音とリズムで覚えてる感じ。うちは朝、七草がゆにしました。でもちゃんとした七草じゃなく。家にある野菜七種類で作りました~。いいんだ、七草セットは結構高いから(笑)。お腹によければいいはずだ!たきゆん様~。なんか淡々としてるかな~■□■□■□■□■□寒くて。手袋をしても震える手。擦り合わせて温めようとするけれど、下がり続ける夜の気温に負けてしまう。「寒・・・。」言っても仕方がない言葉が、口から出ていく。信号が早く変わるように、祈る気持ちで待つ交差点。早く、早く帰りたい。帰って、彼の顔を見れたら、それだけで、温まるから。信号が変わると、足早に歩き出す。あの部屋が近づくほどに早まるスピード。もうすぐだ・・・走り出しそうな勢いで角を曲がって、部屋の窓を見上げた。だが、見えた部屋の窓は、暗い。「え・・・。」今日は彼が先に帰ってる予定だった。慌てて、スマホを確認すると仕事で帰るのが遅れるというメッセージが入っていた。『ごめん、先に食べてて』画面を閉じて、手を下ろす。寒さが急に増したように感じて、体が震える。『一緒に、食べよう。』朝、そう約束した。その時、照れくさそうに笑ったあの顔が浮かぶ。『帰るの、待ってるからな。』仕方のないことだ。そして、よくあることだった。約束しても、一緒に過ごせなくなること。それに彼が帰らないわけじゃない。遅くなれば、もしくは朝になれば彼に会えるのに。ただ、今日は。重い足取りで辿り着いた部屋。玄関のドアがとても重く感じる。ブーツを脱ぐのにも、手間取ってしまった。ゆっくりとリビングに入ると、冷え切った室内の空気にまた震えてしまう。でもすぐには暖房を付けず、テーブルにもたれかかって、リモコンを手の上で転がす。このまま寒くても、同じだ。どうせ、部屋が暖かくなっても、きっと寒いままだから。そんなことを考えていたけど、やっぱり暖房を入れる。今は大事な時期だから、体調を崩すわけにはいかない。「はー・・・。」思い切り吐き出したため息は、部屋の中なのに、かすかに白くなる。でも、心の中の温度は、もっと低い。その時テーブルの上の紙に気づいた。『ゆうた、お帰り。もし俺の方が遅くなった時は、温めて食べておくように。』いつもより少し乱れた文字。慌てて書いたのだろう。「・・・ただいま。」手紙の『お帰り』に、返事。そして、紙の文字に触れる。「幸の声で聞きたかったよ・・。」いつもなら、こんなには寂しく感じないのに。ただ、今日は期待していたから。帰ったら、教えてもらえること。朝、少ない時間の中で、話していた、七草の話。『ゆうた、春の七草って、全部分かるか?』『え?七草・・・?』寝起きの頭は動きが遅くて、すぐに考えられなかった。『え・・と、セリとかあった?』『うん、ある。』『あと・・・スズナ?とか・・それにほら、仏・・・何とか・・。』幸広が笑った。『ホトケノザ、だろ?』『そう、それ。』でも、他は出てこなかった。『あとは・・・降参!幸、教えてー。』『帰ったらな。食べながら教えてやるよ。』『食べながらって・・・。』雄大は台所を覗き込む。『七草がゆ、あるから。』幸広が照れたように笑った。『一緒に、食べよう。』思い出すのを、やめよう。余計辛くなる。雄大は台所に電気をつけた。水を取ろうと冷蔵庫に手を伸ばした時。「何・・これ・・。『ナズナ』?」そう書かれた紙が貼ってあった。「え・・・。」見まわすと、食器棚にも。「えと・・『ゴギョウ』。」慌てて、紙を探す。箸の淹れてある引き出しの中。『ハコベラ』お椀の棚に。『スズシロ』「幸・・・。」急いで書かれた彼の文字は、雄大が答えられなかったもの。「ちゃんと、教えてくれたね・・・。」集めた4枚を手にもって、彼が作ってくれていたお粥を温める。我慢しようとしても、笑顔になるのを止められない。朝、幸広がこれを準備している様子を思い浮かべてしまう。遅くなった時のために。雄大との約束を、なるべく守るために。少しでも、悲しませずにすむように。雄大は、そっと彼の七草がゆを口に運んだ。2人で食べられたら、本当に嬉しかったと思うけど。彼の字が、教えてくれた優しさが、心を温めてくれたから。「美味しいよ、幸。」そして、口に運んだ彼の味が、体を温めてくれる。1人で感じるぬくもり。それが、寂しさを消してくれる。雄大は微笑んで、温かさをゆっくり味わった。スマホで感謝の言葉を送ったら、しばらくして返信があった。『答え、全部見つかった?』雄大は笑った。「簡単すぎでしょ。」今度、幸にどんなお返しをしようか。そんなことばかりを考えて。ただ、ただ彼のことを想っていた。