こんにちは!こんばんは!
ないとめあです。
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日本は世界でも屈指の外貨準備高を誇り、通貨危機への備えは「万全」だと考える人が多いと思います。しかし、現在の急速な円安局面において、外貨準備が必ずしも万能ではありません。むしろ、金融政策との齟齬(そご)によって、その価値が構造的に喪失するリスクすら生じています。
🧩 外貨準備の本来の役割とは?
外貨準備とは、政府や中央銀行が保有する外貨建て資産(主にドル、ユーロ、金など)であり、以下の目的で運用されています
- 💵 為替介入による通貨防衛
- 🏦 対外債務の返済
- 🌐 国際的信用の維持
日本の外貨準備高は約1.2兆ドル(約180兆円)に達しており、表面上は「安心材料」として語られます。しかし、その実効性は単なる金額の大きさではなく、金融政策との整合性に深く依存しています。
⚠️ 外貨準備が「意味をなさない」構造的理由
① 為替介入は一時的な効果しかない
2022年の円買い介入を思い出してください。日本政府は数兆円規模のドル売り・円買いを実施しましたが、わずか数日で円安基調に戻ってしまいました。根底にある金利差や市場構造が変わらない限り、為替介入は一時的な時間稼ぎに過ぎません。
② 市場規模に対して準備金は小さい
外国為替市場は、1日あたりの取引量がなんと約7兆ドルにも達する巨大市場です。日本の外貨準備はそのわずか数日分の取引量しかありません。ヘッジファンドやグローバルマクロ勢が円売りを仕掛けた場合、いくら準備金を投入しても市場の波には太刀打ちできません。
③ 金融政策との非整合が決定打
為替介入と金融政策が真逆の方向を向いていることこそ、最大の問題です。日銀が利上げを見送る一方で政府が円買い介入を行っても、市場は「日銀はインフレを容認している」と判断し、信認が失われます。結果として、介入効果はほぼゼロとなります。
④ 外貨準備の構成と政治的制約
日本の外貨準備の約60%は米ドル建てです。つまりドル売り介入を行えば、米国との摩擦を招く恐れがあります。ワシントンがそれを快く受け入れる保証はなく、「使いたい時に使えない」政治的制約が常に存在しています。
🔁 外貨準備「喪失」の再帰的メカニズム
外貨準備が万能でない理由は単に数量の問題ではありません。金融政策と為替政策の非整合性(policy mismatch)が続けば、外貨準備は「使えない資産」へと転落します。つまり、市場信認 → 為替レート → 政策対応 → 信認低下という負のループが自律的に拡大してしまいます。
この「再帰的喪失メカニズム」が働くと、外貨準備を使えば使うほど円の信頼が下がり、結果的に外貨準備の実質価値が減少するという逆説的な現象が起こる可能性があります。
🧠 外貨準備を活かすには「利上げ」が不可欠
外貨準備を真に有効な通貨防衛の手段とするには、日銀が明確にインフレ抑制の意思を示す必要があります。それはすなわち、利上げによる実質金利の正常化を意味します。市場は政策当局の本気度を見抜くため、口先介入だけでは信認を取り戻せません。
外貨準備は確かに「最後の砦」だが、その砦の土台が崩れていれば意味をなさくなります。為替介入・金融政策・財政政策の三位一体の再構築こそが、円の信頼回復のカギを握っています。
では、また。


