喫茶店の書斎から

喫茶店の書斎から

コーヒーカップの耳

「トライアングル朗読会 Vol.3」を観劇してきました。

敢えて「観劇」と書きます。

小倉啓子、奈津陽子、久保直子さんの三人による、いずれもプロの語り手による朗読。

 

 

 

一人目は小倉啓子さん。

拙著『完本・コーヒーカップの耳』を朗読された小倉さんは「劇団神戸」の代表者であり、女優さん。

さすがでした。最初の「帰らぬ人形」は、多少のアドリブを入れながら臨場感あふれる語りが秀逸。

あちこちから鼻をすすり上げる声が。わたしも鼻水が出て困りました。鼻をかもうにも音を出せないので。

 

小倉さんは「帰らぬ人形」のほか、「裸のアメリカ兵」「白いご飯」「大豆」「後ろ姿」「思い込み」「ブッチャケ」「バスガイド」と読まれ、あちこちから笑い声が。そして最後に「ハーレー」を。

しっかりと観客の胸に届く朗読でした。

 

二人目はアナウンサーの奈津陽子さん。「万葉集の恋うた」。これは準備が大変だったと思いました。

万葉時代を現代言葉で独り芝居をするような感じ。かなりの努力の跡が見える語りでした。

 

三人目は、いつもわたしが「さくらFM」でお世話になっているパーソナリティの久保直子さん。

ドリアン助川さん原作の『動物哲学物語』から「バクの茫漠たる夢」。

これは意欲的な作品。ドリアンさんもまだ人の前では読んだことがないという作品。

久保さん、よくぞこの作品を選ばれたと感心しました。

わたしが思うには子どもの性教育物語ですね。

小学生には無理とか思わないで、与えたらいいと思うのです。

 

特に感じたのは、朗読が始まる前には内容からして会場から笑いがおこるのではないかと思っていました。しかし、一切起こりませんでした。わたしも全く笑う気持ちにはなりませんでした。それは、久保さんのこの作品に対する姿勢だったように思われます。笑わそうと思えば、それぐらいの技は持っておられるでしょう。しかしそうはしなかった。俗に落とさなかった。凛とした態度で読み切られました。あっぱれと言っていいでしょう。

 

約一時間半の舞台、三人三様の朗読、楽しく聞かせていただきました。

お三人さん、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。

 

 

ドリアン助川さんの『青とうずしお』(新潮社刊)を読み終えました。

 

高校生が主人公ですが、大人が読む青春小説です。

 

最後の数ページは、妻にそこまでのあらすじを教えてやり、それから読み語りながら感動のうちに読了。

 

しかし、この長編の途中は、わたしにとっては辛い物語でした。

もう遠の昔に忘れてしまっていたことを、古いかさぶたをめくるように思い出さされて、少々辛いものがありました。

これはわたしの個人的なことです。

 

青春時代特有の、人から受ける傷、そして人に与える傷は、過ぎ去ってみて、胸に手を当ててみればだれの身にも覚えのあるものかもしれませんが、それは人ぞれぞれに性質の異なるものでしょう。

 

この小説にはいろんな傷がそれとなく描かれていますが、受け取る読者はそれぞれに違った感慨を持つに違いありません。

わたしはひどくかさぶたをえぐられました。

忘れていた、あれやこれやを思い出さされてしまいました。

 

個人的に読むのが辛い所も多くあって、詳細な読後感は書けません。

取りあえず、読んでみて下さい。

 

そして、読者それぞれが、自分の胸に手を当てて人生を振り返ってみて下さい。

そんな大人の青春小説です。

 

 

『完本コーヒーカップの耳』 ドリアン助川さん絶賛の本。面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

『KOBECCO』12月号が昨日届きました。

「神戸っ子出版」のHPには早くに上がってたのですが。

 

今号の「喫茶店の書斎から」は「おいでますよね」と題して書きました。

 

 

お読み頂ければ幸いです。

 

 

『完本コーヒーカップの耳』 ドリアン助川さん絶賛の本。面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

半分近く読みました。

『青とうずしお』(ドリアン助川著・新潮社刊)。

淡路の高校生の人形浄瑠璃を舞台にした物語ですが、読み易い文体でドンドン読み進めます。

 

取材もよく行き届いていて勉強になります。

 

むかし昔の甘酸っぱい思いが蘇るような瑞々しい青春物語。

 

ドリアンさん、こんなんが書けるんや。

気持がお若いんやね。

 

『完本コーヒーカップの耳』 ドリアン助川さん絶賛の本。面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

永井ますみさんからお贈りいただきました。

「現代詩神戸」291号です。

いつもありがとうございます。

 

書き手はほぼわたしの知らない人になってしまいました。

時の流れは止めようもありません。

 

中から二篇だけ紹介します。

 

これは岩崎英世さんの「囲碁」。

岩崎さんとは直接言葉を交わしたことはありませんが、もうベテランの詩人。

そのベテランさんがこのような説明的な作品を書かれたのが、なんだかおかしいですね。

妙に面白いです。まあ、ある程度囲碁のルールを知っていなければならないでしょうが。

 

これは力津耀子さんの「バラの花弁」。

 

いい詩ですねえ。

わたしもよく本に花びらを挟み込むことがあります。

そして後にまた開いて、「あ、あの時の」とか。

昨日は拾ってきた落ち葉を挟みました。

ページに挟み込むのは花びらや落葉だけではないんですね…。

次、いつページを開くかな?

 

 

『完本コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

 

 

昨日ですが、西北に行く時、43号の傍らに咲く白い山茶花がきれいでした。

 

 

 

それからこれは、西北駅からアクタへ向かう通路にある喜志邦三の詩碑です。

 

 

先ず気づく人はありません。人はその前を通り過ぎて行くだけ。

こんな歌(「春の唄」)はもう誰も知らないでしょうね。

「ラララ紅い花束車に積んで♬」

よく流行ったんですけどね。

 

 

『完本コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

小春日和の中、行ってきました。

「冬道会合同展覧会」初日に、北口まで。

 

 

会場には本当の春が来たみたいな明るい水彩画がいっぱい。

美しい風景画と人物画が並んでました。

 

 

これは講師、虹彩冬道先生の作品。

 

さすがに芸術性がありますね。

 

これは今村優子さんの「春の女性」と「北アルプス」。

今村さんですが、親戚ではありません。

 

そしてお目当ての宮崎天平さんの作品。「一人二役」です。

異彩を放つ意欲的なヌード。

これ、描くのは風景画とは違った難しさがあるでしょうね。

 

久しぶりに絵画展を楽しみました。

 

 

『完本コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。

 

 

ドリアン助川さんの淡路島を舞台にした最新作『青とうずしお』(新潮社刊)が届きました。

 

 

「長寿」とメッセージを書いてくださっています。

読むのが楽しみです。

『KOBECCO』12月号が神戸っ子出版のHPに上がっています。

 

 

私のところにはまだ届いていないのですが。

 

今号は「おいでますよね」と題して妻の故郷、出石がテーマです。

お読み頂ければ幸いです。

 

 

『完本コーヒーカップの耳』面白うてやがて哀しき喫茶店。

 『触媒のうた』楽しい文学史秘話が満載。