前回までの記事では、社長の段階や経営者のタイプについてご紹介してきました。

 

また、自己認識を深めておくことは重要で、それによって経営戦略が変わるのです。採用の仕方も、投資の仕方も、リスクの取り方も、事業構想の練り方も、エースで4番のプレイヤー社長から監督業業へシフトするときのポイントも、部下の育成の仕方も変わってくることをお伝えしてきました。

 

今回は実際に、エースで4番を引退し、監督業に専念していった事例を一つご紹介します。

 

 

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■ 支援先事例 ~あるマーケティング企業
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抜群の嗅覚とスピード感で会社を大きくしてきた社長でしたが、規模が大きくなり自分一人で頑張る限界を感じ、我々のところにご相談にいらっしゃいました。

その社長が取り組んだことは、一つは「会議に出ない」ということでした。それまでは、広告作成、商品開発、全ての領域の会議に出て、しっかりと指示を出し、管理をしていました。しかし、それではいつまで経っても社員の「社長頼み」の態度が変化しないので、自分自身は会議には出ないようにしました。

ほぼ同時に、社長+社員という二階層だった組織体制を、社長+課長+社員という三階層に変更し、課長たちに自分たちで考えて判断するように求めるようになりました。


始めたころは、正直すんなりとは上手くいきませんでした。課長達も、自分達に託されたプレッシャーもあり、どうしても判断を社長に仰いでしまうことが続き、社長としても、ついつい口を出してしまうこともあり、なかなか変化が進まなかった・・・というよりも一時的には状況は悪化したかのようなところもありました。

 

 

中堅・中小企業の問題点

 

 

それでも「社長の力ではなく、組織の力で勝てる会社にする」というビジョンだけは揺るがずに持ち続け、判断を求められても「自分達で考えて決めて」と返すように心がけていきました。同時に、管理職研修も実施し「自分達でゴールを考える」「課長達で、担当部署を超えて全体を考える」ということを、粘り強くやっていきました。

1年も続けていくと、明らかに様子が変わってきました。課長達の主体性も高まり、判断の制度も高まり、社長としても安心して任せられるようになってきました。


時間が浮いてきたので、より長期的な戦略を検討したり、組織作りについてより深い探求をする時間を取るようになっていきました。また「任せられている」という信頼感や責任感から、さらに課長達は、自分達でどんどんと会社を運営していくようになりました。

この難しい権限移譲を進めていったことも奏功し、5年連続増収を達成し、今なお、より組織力全体を高めるように経営努力を続けられています。
 

 

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■ エースで4番のプレイヤーから監督になるために
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ここでは見事にプレイヤーから監督業に移行された経営者の例をご紹介しましたが、実際に多くの企業を支援してきて、プレイヤーでやってきた経営者が「エースで4番を辞めることの難しさ」を感じています。

スポーツ選手であれば、加齢とともに肉体的な限界を迎え自然とパフォーマンスが落ちてきますが、ビジネスパーソンはそうはいきません。むしろ経験を積んで、どんどんとパフォーマンスが上がってしまうところがあります。


そういった中で、トップダウンの指示命令をしていけば、一定の成果は得られるのです。むしろリスクは少ない。しかし、どうしても「組織力で勝つ」方が「一人のカリスマで勝つ」よりも強いことが多いため、一人で頑張ることの限界はあります。

社長依存から脱皮するためには、一時的な混乱、一時的な業績低下のリスクを受け容れなければいけないところがあります。しかし、この難しさに正面から向き合って乗り越えたときに、明らかに組織はパワーアップします。社員も成功体験を積み、どんどん頼もしくなっていくのです。
 

 

いかがだったでしょうか。

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今回の記事も、少しでも経営者の皆さまの参考になりましたら幸いです。

最後までご覧いただき、いつもありがとうございます。

 

 

 

▼ 元記事

社長ばかりが忙しく働く体制をどう卒業するか?

 

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社長ばかり忙しく働くことになっているのは、中堅・中小企業ではよくある事象です。圧倒的に社長が優秀で情熱もあり、逆に社長が手を抜いたらすぐに会社が傾いてしまう。そんな風になっている中堅・中小企業は多々あります。
 

ひとつ前の記事では、「社長の段階」の解説から、「社長ばかりが忙しい」という状況を卒業するには、社長がエースで4番という状況を卒業し、監督業にシフトしていくことが求められることをお伝えしてきました。

 

エースで4番から監督業にシフトしていこうというとき、また、やっぱりまだまだエースで4番の社長として頑張りたいというとき、どちらにしても、自分はどのようなタイプの経営者なのかを捉えておくことは、事業や組織にとって価値があります。

ついつい【なんでもできる天才型】に自分を分類したくなりますが、そのカテゴリーに分類される人はごくわずかです。【何でもできる天才型】には、面倒くさいことがないという特徴があります。

ですから

  • 細かいお金の計算は面倒くさい
  • 部下のモチベーションとか考えるのはめんどくさい
  • 事業戦略は考えるの楽しいけど、税金対策はめんどくさい
  • やる気の高い部下を伸ばすのは楽しいけど、やる気が下がってる部下を救うのはめんどくさい


などなど、面倒な領域がある場合は【何でもできる天才型】にはなりません。


実際は、めんどくさいことがあるのが当然ですし、めんどくさいことがあっても何も問題はありません。問題があるとしたら「苦手なことを嫌々やっている」時間が長くなってしまうことや、「本当は不得意なのに、得意だと思い込んでやって」いて周囲に迷惑がかかっていたりすることです。

経営者にとって大切なことは、自分のタイプをしっかりと自己認知しておくことです。

切り口として参考にして頂けるように、ざっくりとタイプを並べてみましょう。ご自身が、どの経営者タイプか、どれが一番近いかを考えながら眺めてみてください。
 

 

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■ 人使いのタイプ
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【本田宗一郎、ビルゲイツタイプ】

  • 基本的に自分はビジョナリーな職人。
  • 経営はNo.2に任せる。藤沢武雄やスティーブバルマーに任せる。


【豊田章一郎・井深大タイプ】

  • 番頭をそろえるタイプ。殿様。
  • 財務番頭。技術番頭。販売番頭を持って経営する。

 

【松下幸之助・盛田昭夫タイプ】

  • 天才タイプ。
  • 事業構想も、組織構想も、実行も育成も全部自分でやる。

 

 

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■ 情熱の持ちどころのタイプ
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【孫正義、柳井正タイプ】

  • 事業が拡大する、儲かることが大事。
  • 事業への熱。「それは燃えるか?」がキークエスチョン。


【吉田松陰タイプ】

  • 人材育成が命。社会性が命。
  • 「それは正義か?」がキークエスチョン。


【ロバートキヨサキタイプ】

  • 不労所得が重要。
  • 会社の規模は重要ではない。利益額、利益率が重要。
  • 「それは儲かるか?」がキークエスチョン。


ご自身はどんなタイプだな、と思いましたか?

自分のタイプを良く知ることがとても大事です。本当は孫正義タイプなのに、ちまちまと利益率ばっかり追っかけても楽しくないのです。本当は本田宗一郎タイプなのに、全部自分でやろうとしても苦労ばかりが増えるのです。

 

 

経営者のタイプ診断


 

もしあなたが孫正義タイプなら、とにかく事業構想を練り続けることです。大きな事業構想を。それが大事です。その大きな夢、野望、野心に乗っかってくる仲間たちにどんどん動いてもらうのが大事です。

もしあなたが本田宗一郎タイプなら、とにかくNo.2がいないと話が始まりません。自分の分身にも思えるようなパートナーとの出会い、もしくはその育成。それが最重要課題です。

もしあなたがロバートキヨサキタイプなら、経済合理性以外で人を動かそうとしない方がいいでしょう。理念経営、なんて踏み込まないほうがいいのです。「みんなで効率よく稼ごうよ」これが会社で大切にされるべき掛け声です。

実際には「8割吉田松陰タイプだけど、2割くらいロバートキヨサキも入ってるな」とか、「豊田章一郎みたいに番頭をおいて殿様経営したいけど、今は人材がいないから自分で頑張るしかないな・・・」とかってことがあります。


しかし、それでも自己認識を深めておくことは重要で、それによって経営戦略が変わるのです。採用の仕方も、投資の仕方も、リスクの取り方も、事業構想の練り方も、エースで4番のプレイヤー社長から監督業業へシフトするときのポイントも、部下の育成の仕方も変わってきます。

あなた自身がどんな経営者なのか、あなたにとってComfotableな経営とはどんなものなのか、それ自体をとにかく大切にしてほしいと思います。結果として、あなたがストレスの少ない状況は、顧客や社員にとってもストレスが少なく、業績が高まりやすい状況になっているでしょう。

 

いかがだったでしょうか。

明日は、実際にエースで4番のプレイヤー社長から監督業業へシフトされた経営者の実例をご紹介する予定です。

 

お楽しみに!

 

 

▼ 元記事

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社長ばかり忙しい・・・・

 

社長ばかり忙しく働くことになっているのは、中堅・中小企業ではよくある事象です。圧倒的に社長が優秀で情熱もあり、逆に社長が手を抜いたらすぐに会社が傾いてしまう。そんな風になっている中堅・中小企業は多々あります。

「会社を大きくしたら、もう少しラクになるはずと思っていたのにな」というような声もよくお聞きします。

創業社長の場合特になのですが、タイプやポジションについてそこまで深くは探求せずに仕事を頑張って会社が大きくなってしまうと、自分で生み出した状況に自分で苦しむようなことにもなってしまいます。

 

 

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■ 社長の段階
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エースで4番

 

創業期に、数名から始めて会社が大きくなっていく場合には、野球で例えると、社長はまさにエースで4番、大黒柱として大車輪の活躍をして会社を引っ張っていきます。

だからこそ事業は軌道に乗り、会社としてひとまずの成功を収められるのですね。
 

監督

会社の規模が大きくなってくると、全ての仕事を自分でコントロールすることが難しくなってきます。5名程度であれば、全てを把握しながら進めていけますが、10名を超えてくるとだんだんと難しくなってくる。そうなると「監督」にシフトしてくる必要が出てきます。

監督となってくると、自分で活躍すればいいということではなくて、言葉で、コミュニケーションで、戦略で、選手(社員)たちをいかに活躍させていくかという仕事に変わってきます。

現場でエースで4番をやっているのが楽しい人にとっては、つらい仕事になってきたりもします。もともと監督業をやりたくて社長になった人からすれば「まさに社長業」という感じがしてくるフェーズでもあります。
 

球団社長

さらに会社が大きくなってくると、現場の監督もやっていられなくなったりもします。球団社長のポジションまで来ると、ビジネスの仕方が全然変わってきてしまいます。

現場は優勝のために頑張っていますが、球団社長からすると優勝したら選手の年俸が上がってしまう。だから、誰の首を切るか?とかを考えないといけなくなってきます。

選手や監督としてやっていきたかった人からすれば全く別次元の仕事になってきます。
 

球団オーナー

この状態は、株主として君臨して、不労所得を得られるような状態です。

極端に言えば、「野球」というものにほとんど興味がなくても、優秀な球団社長と監督さえ雇えていれば、自分は何もしなくてもいい、というような状態であり、ある意味では「経営する楽しさ・充実感」のようなものはほとんどない状態です。

 

社長のステージ


 

少なくとも「社長ばかりが忙しい」という状況を卒業するには、社長がエースで4番という状況を卒業し、監督業にシフトしていくことが求められます。

 

 

あなたは(もしくはあなたの会社の社長は)どの段階の経営者だったでしょうか?

 

経営者としてのタイプも良く知っておくことは重要です。エースで4番から監督業にシフトしていこうというとき、また、やっぱりまだまだエースで4番の社長として頑張りたいというとき、どちらにしても、自分はどのようなタイプの経営者なのかを捉えておくことは、事業や組織にとって価値があります。

ついつい【なんでもできる天才型】に自分を分類したくなりますが、そのカテゴリーに分類される人はごくわずかです。【何でもできる天才型】には、面倒くさいことがないという特徴があります。
 

次回も引き続き、「人使いのタイプ」「情熱の持ちどころのタイプ」など、いくつか参考になりそうな切り口をご紹介していきますのでお楽しみに!

 

 

▼ 元記事

社長ばかりが忙しく働く体制をどう卒業するか?

 

 

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ひとつ前の記事では、そもそも「自分のワークライフバランスは悪い」と思っている人はどういう状況なのか?という視点から解説してきました。

 

 

~ 前回のまとめ ~

  • 「自分のワークライフバランスは悪い」と思っている人の多くは、恐らくは「ワークの方が多すぎる」と感じている。だからこそ「ワークの総量を規制しよう」といった発想が出てくる。
  • 「ワークの方が多すぎる」と感じている理由の1つめは、そもそもそのワークが楽しくない、やりがいが感じられていないから。
  • 2つめは、「これだけ働いて、これだけの給料かよ」という意味合いが含まれている場合、自社の市場や経営・会計リテラシーに対する知識がないから。
  • 「こんなに忙しく働いて、これだけの給料かよ・・・」という思いを払拭する鍵は、「経営・会計の透明性を高めて、社員の会計リテラシーを高めて、みんなの“納得感”を高める」ということ。

 

 

つまり、ワークライフバランスを真に向上させる、真に働き方改革を実現する、ということのポイントは「仕事に誇りややりがいを感じられるようにする」、「経営・会計の透明性と、会計リテラシーを高めて納得感を持てるようにする」ということが重要になるはずだと、私は考えています。

もう一つは「選択感を持てるようにする」ことです。「給料が減ってもいいから、自分は仕事量を減らしたい」という選択も可能で、その選択が尊重されるようであると、一人一人にとってワークライフバランスは、非常に質の高いものになるでしょう。


では
 

「仕事に誇りややりがいを感じられるようにする」
「経営・会計の透明性と、会計リテラシーを高めて納得感を持てるようにする」
「選択感を持てるようにする」

という3つは、企業経営の中で、実際にどのように実現していけばいいのでしょうか?

 

1.仕事に誇りややりがいを感じられるようにする

「仕事に誇りややりがいを感じられるようにする」については、自分達の事業の社会的な意義や価値を経営陣が発信したり、社員が探求したりすることが重要です。

ある居酒屋では店長が「居酒屋の社会的意義」について毎日語り続けていて、それによって社員が本当に自分たちの仕事に誇りをもって働いているというのがあります。「いいか、居酒屋っていうのは、本当に素晴らしい仕事なんだ。居酒屋で楽しく過ごす、大事な話をする、それによって活力が得られて、また明日も頑張ろうって思える。家に帰る前に、居酒屋で過ごす時間が楽しいか、楽しくないか、それでその人たちの明日はホントに変わるんだ。それくらい大事な仕事なんだぞ!」ということを、毎日毎日言い続けているのです。

例えばこのような経営努力はとても大切なものだと思います。


実際、システムエンジニアの世界などでは、本当は社会的にとても意義深い仕事をしているのにもかかわらず、それを実感できずにいるといった問題があったりします。例えば、銀行のATMのシステム。私たちが毎日のように使う大切なシステムですが「システムを作ってくれて、支えてくれてありがとう。今日も使わせてもらっています」といった感謝の声は、システムエンジニアに届くことはほとんどなく、逆に少しでもトラブルがあれば叱責はされる、といった状況に陥ってしまったりします。

いかに自分たちの仕事が社会的意義があるかについて、働く人々は自分達で思い出す、探求すると言った時間を持つことも重要です。
 

 

2.経営・会計の透明性と、会計リテラシーを高めて納得感を持てるようにする

「経営・会計の透明性と、会計リテラシーを高めて納得感を持てるようにする」というのは、もうそのままです。できる限り経営・会計の透明性を高めることです。そして、その数字の意味をちゃんと理解できるように、組織全体の会計リテラシーを高める勉強会などを実施していくことが重要になります。
 

 

人材育成(経営・会計の仕組み)


 

 

3.選択感を持てるようにする

「選択感を持てるようにする」というのが、おそらく一番難しいだろうと思います。「利益を最大化する」ということを経営の第一目標としておいている企業が多いからです。「儲かるけど、忙しくなるからやりたくない」ということを社員が選べる、というのは大変な経営リスクでもあるからです。

現実的には「やりたくないを選べる・給料は高くない上がりにくい」というキャリアパスと、「やりたくないは選べない・給料は高い上がりやすい」というキャリアパスの2通りを用意するといったことが対策になるかと思います。このようなキャリアパスを用意した場合にも「社員の会計リテラシー」の向上は必須で、それがなければ、折角このようなキャリアパスの用意の意味や意図も理解されなくなってしまいます。


こういった施策達を実行し、真にワークライフバランスを向上させ、真の働き方改革を実現していく企業が増えていくことを心から願っています。
 

 

▼ 元記事

ワークライフバランス(WLB)を真に向上させるためには?

 

 

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ワークライフバランス(WLB)という言葉は、社会的にだいぶ定着してきたように思います。「働き方改革」が注目される中、あらためてこのWLBという概念もまた見直されているように思います。

さて、ベストなワークとライフのバランスというのは、どれくらいのものなのでしょうか?5対5だとベストなのか、7対3だとベストなのか。週40時間は「ワーク」で、のこりの週128時間が「ライフ」だとベストなのでしょうか?


「そんなの人によるよ」

これは一つの真理ではないかなと思います。

週80時間でも働いていたい人もいるでしょう。起きている時間のほとんどは自分の仕事に費やしたい、というような人。例えば現役のプロ野球選手などは「食べるのも仕事」「筋トレも仕事」「練習も仕事」「読書も仕事」「もちろん試合も仕事」といったことになるのではないでしょうか。

逆に「週に2日(16時間)も働いたら、あとは働きたくはないよ」という人もいるでしょう。

村上アシシという人がいて「年の半分働いて、年の半分はサッカーのサポーターとして生きる」という人生を送っています。村上アシシさんにとっては、それが「ベストなワークライフバランス」ということになるのでしょう。

ですから、そもそも「残業を規制する」とか「総労働時間を規制する」といったことは、本質的なワークライフバランスの向上には、ほとんど何も寄与しないのではないかと考えています。一方で、なぜ残業時間などが問題になるのかについては後述します。

 

 

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■ ワークライフバランス(WLB)が悪いとはどういう状況なのか?
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「自分のワークライフバランスは悪い」と思っている人の多くは、恐らくは「ワークの方が多すぎる」と感じているのでしょう。だからこそ「ワークの総量を規制しよう」といった発想が出てくるのだと思います。

しかしこの「ワークの方が多すぎる」と感じるというのは、どういう状況なのか、考えてみないといけません。
 

 

1.仕事に誇りややりがいを感じられていない

 

「ワークの方が多すぎる」という人は、そのワークが楽しくない、やりがいが感じられていない、からなのですね。

私の知人のビジネスパーソンは、今は経営者をやっていますが、会社員時代から「朝は7時から仕事して、夜は23時くらいまで仕事する」というのが普通でしたが、とても楽しそうでしたし、充実感を持っていました。彼は、自分の仕事に誇りとやりがいを感じていたのです。だからこそ、土日も「仕事のための勉強」に自分の時間を費やしていても、何の苦も感じなかったのです。

そういう人は「ワークの方が多すぎる」とはあまりならないのです。

もちろん、そのビジネスパーソンも結婚して、子供が生まれて、環境が変わり、以前ほどは働かなくなりました。しかし依然として平日は朝から晩まで働いていて、その状態に対して満足しているのです。(家族の仲も非常によいそうです)

繰り返し言いますが、この人の場合は「自分の仕事に誇りとやりがいを感じている」ということが大きいのです。

だとしたら「ワークライフバランスが悪い」ということの問題は、「ワークの時間が多すぎる」ということではなくて、「ワークに誇りややりがいを持てずにいる」ということになると思うのです。これは、とても重要な問題です。私は、働き方改革の本質の一つはここにあるように思っています。
 

 

2.社員が経営・会計の仕組みを充分に理解していない

 

もう一つの観点があります。それは「ワークライフバランスが悪い」と感じた場合に「これだけ働いて、これだけの給料かよ」という意味合いが含まれている場合です。

この点に関しては非常に多くの論者が「仕事時間の総量規制なんてアホらしい。生産性を高めなければ、働き方改革なんてできない」ということを主張しているなと思いますし、私もその面において多分に賛成するところです。

ただ「生産性を高める」というのは、簡単なことではありません。これは資本主義社会の構造の中で常に「競争」ということがあるからです。そして「富と時間の奪い合い」が起こっている構造があります。


生産性を高めようというのは、簡単に言えば「100万円稼ぐのに100時間かかってたけど、80時間でできるようになったら、20時間余暇として使えるよね」ということですね。そしてこれを実行しようとして例えば「便利なITツール」を活用したとします。なんと確かに今まで100時間かかっていた仕事が、80時間でできるようになりました!

そして、その会社は「よし90万円で売り出そう。その方が競合より売れるから。仕事時間は80時間だしいいよね」とやります。

ところが競合の会社も黙ってはいません。同じ「便利なITツール」を導入し、80時間で90万円どころか、80時間で80万円で売り出すことにしたのです。。。

 

 

 

 

生産性というのはつまるところ「時給」ということです。確かに初めの会社は、時給1万円を、時給約1.1万円に高めることに成功しました。しかし、市場競争の影響で、あっという間に時給1万円に戻ってしまったのです。

これが「生産性を高めよう」という主張の限界であると私は思っています。つまり、生産性なんてそんなに簡単に高まらないのです。市場競争が、労働者に「常に限界の生産性」を求めてきてしまうからです。(よりよいものを、より安く買おうとする市場原理においては、これは当然起こることです)

一部の天才的な起業家などを除けば「生産性を高める」ということの恩恵など、ほとんどの労働者にとって享受できない構造に、社会そのものがなってしまっているのです。(社会構造そのものをどう変化させていくべきかは、経営の問題ではなく、政治の問題と考えるので、ここでは詳述しません)


では、本当に「社員が、ワークライフバランスがよいな」と思えるには、どうしたらよいのでしょうか?「こんなに忙しく働いて、これだけの給料かよ・・・」という思いを払拭するにはどうしたらよいのでしょうか?

それは「生産性を高める」というようなことではなく、「経営・会計の透明性を高めて、社員の会計リテラシーを高めて、みんなの“納得感”を高める」ということでしか、できないのだろうと思います。
 

 

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■ 企業における実例
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私がご支援していたある企業では、会計の透明性を非常に高くしていました。どれくらいの売上で、どれくらいのコストで、どれくらいの利益が出ているか。そこから労働分配率をどれくらいにして、内部留保をどれくらいにしているか。これらをほぼオープンにしていらっしゃいました。

ただ残念なことに社員の方の会計リテラシーが追い付かずに、折角情報は開示されていても「その意味が分からない」というような状態でした。そこで、会計リテラシーを高めるための勉強会を社内で実施していきました。

そうなると、その会社の「ワークライフバランス」は劇的によくなったのです。市場競争の激しい業界で、油断はできない経営状態です。ですから、相変わらず総労働時間は多い(日常的に残業が発生している)状態でしたが、社員の方は「これが自分たちのベストなワークライフバランスだ」と認識するようになったのです。

 

もちろん、もっと休みたい。けれど競合も頑張っている中で、油断したら自分たちの会社は倒産してしまう(ちなみに会社のことは好きで、倒産などさせたくないとみなさん思っている会社でした)。

もちろん、もっと給料は欲しい。けれど人件費として払い出してしまうと、研究開発などにお金を割けない。来年以降の業績がより危うくなってしまう。それはつまり自分たちの給料や雇用も危うくなるということ。それに、内部留保を厚めにしておかないと、市場環境の急激な変化があったときに、対応しきれない。

そういったことを社員の方が理解し、会社の情報公開に触れた時に「なんてフェアな会社なんだ」ということが分かったのです。


なお、少し特殊な例ですが、私が組織マネジメントを支援したあるベンチャー企業では「月に3日だけ働く社員」という存在がいます。これを、月6日働くようにすれば、彼の年収はたぶん倍になるのでしょうけれど(笑い)。

でも彼は「給料が安い」という不満を持つことはありません。自分で「これくらいの給料を選んでいる」という納得感があるからです。そして「残りの27日をボランティア活動に充てる」ということが、本人にとってはベストなワークライフバランスなのです。
 

 

ここまでの内容について、いかがだったでしょうか。少しでも皆さまのご参考になりましたら幸いです。

 

長くなってきましたので、また明日、ワークライフバランスを真に向上させる、真に働き方改革を実現する、ということのポイントをお伝えしていきたいと思います。

 

 

 

▼ 元記事

ワークライフバランス(WLB)を真に向上させるためには?

 

 

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