あるお客さま | 喫茶店の書斎から

喫茶店の書斎から

コーヒーカップの耳

二三ヶ月に一度お出でになるお客様がある。
鳴尾からだから結構遠い。
しかもかなりのお年になられる。
元は学校長さん。
わたしの店に見えるのには目的があってのこと。
『KOBECCO』を読むためだ。 
わたしが書いている連載記事を読むために来て下さるのだ。
 じっくりと静かに、二三ヶ月分を読まれる。
しかし、ほとんど感想や意見を述べられることはない。
読み終えると、ニコッと笑って「ごちそうさまでした」と帰って行かれる。
今日は三ヶ月分をゆっくりと読んで、やはり「ごちそうさまでした」とだけ言って、帰って行かれた。
ありがたいけど、ちょっと不思議。