アクセス解析 6月版 | 広重アナリーゼ~名所江戸百景の描かれた日~

広重アナリーゼ~名所江戸百景の描かれた日~

百景が描かれた時代背景、浮世絵の細部、安政地震からの復興を完全解説!

 最近、検索でこのブログを見る人がふえている。実際にどんなワードでこのブログにたどり着いたのかちょっと調べてみよう。
 6月の検索Googleで10番以内に入ったキーワードについて、その一例とちょっとした解説を書いてみた。

■入銀物 浮世絵
 Googleでは、5番目にヒットする。入銀という言葉についてはブログの中でしばしば使用するが、Googleでは50景「角筈熊野十二社俗称十二そう」が検索結果となっていた。
 入銀とは、浮世絵に描かれた店や料理屋からもらう広告料のことである。店がみずから発行するのは引札と呼ばれるが、引札だけではおそらく効果が限定的だったのだろう。現在でもテレビや雑誌のような第三者的なメディアで紹介されると、売り上げが上昇するように、浮世絵に描かれることで店の信頼度が上がり売り上げが伸びる仕組みがあったようだ。百景でも、駿河町の越後屋下谷の松坂屋柳島の橋本日本橋の白木屋団子坂の紫雲亭真崎の甲子屋など相当数が入銀物と思われる。

■魚早見立評判第初輯
 Googleでは、1番目にヒットする。そもそも1件しかヒットしない。32景「柳しま」の記事が検索されたようだ。
 「魚早見立評判第初輯」とは、江戸時代に出された相撲番付を模した魚料理店をランク付けした1枚摺で、自分も実物を見たことはない。しかし「番付で読む江戸時代」という本にその内容が載っている。

■江戸高名会亭尽 今戸橋之図
  Googleでは、2番目にヒットする。この検索ワードに限らず「江戸高名会亭尽」については、「東都高名会席尽」と並び、ほぼ毎日誰かが検索している。みなさん非常に興味があるようです。「江戸高名会亭尽」は広重が天保後期に描いた入銀物で、江戸の有名料理屋を描いた浮世絵である。ネット上にもこのシリーズを掲載しているサイトは数多くあり、全てを閲覧するのはそれほど難しくはない。

■広重 名所江戸百景八つ見のはしとはどこ
  Googleでは、2番目にヒットする。こういう検索ワードでもちゃんと目的のサイトが探せるところGoogleはすばらしい。45景「八ツ見のはし」の記事が検索された。
 「八ツ見のはし」とは一石橋の俗称で、呉服橋、鍛冶橋、銭亀橋、常盤橋、日本橋、江戸橋、道三橋、自らの一石橋が見えることから呼ばれた。

■大伝馬町木綿問屋仲間
  Googleでは、6番目にヒットする。7景「大てんま町木綿店」の記事が検索された。この記事は筆者が考えた新説で、なかなかの内容だと思ってる。
 記事は「日本橋街並み繁昌史」という本を参考に、浮世絵に描かれた大伝馬町の店の順を書いているが、松坂出身の店と、後から木綿問屋に進出してきた店があり、7景「大てんま町木綿店」には松坂出身の店しか描かれていないということを発見した。

■松尾芭蕉 俳句 おくまんだし
  Googleでは、1番目にヒットする。40景「せき口上水端はせを庵椿やま」の記事が検索された。松尾芭蕉の俳句に「茶水汲むおくまんだしや松の花」とうのがあり、それを調べられたのだろう。この句を載せているサイトはGoogle検索でも26件しかなく、あまり記事を書くときは気にしなかったが、意外とレアな句を解説していたのだと思った。
 「おくまんだし」とは熊野神社(お熊ん様と呼ばれた)にあった深い淵のことで、現在の江戸川区にある熊野神社の境内にあった名水を、和歌山の熊野神社にある淵にかけて詠んだとされています。

■金王桜 浮世絵
  Googleでは、2番目にヒットする。22景「広尾ふる川」の記事が検索された。金王桜とは渋谷の金王八幡にある銘木で、一茎に一重・八重が交錯して咲く珍しい桜であった。
 さまざまなサイトで、「広重の百景でも描かれた」と解説しているが、明確に金王桜と断定できる絵は百景にはないので、誰かが言い出した記事を内容を確認せずに引用していると思われる。唯一、この論が正しいとして描かれたと考えられる桜が、22景「広尾ふる川」に小さく描かれた桜ということになる。

みなさん、アクセスありがとうございます。