この記事は、有機化学の専門用語が多いと思います。
一般的には、-CH2CH2-の場合、プロトンNMRでは、それぞれの水素が三重線(t)で、積分値は2に近い値にすることができます。
しかし、今回は四重線(q)とtで、なおかつ、付近にもうひとつ、qとtが。
はじめ、出発物質や酢エチ、ギ酸エチルとかエタノールが残っているかと思い、カラムをかけ直した。
しかし、結果は同じ。
カラムが上手くいかないかとも思ったが、いや待てよと。
隣接の官能基に睨みつけ、僕は大胆な予想を立てた。
先生は、一瞬考えこんではじめは「ありえないだろう」とつぶやいたが、スペクトルの拡大部分を見せると、先生も「こんな結果は見たことがない」と。
僕の予想が次のもの。
①シス・トランスが混ざっている、②アミドのNHのHともカップリングしている、と。
そこで、アミドのNHと思われる、部分を照射し、デカップリングを行ってみた。
すると、謎だった、qはtに姿を変えた。(ちなみに6回くらいIRATNを変えた。なかなかデカップリングできなかった。)
どうやら、アミドのHNとCH2とカップリングしているらしい。
また、重水を加え、スペクトルの変化を調べた。
カーボン13もBCM、DEPT90、135をとり、比較した。
DEPT135のから、CH2CH2を示す、下向きのスペクトルが4本、長いのと短いのが交互に現れた。
やはり、シス・トランスか。
僕の大学にはMSがないので(耳なし芳一ですw)、データ解析を依頼しました。
プロトンとカーボンとMSの結果から、かなり見えてくると思います。
今日は先生いわく、例外ばかりが起こった。