『つきひ』 | 喫茶店の書斎から

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コーヒーカップの耳

昔、全くの手づくりで作成していた詩集がある。
ワープロでもなく手書きである。
3号まで書いているが、途中で止まったまま。
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『つきひ』と題している。
そのころの家族4人のそれぞれの頭文字である。
「き」だけは二人に通用するので、4人で3文字である。
それが偶然「つきひ」となった。
詩とは呼べない日常のことを思いついて書きすすめていたものである。家族の記録のような。
普段忘れているが、十日程前、滉と咲友が来ている時に本棚の奥にあるのが目について、いくつかを二人に読んでやった。
大いに喜んた。
そして、昨日、咲友が「あれを読んで」という。「ガスが漏れてませんか」を読んでくれという。

  「風」

台所でガス洩れ警報機が鳴っている

 ガスガモレテマセンカ

 ガスガモレテマセンカ

するとぼくの奥さんは

「洩れてません 洩れてません」

と いちいち相手になっている

やがて

「洩れてませんヨ~ダ!」

と憎まれ口をきく

そしてついに そばへ行って


たたく真似をする

すると不思議にも静かになってしまう

「たたかれるのが恐いらしい」

と つぶやいている。
             1990年12月

 これ、バーパのことやでと言ってやっていたので余計に喜んだのだ。ゲラゲラ笑って何度も読めと言った。