西村健司さん(会社員 28歳)による 「迷走」レビュー
①サンタクロース・アゲイン
朝起きると枕元にプレゼントが、なんて年齢ではなくなってしまったけれど、今でも「クリスマス」と聞けばココロのどこかがワクワクする。
華やかで壮大なオーケストレーションに乗せて綴る、大人たちのクリスマスソング。
そろそろ僕たちがサンタクロースになる番なんだろう。
この歌は、夏に聴いてもなかなかオツである。
②だるまの家
この歌を聴けば、群馬に行ったことがなくても、榛名の町を知らなくても、そこがふるさとになる。
祖父母の思い出やら古い家の雰囲気やら田舎の匂いやら不思議な体験やら、日本人のココロの奥底に眠っている「ふるさと」の要素が、親しみやすいメロディに呼び起されて、ふわっと目を覚ます。
そこで僕たちは、「ふるさと」が単なる土地や建物などではなく、「気持ちの置き場所」であることに気づかされる。そんな1曲。
③坊ちゃんの時計
僕のような、ずぼらで、酒飲みで、お調子者で、おまけにメタボ体型で、世間に甘えて生きている男にとっては、実に身につまされる曲。
使わなくなった目覚まし時計のように、ちょっとウルサイけれど懐かしくて大切なものを、僕たちは案外近いところに忘れているのかもしれない。
「たまには部屋の掃除でもしてみるか」そう思わせてくれる1曲。
④釣り
何が何だか分からないうちに背負い込むリスクもあれば、分かっていても取らなきゃならないリスクもある。ストレスのない仲山氏の歌声で、「釣り」を通して静かに社会を輪切りにした作品。
ありのままに生きたい、というのは皆の願いであるけれど、100人が100人、同時にありのままにという思いは叶わない。
あるときは釣り人となり、またあるときはサカナになりながら、ヒトの一日は過ぎていくのだろう。
⑤エンドレス
働くヒトの応援歌・コーヒーカラーの真骨頂。
「仕方ない」「アナタのせいじゃない」誰もが一度は口にし、投げかけられたであろう言葉たちが、ゆったりとワルツにのって、疲れたココロに沁みてくる。
倒れては起き、起きては倒れの繰り返しが人生ならば、起きようとするときに、僕はコーヒーカラーの歌を聴いていたい。そうでありたい。