詩集『メモのはさまった窓』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

詩集をお贈りいただいた。

オシャレな装丁は森本良成さん。

『メモのはさまった窓』(和崎くみ子著・編集工房ノア・1980円)。

和崎さんはわたしはお会いしたことはないが、詩人江口節さんが主宰の「鶺鴒」の同人ということで、お名前はよく存じている。

先ず「あとがき」を。 

この中の「難解で、哲学化しすぎると私の能力では理解したり、共感したりできなくなってしまう。時々そう思って詩集を閉じることがある。」にわたしも共感する。

というわけで、難解な詩はない。安心して読める。何篇か紹介しよう。

 

「母の順番」 

最後の三行が素晴らしい。

 

「母と千円札」  

97歳で旅立ったお母さんの日ごろの姿が髣髴として温かい。

 

「わらしべ」  

これはわたしにとっても懐かしい思いが蘇る。遠い昔、夏休みで行った母の実家での景色を思い出す。

そして、わたしの妻の出身地も日本海に近い田舎だったので同じ思いがするだろうと思い、朗読してやった。やはり、懐かしがって昔語りを事細かくしてくれた。

 

「夢」  

犬が笑うという話。これ、最近体験した。大阪の娘のところの犬ジャックが病気で死んだ。

そのジャックの話題になった時、孫のsatoが「犬も笑う」と言う。わたしは「それはないやろ」と言った。するとスマホの写真を見せてくれた。たしかに笑って見えるジャックの写真があった。かわいい犬だった。もちろん、夢は見ていただろう。

と、この詩から連想させてもらった。

 

「表札なし」  

この詩については覚えがある。以前に「鶺鴒」に載せておられた時に「表札」と題してこのブログで紹介したことがある。

 

総じて読み易い詩なのだが、わたしは前半のお母さんをテーマに書かれたものが良かった。人肌の温もりを感じて。

 

和崎さん、ありがとうございました。今後とものご健筆を祈っております。

 

 
imamuraさんの本。 『完本・コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。
 
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