久しぶり | 喫茶店の書斎から

喫茶店の書斎から

コーヒーカップの耳

牛山さん、いつものようにカウンター席。
そこへやってきたのが、久しぶりのF西さん。
F西さん、真面目な声で
「牛山さんという人がこの辺りにいはると聞いてるんですが?」と。
「牛山はわたしやけど」と牛山さん真面目な顔で。
F西さんは牛山さんと分かっていてのこと。
要するにからかっておられる。
ところが牛山さんは気づかない。
「なんか用ですか?」と、いたって真面目。
「ちょっと調査してくれと言われて…」
「調査?」
その時、F西さん、かぶっていた帽子を取って改めて顔を見合わせる。
そのスキンヘッドを見て、やっと気づいた牛山さん、
「こらっ!ええ加減にせえ!」と。
「久しぶりやなあ。5年ぶりぐらいか?」

以前はしょっちゅう会っていた二人。
F西さん、たまには見えるのだが、牛山さんの見える時間とズレがある。
そこでF西さん、「珍しい時間にいてはりますなあ」
そう、牛山さんは大抵朝8時過ぎ。
F西さんは今は遅い時間だ。