安保理は、5か国の常任理事国(中国、フランス、ロシア、英国、米国)と各地域に配分され、選挙により選出される10か国の非常任理事国から構成されています。
安保理は、今日の国際社会において唯一の包括的・普遍的な組織である国連の中で、国際の平和と安全の維持につき主要な責任を有しています(国連憲章第24条1項)。国連憲章上の主な権限は、紛争当事者に対して、紛争を平和的手段によって解決するよう要請したり適当と認める解決条件を勧告すること、紛争による事態の悪化を防ぐため必要または望ましい暫定措置に従うよう当事者に要請すること、平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為の存在を決定し、平和と安全の維持と回復のために勧告を行うこと、経済制裁などの非軍事的強制措置及び軍事的強制措置を決定すること、等です。
1 なぜ機能しないのか
安全保障理事会の五大国に拒否権を与えたから
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
国連憲章第1章第2条第4項
(国際連合)
しかし、第2条第4項には武力行使を認める例外が2つあり、その1つが集団安全保障です。ある国によって平和が脅かされた場合、加盟国は国連憲章第7章の規定に従い、安全保障理事会が「平和に対する脅威、侵略行為の認定」(39条)を行い、事態悪化の暫定措置を関係当事者に要請(40条)します。もし暫定措置が失敗すれば、非軍事的強制措置を適用(41条)し、それでも不十分な場合は軍事的強制措置(42条)が発動することになります。
PKO
3原則
1当事者の同意
法的要因として、受け入れ国の領域主権の尊重の要請。
政治的要因として任務遂行の円滑化、効率化の要請。
2 公平性
3 自衛以外武器の不使用
紛争 地域 における停戦 状態の維持 、紛争 拡大 の防止 、公正な 選挙 の確保 などを行う国際連合 の活動 を指す。安全保障理事会 の決議 で、紛争 当事者 の許可 を得たうえで、国連加盟国 が自発的に 要員 を提供する 。
日本 では、1992年 にPKO協力法 が成立 し、自衛隊の海外派遣 を可能にする道を開いた。ちょうど、湾岸戦争 を契機 に日本 の国際貢献 のありかた が問われた時期 のことだ。以後 、カンボジア やモザンビーク 、ゴラン高原 などのPKOに自衛隊 が派遣 された。
自衛隊 がPKO要員 として派遣 されるのは、PKO参加5原則 が守られている場合 に限られる。すなわち、
(1) | 停戦 の合意 |
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(2) | 紛争 当事者 の受け入れ 同意 |
(3) | 中立的 な立場 の維持 |
(4) | 自衛隊 独自の判断 による撤退 |
(5) | 隊員 の防護 に必要最低限 の武器 使用 |
自衛隊の海外派遣 は、戦争 の放棄 を定め た憲法 9条との兼ね合い から、問題 となる場合 が多い。そこで、より軍事 色の強いPKF (平和維持 部隊 )の本体 業務 への参加 は凍結 されてきた。しかし、独立 後の東ティモール に自衛隊 を派遣 するタイミング で、PKF 本体 業務 への参加 を解禁 しようとする 法改正 の動き が出てきた。