しかし、怪しい雰囲気になってきたのでこの場を何とか切り抜けなければと思いトイレに行く振りをして携帯で部下に電話した。 「もしもし、お疲れ様 まだ仕事してるの?」 「はい、でももうすぐ終わります」 この社員は入社してから面倒を見てきた社内でもかなり人気のあるイケメンのT君である。 「どうしたんですか?」 「いや、今近くで食事しているのだけど来ないかい?」 「はい、わかりました」 T君は私の誘いを今まで一度も断ったことがない律儀な社員である。 「じゃ、待っているからよろしくね」 「なるべく早く行きます」 よかった これで何とか成りそうだ・・・ 「ごめんね、今会社から電話が入ってT君が来ることになって」 「え、T君がここに来るのですか?」 「そうなんだよ、何でも明日の朝一番に営業に行くのに打ち合わせをしておきたいとかで・・・」 あちゃー咄嗟にまた嘘をついてしまった。 「そうなんですか・・・でも仕事なら仕方ないですよね・・・」 「本当にごめんね」 「では私お仕事のじゃまになっては悪いので帰ります」 「え、帰るの?」 帰らせる為に呼んだわけじゃないのに・・・ 「大丈夫だよ、すぐに終わるから そうしたら3人でお酒でも飲もうよ」 「いえ、またの機会にします。 ごちそうさまでした」 彼女は足早に店をあとにした。 いやーまずいことしたな 彼女怒らせてしまって・・・ でもこの方が彼女にとってもいいんだと自分に言い聞かせた。 まもなくT君が来てその日は食事だけして家路についた。 そして、ついに週末がやってきた 今日はカミさんに何て言い訳しよう、朝起きて眠い目をこすりながら考えた。 そうだ会社のゴルフという事にしよう・・・ 「おはよう、今日は会社の連中とゴルフなんだよ」 「そうなの何で昨日のうちに言わないの」 やばい不機嫌になってきた・・・ 「ごめん、昨日帰りが少し遅くなったしその上で明日ゴルフとは言いずらかったんだよ」 「それはわかるけど何で今日なの、このあいだも引っ越しで休みに会社に行ったばかりじゃない」 「わかてるよ、この穴埋めは必ずするから」 「だって着替えとかも持って行くんでしょ」 「うん、自分でやるから大丈夫だよ」 「わかったは、気おつけて行って来てね 今日は早く帰れるんでしょ」 「大丈夫、今日は9時か10時には帰るから」 「そんなに遅くまでゴルフってやるの?」 まずい 「いや、ゴルフが終わってから打ち上げとかするもんだから・・・」 「そうなんだ・・・」 少し怪しんでそうだけど・・・ 「わかったから早く準備すれば」 「うん、急がないと遅れちゃうからな」 しかし、着替えを持って行くのは面倒だし荷物にもなるからどうしよう・・・ 「あれ、そういえばゴルフセットは持っていかないの?」 しまった、あれこそ大きい荷物になってしまう。 「今日はゴルフ場でレンタルするからそれはいいよ・・・ 「そうなんだ、わかった」 「大丈夫、きみはゆっくり休んでいて」 「はいはい わかりました」 よかったデートにゴルフセットなんか担いでいけないし・・・ホッ 「じゃ、行ってくるね」 「はい、いってらしゃい」 無事クリア出来た、今日も順調な滑り出しだな~と思った。
いつもどうりの仕事をこなし、平穏な週末の金曜日に日々日報を書き終え帰ろうと席を立とうとしたとき突然 「部長、今日この後時間ありますか?」 と総務の女の子が声を掛けてきた。 「ん、大丈夫だけど みんなは行くの?」 「あの、今日部長に相談があって他の人誘ってないんです」 「え、2人で行くの?」 「はい」 「それは仕事の相談?」 「まあ、いろいろと・・・」 「仕事の相談なら乗れるけど、それ以外は無理だよ 特にお金の問題とかは」 「いえ、そういう話ではないです」 「わかった、じゃ食事でもしながら聞こうか」 「はい、ありがとうございます」 この娘は会社でもすごく仕事が出来て、なかなかの美人で有名な娘だった。 でも仕事以外の相談ってなんだろう・・・?まあ行けばわかることだしカミさんに電話だけしておこう。 「もしもし、俺だけど今日仕事の付き合いで少し遅くなるから、飯はいらないから」 「うん、わかったなるべく早く帰ってきてね」 「うん、わかった」 ものわかりのいいやさしいカミさんだといつも思って感謝している。 お店に着いて食事をオーダーし、食前酒が来ると
彼女は話しはじめた。 このあいだ部長が誰か奥さん以外の人と歩いているのを見かけました。 心臓が飛び出そうになるくらいビックリした。 「え、そうなんだ どこでみたの? それって人違いじゃない」 と内心本当に見たのと疑っていたが 「2週間くらい前の土曜日に上野の駅にいましたよね」 どっきとした確かにローズと一緒にいた。 「でも他人の空似ってあるし・・・」 「でも、間違いありません」 ときっぱり言い切られた。 まずい・・・何て言い訳しよう・・・ まてよ何でこの娘がそんなこと言い出すのだろう・・・なぜ? 脅すつもり? やっぱりお金? 短い時間でいろいろ考えたが、本人に聞いた方が早い 「もし、俺だったとしていきなり何で、今になってそんな事言い出すの?」 「部長は私の気持ちわかってくれてない・・・」 は?何でその返し?なになに、わからなくなってきた 「ごめん、なにが言いたいわけなの?よくわからないから」 「私以前から部長の事憧れていました、しかし奥さんもいるしすごく奥さんの事愛していそうだったから 遠くから見ていたんです」 「でも、まさか部長が浮気をしている所を見てしまうなんて・・・それも異国の人だったから・・・ショックで最近仕事も手に付いていなかったんです。」 「そうか、すごくうれしい事だけど でもごめんね これ以上他の人を愛せないから・・・」 「いいんです私今まで諦めようと思っていましたが、部長が奥さん以外の人とも付き合うことのできる人なら」 え、それって誉め言葉かな? それとも浮気癖のあるひとって言ってるのか? まあどちらでもいいがどうしよう・・・
それから数日が経ち、カミさんにはばれることもなく平穏な日々が過ぎていたが、これまでとは何かが違い何となくさみしさ?物足りなさ?何かわからないが心というか気持ちに隙間が出来てしまったような感じだった。 そうだ、久しぶりにローズに電話してみよう・・・ 携帯を持ってはみたがやはり気が進まない。 彼女は結婚している自分のこと、どう思っているのだろう? いや、今後どうしたいと思っているのだろう? その時すごく気になった。 あの時は流れというか、そうするのがいいのかと思い関係を持ってしまったが、俗に言う愛人でもいいのかな? でも彼女を養うほどの高いサラリーを貰っているわけでもない。 考えながら会社を出て家へと向かって歩いていたら、ローズからメールが来た。 こんにちは、仕事は終わったのですか? 電話やメールを待っていたのに来なかったので、忙しいのかと思いメールにしました。 早く会いたいです、次いつ会えますか? という内容だった。
やっぱり来たすぐに返信しようと思ったが、何て返信しよう・・・ この内容の返信の前に彼女の気持ちが知りたい・・・ すぐに携帯で電話した。 「もしもし、sinだけど」 「sinさん、ありがとう電話もらえて すごくうれしい」 「今仕事中でしょ」 「そう、でも大丈夫だから」 「この前の事なんだけど・・・」 「いいのあの事はsinさんには奥さんもいるの知っているし」 「じゃ、何故?」 「わたしがそうしたいと思ったから」 「でも・・・」 「ほんとうに深く考えないで、また遊びに行こうよ」 「うん・・・ わかった じゃ今週末に会おうか」 「OK、たのしみに待ってるから」 「じゃ、この前の所で時間はお昼ごろにしよう」 「うん、じゃね love you バイバイ」 携帯を切ったあとで自分はローズの事すきになり始めているのに気がついた。
