
▲お秀茶屋というお店です。
近藤の墓がある「天寧寺」もこの近くにあります。
天寧の「奴郎ヶ前」は白河街道の背炙峠登り口と東山温泉の湯治客で賑わい、数軒の茶屋では竹串にさした、餅・里芋・生揚げなどを炭火で焼いた甘味噌のついた田楽が有名だったと言います。向かい側には山陽河原があり、会津藩士専用の処刑場として使われていました。柵の「矢来の前」が地名の由来とも言われています。
処刑場に向かう罪人を不憫に思った、ここの茶屋のお秀婆さんが、味噌をつけて焼いた餅を与えたという話や、今生最後の食として罪人たちに田楽と清水を与えたという会津藩の慈悲は今でも語り継がれています。
土方歳三は流山で近藤と別れた後、宇都宮などを転戦し、会津の東山温泉で戦の傷を癒しました。
土方の逗留した清水屋旅館から東山温泉へ向かうのに使われたのが、この茶屋のある街道です。
この街道筋にある茶屋の名物が味噌田楽、ここを通った土方も食べたと伝えられています。
近藤の墓がある天寧寺の近くの愛宕神社の宮司の見聞記が昭和23年に発表されており、それによれば、戊辰戦争の時、眼光の鋭い侍が二人の供を連れて愛宕神社に訪れ、雑木林に入り、一時間程経って帰ってきて、「茶を一服所望」と言っただけで、あとは無言、供の一人は「ここからの眺めは素晴らしい」と言った。そしてこの眼光鋭い侍こそ土方歳三であったのだと後にわかりました。土方は近藤の墓を建てるためにここを訪れたのです。墓に埋められたのは骨壷などではなく、遺髪か遺品のような小さなものだったといいます。また、近藤の墓を建立する際、土方と思しき人物が毎日のように現場を訪れて監督していたとも伝えられています。


▲お秀茶屋の店内。創業はおよそ360年前。ノスタルジックな雰囲気で、何とも言えない趣のあるお店です。土方歳三、白虎隊の隊士たちもここの田楽を食べたと伝えられ、山下清や手塚治虫などの著名人も数多く訪れています。

▲田楽一人前¥750。昔ながらの囲炉裏があり、注文を受けてから、一本一本手焼きされます。
2006.12.24の土方歳三資料館日記「土方家のお餅つき~歳三さんとお餅」という記事でも、 お秀茶屋が紹介されており、ここのお餅が絶品だったと書かれています。
こんにゃく(冬場は里芋)1本、生揚げ2本、餅2本、身欠きにしん1本で一人前です。
お餅も美味しかったですが、生揚げが好物の私としては、こちらも大変美味しく頂きました。
お秀茶屋:福島県会津若松市東山町石山天寧308
TEL 0242(27)5100
営業時間 10:00~17:00
定休日 不定休