いっちゃんこと逸ノ城が気になって気になって | 社会のマンホール

社会のマンホール

コーヒーカラー代表 仲山卯月 兼
恵比寿横丁流し パリなかやま
によるブログ

大相撲九月場所はとにかく盛り上がった。
連日の満員御礼というのは伊達じゃなく、
私も実際テレビ観戦し、ここ近年になく興奮してしまった。
遠藤か?
いや遠藤の大躍進は前の場所までのこと。
今場所は試練の場所で、静かに負け越した遠藤だった。

場所を沸かせたのは逸ノ城だ。
新入幕で横綱、大関をくだし、
準優勝までした逸ノ城のおかげで場所はとても盛り上がった。

十両時代から怪物怪物と言われていたようだが
私は九月場所ではじめてじっくり取り組みを観ることができた。

ゲルの怪物と呼ばれる逸ノ城。
ゲルとはモンゴルの遊牧民が暮らす、移動式の家のことで
角界モンゴル力士は多かれど遊牧民育ちの力士は他にいないのだとか。
だから逸ノ城はゲルから出てきた怪物だと。

武道やスポーツ界では「怪物」は「天才」を超える賛辞だと思うが、
なんか風貌だけで言われているんじゃないかと、
ちょっと不憫な気もしていた
が、
ほんとに強くて、正しい「怪物」だった。安心した。


どんどん勝ち星をあげていく逸ノ城
彼の取組をただ観ていても
「これはヤバい」という感じで、まったく親しみが湧かない。
不敵で不気味でさえある。
用心棒、トムソーやの冒険にでてきたインジャンジョー的だ。
強い、怖い、悪そう、ヒールなスターの条件を兼ね備えている。

しかし私にとって、逸ノ城が
たまらない魅力を帯びてきた理由はそんなことだけじゃない。
それは見た目と相反して、彼の純朴さ伝わってくることだ。

インタビューなどで垣間見える素直な受けこたえは
インジャンジョーどころか、心優しきスロース(グーニーズ)の印象だ。
ふつうにしてるだけで優しいとか言われちゃうタイプかもしれない。

「がんばります」
「うれしいです」
「ありがとうございます」

シンプルだが、控えめでもなく、強気でもなく、こたえる逸ノ城。

日に日に世間の評判も
「ゲルの怪物」から「素朴な怪物」に変わったようだ。

また
終盤戦は更に奥深さを見せる逸ノ城だった。

横綱対戦を前に
「思いっきりイキマス」
と答えておきながら
立ち合い、横綱鶴竜をさっと避けて勝利してしまう。

怪物怪物と言われ
「ふつうの人間です」

気がつくと
私はいっちゃんの虜になっていた。
満員御礼さもありなん。

スロース